2回目の休息日を終えた第16ステージ。逃げ集団から飛び出したルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)が、逃げ切ってステージを制した。4賞に変動はないが、チーム総合1位がレディオシャック・レオパードに移行した。なお、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)が落車によりケガを負った。

ステージ優勝・敢闘賞のルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)

マンス峠で逃げグループから独走を決めたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)マンス峠で逃げグループから独走を決めたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) (c)Makoto.AYANO昨日の段階で、今後のステージのどこかで逃げに入ることを考えていた。今日は自分でも調子が良いことがわかった。2つある山岳の序盤のほうで、いくつかの飛び出しに運ではなく、自分の力で対応できたからだ。脚は1日中、調子が良かった——それで今日がぼくの日になるはずだと思った。

ステージ優勝と敢闘賞を獲得したルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)ステージ優勝と敢闘賞を獲得したルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:CorVos逃げに乗り続けるのは厳しかった。多くの選手たちが前方の位置をキープしようとし続けていたからだ……逃げができた瞬間に誰がいたのかは正確に覚えていない。でも、最終的には、ぼくと一緒に逃げに乗れた選手たちの何名かが、その中には(チームメイトの)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)やホセホアキン・ロハス(スペイン)もいたものの、最後まで付いていくことができず脱落してしまった。

アタックすべき場所は最後の山岳だということはよくわかっていた。すべてが、プラン通りに進んだ。登りで飛び出して、リードを広げて山頂に行った。山頂に達したときは40秒のリードが保てて、それで最後まで余裕ができた。こんなにうまく行くはずがないとも思った。下った後の残り3kmになったときには、自分が勝てそうだと確信していた。

最後の1kmは、沿道の両側に大勢の観客がいて、とても美しかった。自分の今後の人生でも覚えておきたい特別な光景だ。ツールでのステージ優勝は本当に難しい。でも、ぼくは2勝した……もう言葉で言い現わせない(訳注:2011年の第8ステージで1勝している)。去年もステージ優勝のために戦った。

でも、ツールではわずかな成功を収めることさえ本当に難しい。ステージ優勝を再現することは、ぼくの信念でもあった。ぼくはバルベルデのアシストすべきだったのに第13ステージで脱落してしまった。それで、総合成績のことは諦めて、ステージ優勝に絞ることにした。今日の勝利は、ぼくをサポートしてくれるすべての人に捧げたい——2日前、ファンから最大級の支援のメッセージを受け取ったことで、自分がツール・ド・フランスの出場選手であることを自覚できた。だから、この勝利はすべて彼らのものだ。


総合1位・山岳賞のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)

リッチー・ポルト(スカイプロサイクリング)がペースをつくるマイヨジョーヌ集団リッチー・ポルト(スカイプロサイクリング)がペースをつくるマイヨジョーヌ集団 (c)Makoto.AYANOアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)はかなり多くのリスクを取ろうとしていたのだろう。彼は無理をしすぎて、それでぼくの目の前で落車して、ぼくもリスクを負うことになってしまった。ぼくは一瞬コースから外れてしまい、彼と一緒に走ることになった。

総合1位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)総合1位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O(自転車から)身体が離れることはなかったけど、クリートをペダルにはめ直して再スタートすることになった。ぼく自身はあのようなリスクは取る必要はないと考えている。アルベルト・コンタドールの落車は、ぼくの目の前で起きた。下りにしては少しスピードを出しすぎたのだと思う。

ぼくたちとのリードを広げようとして、ぼくの目の前で落車してしまった。そのおかげで、ぼくも危ない目にあうところだった。幸運だったのは、チームメイトのリッチー・ポルト(オーストラリア)があの場にいてくれて、ぼくを集団の前方に戻してくれて、さらにいろんなことを警戒してくれたことだった。

