同日開催のF1でフェラーリが振るわなかったこともあり、ガゼッタ紙は2日連続でジロ・デ・イタリア特集を組み、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の顔をデカデカとピンクの紙に大写しにした。

ガゼッタ紙でニーバリの記事を読むファビオ・アルとパオロ・ティラロンゴ(ともにイタリア、アスタナ)ガゼッタ紙でニーバリの記事を読むファビオ・アルとパオロ・ティラロンゴ(ともにイタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
アスタナはバーテープとグローブ、ソックスをピンクで統一アスタナはバーテープとグローブ、ソックスをピンクで統一 photo:Kei Tsuji大西恵太メカニックがステファノ・ガルゼッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)のバイクを出す大西恵太メカニックがステファノ・ガルゼッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)のバイクを出す photo:Kei Tsuji
フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)の背中ポケットにはスプマンテが刺さっているフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)の背中ポケットにはスプマンテが刺さっている photo:Kei Tsuji
第96回大会の終着地ブレシアはさながらニーバリ祭り。公式発表によると沿道に駆けつけた観客は30万人(ブレシアの人口は19万人…)。その数字の真偽は置いておいて、多くの観客が集まったことは事実だ。息子の栄光を一目見ようと、ニーバリの両親もシチリア島から自分たちで車を運転して遥々北イタリアに駆けつけた。

アスタナのチームメイトたちはピンクのバーテープにピンクのグローブ、ピンクのソックスというコーディネートで出走。チームスタッフたちは、ニーバリのトレードマークである鮫が描かれたピンクのTシャツに身を包む。

ニーバリのショーツは最終日になってようやくピンク色になった(それまでのステージでは、フィーリングが変わることを嫌って頑にアスタナカラーのショーツを履いていた)。SRMメーターからヘルメットまでピンクだが、スペシャルカラーのバイクとのバランスを考えてバーテープだけは白色だった。

ブレシアの市街地周回コースに入ったプロトンブレシアの市街地周回コースに入ったプロトン photo:Kei Tsuji
アスタナを先頭に周回コースをこなすアスタナを先頭に周回コースをこなす photo:Kei Tsuji観客が詰めかけたブレシアの周回コースを走る観客が詰めかけたブレシアの周回コースを走る photo:Kei Tsuji
マリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に視線が集まるマリアローザを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に視線が集まる photo:Kei Tsuji
第8ステージの個人タイムトライアルで総合首位に立ち、マリアローザを13日間着続けたニーバリ。ブエルタに続くジロの総合優勝で、世界最高峰のオールラウンダーの仲間入りしたと言える。イタリア人のマリアローザ獲得は68回目。レース後の記者会見でニーバリは「今後のグランツールでコンタドールやフルームと対決することになるけど、厳しい闘いになるのは間違いないよ」と笑う。そこにウィギンズの名前は出て来なかった。

今年ニーバリはツール・ド・フランスに出場せず、ブエルタ・ア・エスパーニャに出場する予定。イタリア開催の世界選手権でも活躍が期待されている。ディルーカのEPO陽性報道を完全に忘れさせてくれるようなニーバリの走りによって、イタリアのロードレース界は勢いを取り戻している。

ブレシアの表彰台には、イタリア、コロンビア、オーストラリアの国旗が掲揚された。リゴベルト・ウラン(スカイプロサイクリング)がコロンビア人として初めて、カデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム)がオーストラリア人として初めてジロの総合表彰台に上がる。現在36歳3ヶ月のエヴァンスは、1928年に37歳8ヶ月で総合3位に入ったバルトロメオ・アイモ以来、最も高齢の総合表彰台フィニッシャーとなった。エヴァンスはツール・ド・フランスに出場予定だ。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)とサーシャ・モードロ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)がスプリントを繰り広げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)とサーシャ・モードロ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)がスプリントを繰り広げる photo:Kei Tsuji
スプリント5勝のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)がマリアロッサを獲得スプリント5勝のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)がマリアロッサを獲得 photo:Kei Tsuji
総合上位のオールラウンダーではなく、スプリンターがマリアロッサ(ポイント賞ジャージ)を獲得したのは5年ぶり。スピードが売りの高速列車「イタロ」がスポンサーにつく賞だけに、スプリンターが獲得したほうがしっくりくる。

昨年マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)は山岳ステージを乗り切ったものの、僅か1ポイント差でホアキン・ロドリゲス(スペイン)に敗れてポイント賞を逃した。

そんな苦い記憶の再現はまっぴら。カヴェンディッシュは中間スプリントを2つ連取し、ゴールスプリントでも勝利。一日で41ポイントを荒稼ぎし、終わってみればニーバリから30ポイントもリードしてポイント賞トップに輝いた。スプリントで負け無しの5勝を飾ったカヴェンディッシュがポイント賞トップであることに異論を唱える者はいない。

グランツールでのポイント賞獲得は2010年ブエルタ、2011年ツールに続く3回目。カヴェンディッシュは2008年のジロでステージ2勝、2009年3勝、2011年2勝、2012年3勝、そして2013年5勝。ジロのステージ通算成績を15勝に伸ばしている。史上最速ペースでキャリア100勝目を飾るなど、カヴェンディッシュにとっては充実したジロが終わった。

ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマリアローザを受け取ると会場のボルテージは最高潮にヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマリアローザを受け取ると会場のボルテージは最高潮に photo:Kei Tsuji
アスタナの面々がヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)を担ぎ上げるアスタナの面々がヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)を担ぎ上げる photo:Riccardo Scanferla
第19ステージがキャンセルされたため、3週間の走行距離は3341.8km。ニーバリの総合タイムは84時間53分28秒なので、レース全体の平均スピードは39.360km/h。ガヴィア峠とステルヴィオ峠を越えるステージがキャンセルになった影響で平坦ステージの比重が上がり、近年のジロの中では速めの平均スピードをマークした。

ちなみにトレチーメ・ディ・ラヴァレードのニーバリのラスト4km登坂タイムは18分。2007年に優勝したリカルド・リッコ(イタリア)の登坂タイムは15分30秒だった。結果的に3週間の平均スピードは速かったが、山岳ステージでのスピードは下がっていると言って良い。「これはプロトンの中がクリーンになっている証拠」と、あるイタリア人選手は笑いながら言った。

text&photo:Kei Tsuji in Brescia, Italy
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