ツール・ド・フランスのイメージカラーは黄色。これは他でもないマイヨジョーヌの色だ。ディフェンディングチャンピオン不在の今年、クリス・フルーム(イギリス)とアルベルト・コンタドール(スペイン)の対決に注目が集まる。もちろん他にもマイヨジョーヌを狙う豪華な面々が揃っている。

強力なアシスト陣のサポートを受けるフルームとコンタドール

クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferlaちょうど1年前、ウィギンズのアシストとして強力な走りを見せ、時にエースの座について物議を醸しながら総合2位に入ったクリス・フルーム(イギリス)が、正真正銘スカイプロサイクリングのエースとしてツールに戻ってくる。

クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Cor Vos今年フルームはツアー・オブ・オマーンとクリテリウム・アンテルナシオナル、ツール・ド・ロマンディ、そしてクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合優勝。ティレーノ〜アドリアティコ総合2位という成績を残している(しかもどのステージレースでもステージ優勝している)。昨年のウィギンズには及ばないものの、抜群のパフォーマンスでシーズン前半を駆け抜けた。

アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Riccardo Scanferlaウィギンズを登りで引き千切ってしまうほどの登坂力と、ライバルを寄せ付けないタイムトライアル能力。フルームが100回大会のマイヨジョーヌ大本命と言っていいだろう。

スカイプロサイクリングは完全にフルームを勝たせるためのメンバー編成で、カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)やダビ・ロペスガルシア(スペイン)ら、山岳アシストも豊富。そして、フルームの傍らには相棒リッチー・ポルト(オーストラリア)の姿が常にあるはずだ。ポルトは「まだグランツールでチームを率いる器ではない」と謙遜するが、グランツールで充分に表彰台に登る素質を備えている。フルーム=ポルトのタッグが山岳ステージで目立つはずだ。

フルーム最大のライバルと目されるのが、2007年と2009年大会の優勝者アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)だ。ドーピング疑惑によって2010年の総合優勝が取り消され、出場停止処分を受けたコンタドールが2年ぶりにツールに出場する。

コンタドールは昨年ブエルタ・ア・エスパーニャで2度目の総合優勝を果たしたが、今シーズンはことごとくフルームの後塵を拝している。オマーンではフルームに次いで総合2位、ティレーノではフルームに次いで総合3位。数年前に見せていたような輝きを取り戻すことが出来ず、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネではタイムトライアルで失速して総合10位に終わっている。

しかしコンタドールは開幕前の記者会見で「フルームを負かすことは可能だ」と自信を見せる。アシスト体制は例年以上に豪華で、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド)といったオールラウンダーがズラリ。王者の復活に期待が懸かる。

エヴァンスやバルベルデ、ヘジダルらが二人に割って入るか?

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Makoto AYANOスペイン勢としてはコンタドールの他にもアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)、そして昨年までコンタドールの山岳アシストを務めていたダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)にも注目。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo Scanferlaバルベルデは抜群の登坂力を誇るナイロ・クインターナ(コロンビア)と前哨戦ツール・ド・スイスの覇者ルイ・コスタ(ポルトガル)を引き連れての出場であり、チームとして山岳ステージを支配出来る布陣を揃えている。

ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) photo:Riccardo Scanferla2011年大会の優勝者カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)は現在36歳4ヶ月。一般的な選手としてのピークは過ぎているが、今年は史上2番目の年齢でジロ・デ・イタリアの表彰台に登った。まだまだその力は健在であり、ベテランならではの安定感がある。

ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) photo:Cor VosBMCレーシングチームからは、昨年エヴァンスを上回る総合5位の成績を残し、マイヨブランを獲得したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)も出場する。今年ツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝した24歳のヴァンガーデレンが、エヴァンスからエースの座を引き継ぐ事態が起こるかも知れない。

連覇が懸かったジロ・デ・イタリアで不調に陥ったライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)は、早々に気持ちをツールにスイッチ。今年リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制したダニエル・マーティン(アイルランド)や若手アンドリュー・タランスキー(アメリカ)とともに総合上位を狙う。

新スポンサーを得て装い新たに走り出すベルキンプロサイクリングのエースはバウク・モレマ(オランダ)。ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)らも総合上位に名前を連ねるだろう。

開催国フランスの期待は、昨年総合トップ10に入ったピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)とティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)に集まっている。個人タイムトライアルの比率が低い今年のコースは彼らに味方すると思われる。

そして忘れてはならないのが2010年度の大会覇者アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)だ。昨年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで落車して仙骨を骨折し、ツールを欠場したアンディが戻ってくる。長期間レースを離れたため、シーズン序盤は「集団での走り方を思い出せない」と語りながら下りで千切れるシーンが何度も見られたが、前哨戦ツール・ド・スイスでは山岳ステージで集団前方に姿を見せて総合40位。徐々に調子を戻しているように見える。昨年大会総合6位の実力者アイマル・スベルディア(スペイン)がチームメイトとして出場する。

ツール・ド・フランス2012総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)            87h34'47"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                 +3'21"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)     +6'19"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)        +10'15"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)     +11'04"
6位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン)      +15'41"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)        +15'49"
8位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)               +16'26"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)             +16'33"
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット)             +17'17"

歴代のツール総合優勝者
2012年 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)
2011年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)※コンタドール失格による繰り上げ
2009年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2008年 カルロス・サストレ(スペイン)
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2006年 オスカル・ペレイロ(スペイン)※ランディス失格による繰り上げ
2005年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2004年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2003年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2002年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2001年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2000年 ランス・アームストロング(アメリカ)
1999年 ランス・アームストロング(アメリカ)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1996年 ビャルヌ・リース(デンマーク)
1995年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1994年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1993年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1991年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1990年 グレッグ・レモン(アメリカ)

text:Kei Tsuji
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