あの場にチームメイトがいたことが、大きな自信につながった。ぼくがツールから見放されたわけではないということがわかった……ぼくたちは極めて小さな集団になっていた。明日はいよいよタイムトライアルという大きな節目の日になる。その後に、本当に過酷な3日間がやってくる。今後のレースは、かなり興奮するようなものになるだろう。


新人賞のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)

新人賞を維持したナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)新人賞を維持したナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos(第15ステージの)モンヴァントゥーでの疲労からは回復した。アルプスでの連戦に向けてもまだ余裕がある。今日は新人賞の直近のライバルであるミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)に差を付けるために頑張った。(山岳からの)下りではアルベルト・コンタドールのペースがとても速かった。

だから彼が落車したときは、まったくわからなかった。ともあれ、あの落車はぼくのせいではない。明日のタイムトライアルでは良い成績を出して、ライバルたちとのタイムさを大きく失わないことを目指す。明日のコースは、(第11ステージの)モンサンミッシェルよりは、ぼくに向いていると思う。


ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

ペーター・サガン(キャノンデール)が率いるグルペット集団ペーター・サガン(キャノンデール)が率いるグルペット集団 (c)Makoto.AYANO今日のステージの序盤には、逃げに入り続けようとしていた。逃げグループの23人のなかに入ったのだけど、2回目のアタック合戦が始まってしまい、ぼくを含む数名の選手は対応できなかった。そこで逃げが終わった。その後は、集団に戻って今日のステージを最後までおとなしく過ごした。

とてもリラックスした集団に合流して、一緒にゴールした。明日のタイムトライアルは、休息日として過ごしたい。だけど、その後の3連戦は本当に険しく長いステージになりそうだ。


落車で膝をケガした総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)

積極的な走りを見せるも落車で膝をケガしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)積極的な走りを見せるも落車で膝をケガしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:CorVosああなる状況だった。これはロードレースで、レースは続いている——山岳の登りでも下りでも。この打撲が表面的なものだけであることをただ願っている。現在、膝に氷を当てているけど、明日には良くなると思う。今日のぼくたちの攻撃で、ベルキンの選手を1名振り落とし、もう1名はギリギリ付いてきた。

いまは今日の落車の影響で、睡眠への悪い影響が出ないことを祈りたい。明日は重要な日に違いないのだから。下りの最終区間では、誰もがとても注意深く走ったので、誰も大きな差をつけることができなかった。だけど、脚の調子は上がってきているので、ツールの終盤に少し波乱を起こせたらいいと思う。

ぼくたちがレースに勝つかどうかわからない。でも、テレビの向こう側にいる観客たちにツールを楽しんでもらいたい。自分にとっては、集団で誰かの後ろについて走るのは大きなモチベーションにつながらない。チャンスがあれば、ぼくはいつでもそれを捕まえにいく。それがレースの序盤だろうと、終盤だろうと関係ない。パリでのリザルトをしっかり見届けてほしい。


同じくチーム総合成績を狙って逃げたローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)

ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)を含む逃げ集団ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)を含む逃げ集団 photo:CorVosチームメイトたちとアタックして、何名かを逃げグループに潜り込ませた——自分たちのプランを実行できた。最初は5人の逃げだったのだけど、そこにダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)がいた。彼は総合成績が良すぎるので、選別しなおして、新たに3人で先頭集団に入れた。

アンドレアス・クレーデン(ドイツ)は、逃げグループ内でかなり体力を消耗してしまった。ぼくたちは逃げグループに速い選手を送り込んで、それが功を奏した。しかし、あの下りは道なりに進むにしてもかなりトリッキーだった。


チーム総合成績を狙って逃げたトニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)

チームとしては、数名の選手を逃げグループに入れることに集中していて、かなりうまくいった。最終的にはルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)があまりにも調子が良かったので勝負が決まったが、ぼくたちはチーム総合成績のために走り続けた。終盤近くで、バイク交換をする必要があって、かなりタイムを失った。チームカーがかなり後ろにいたので、交換に時間がかかってしまった。


※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI