30年以上に渡る自動車やモーターサイクル用タイヤの製造から得たノウハウを生かし、自転車用タイヤをリリースするアメリカンブランド、マキシス。今回は1月下旬に国内デビューした世界初のラジアル構造によるチューブレス・ロードタイヤ、ラディエール・チューブレスのインプレッションをお届けする。

コンパウンドは高密度で空気保持性能を向上させ、耐摩耗性も引き上げているコンパウンドは高密度で空気保持性能を向上させ、耐摩耗性も引き上げている
ラディエール・チューブレスは、チューブレスロードタイヤの軽快かつシルキーな乗り味をさらに高めながら、パワー伝達効率を高めるという相反する要素を、ラジアルケーシングの採用によって高い次元で成功させたという。

この新しい構造に合わせ、接地面であるコンパウンドも新たに開発。高密度粒子コンパウンドで気密性を高め、空気保持性能も向上させたほか、耐摩耗性能も既存のチューブレスロードタイヤより最大で約25%向上させているという。タイヤサイドにはハイグリップかつスムースなコーナリングを実現するサイドコンパウンドを採用している。

ビードは高弾性かつ高強度のカーボンファイバー製を採用し、強力な空気密封性でエア漏れを防止するビードクッションを装備。軽量の耐パンクレイヤーを備える。

マキシス ラディエール・チューブレスマキシス ラディエール・チューブレス マキシス ラディエール・チューブレス 専用タイヤレバー2本が付属するマキシス ラディエール・チューブレス 専用タイヤレバー2本が付属する


自転車用タイヤの新機構であるラジアル構造と、チューブレス構造をどちらも取り入れたロード用タイヤとして先進的な製品となる。初代ラディエールは2010年にラジアルケーシングを取り入れたタイヤとしてデビュー。同社の定評あるチューブレス技術をロードタイヤに取り入れ、2011年に発売開始したチューブレスタイヤPADRONE(パドロネ)で培ったテクノロジーを合体させ、マキシス ラディエール・チューブレスとして結晶した。

トレーニングからレース、荒れた路面やウェットコンディションまで、あらゆる場面で活躍してくれる高パフォーマンスタイヤを謳うラディエール・チューブレス。今回は普段のトレーニングライドからグランフォンド参加、サーキット系レース参加まで、様々なシチュエーションでの使用感と、寸法変化や劣化などの耐久性についてお届しよう。



ーインプレッション

「サーキットなど滑らかな路面で真価を発揮するタイヤ 高い耐久・耐候性も特徴」 綾野 真(CW編集部)

荒れた路面ではタイヤが跳ねてしまうので、思い切って低めに設定することがおすすめだ。細いタイヤなのでベスト圧を探すのには時間がかかる荒れた路面ではタイヤが跳ねてしまうので、思い切って低めに設定することがおすすめだ。細いタイヤなのでベスト圧を探すのには時間がかかる テストホイールにはカンパニョーロ・ユーラスの2WAY-FITホイールを使用。2WAY-FITとはチューブレス、クリンチャーともに対応するホイールだ。取付作業に関しては、エア充填の際もビードはすぐに上がり、リムへの装着は難儀無く終えられた。

22mmと細身のタイヤであるため、リムとトレッドの幅がほぼ面一となり、初見の印象としては細いと感じる。最近23Cが標準、あるいは25C幅といった従来より太めのタイヤが流行の兆しを見せているため、余計に細く感じてしまう。ちなみに実測すると21.5mmほどだった。

トレッド全体は柔らかく、ビードに近いところはそれなりに硬いが、トレッド部の柔らかさや薄さに若干の不安感を覚えてしまう。いざ走り出してみれば、タイヤの剛性は高く、グリップ力も高いことがすぐに感じ取れる。タイヤがずれていない、ロスのない感覚といえば良いだろうか、加速の良さも際立って感じられる。

メーカーの推奨空気圧は7.2~8.6気圧ということだが、体重62kgの私が、一般道路で時間をかけて乗り込んだ結果、ベストと感じる空気圧は6.9気圧となった。この圧は指などで強く押せばトレッドが凹むため、触っただけではやや低めに感じるかもしれない。

この空気圧に行き着いたのは、路面の荒れたところを走る際に感じる跳ねを抑えたかったからだ。綺麗な路面だとスムーズによく転がるが、少し路面が荒れたところになると、とたんに振動が伝わり転がらなくなる。硬め(空気圧高め)では走ってくれない。6.9気圧はトレッドを押し込むと少し不安に感じる圧だが、一般道では路面の振動を吸収してよく進むようになる。タイヤが細いぶん、空気圧の調整幅(スウィートスポット)が少し狭いというのが実感だ。

正直、一般道路では多少の扱いにくさも感じていたが、これが豹変するのがサーキットコースでの走行だ。路面の荒れた鈴鹿サーキットなどでは話は違ってくるかもしれないが、路面が綺麗なツインリンクもてぎでエンデューロに出場、レース走行で使用した感想は一気に好印象にひっくり返った。

表面の滑らかな舗装路であればこのタイヤはグイグイと路面に食いついてくれる。この様に綺麗な路面では空気圧は一般道より高め、7.2気圧に設定して良い感触が得られた。タイヤ剛性の高さを感じ、コーナリングの食いつき、走りのスムーズさが際立つようになる。ユーラス+270gのこのタイヤの組み合わせは軽い部類ではないが、非常に良く進んでくれる。このグリップ感とスムーズな転がりはレースなどでは大きなアドバンテージになるだろう。

もてぎ7時間エンデューロを走る。路面の良いサーキット走行ではタイヤの剛性の高さからくるグリップ力の高さを実感できるもてぎ7時間エンデューロを走る。路面の良いサーキット走行ではタイヤの剛性の高さからくるグリップ力の高さを実感できる
2月に装着してから暖かくなるまであまり乗れなかったが、4、5月は普段のライドからグランフォンドまで、しっかり使ってみた。走行感については長く付き合っても性格がつかみにくいタイヤだったことは事実で、いろいろな走り方や状況を試した結果、普段の一般道のライドよりは、路面の良いサーキットなどレースで性能を引き出せるタイヤだという印象を持った。

やや扱いの繊細な印象があるが、長期外置きで耐候性もチェックしてみたが、トレッドの風化やひび割れは非常に少なく、劣化が非常に少ない印象だ。
エア漏れが少ないという謳い文句だが、通常のタイヤ同様に空気圧の低下が認められたので、特別空気漏れが少ないという印象はなかった。5ヶ月経過後も「太り」現象はまったく起こらず、テスト開始時の実測21.5mmとまったく変わっていなかった。品質の高さはそういったところからも伺える。


マキシス ラディエール・チューブレス
サイズ: 700×22c
コンパウンド:デュアル
重 量:270g
推奨空気圧:7.2~8.6気圧
価 格:10,500円(税込)
付属品:専用タイヤレバー2本