「サンク!」。ゴールするなり嬉しそう叫んで報告してくれた新城幸也(Bboxブイグテレコム)。日本人史上初のステージ5位の快挙。1996年に日本人として近代ツール・ド・フランスに初出場した今中大介(当時チームポルティ)のステージ最高順位は35位。ちなみに今日のステージの別府史之(スキル・シマノ)のステージ順位は35位だった。

朝のインタビューに応える新城幸也(Bboxブイグテレコム)朝のインタビューに応える新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Makoto.AYANO-おめでとうございます!

「おめでとう」かどうかは分からないけれど、いい順位でゴールできました。

-落車の影響はあったんですか?

スプリントに対しては充分に準備をしていたけれど、前のほうで落車があったので、5位はそのおかげですね。巻き込まれはしなかったけど集団の流れが止まったんです。僕は最終コーナーで左のイン側にいたんですが、右のほうで「がさっ」と落車が起こったんです。
それで僕も前からちょっと離れたんです。

その差を詰めてからのスプリントだったんですが、前を詰めてくれる選手がいたんです。
前(カヴェンディッシュら)には全然届かなかったけれど...。

-最後のスプリントに臨む気持ちはどんな感じでしたか?

転ばないように、転ばないようにとドキドキでしたよ。

あと、今日は観客の数がすごかったので、やっとツール・ド・フランスに来たという実感が沸きましたね。

-今日は最初の山岳ポイントのトゥルビー峠でも集団からアタックをかけようとしていましたよね?

前に逃げが出来かけていたので、それに入ろうと思って動いたんです。でも決まらなかった。その後の逃げが決まったんです。

先頭でゴールに向かうカヴェンディッシュ、後方から新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)!先頭でゴールに向かうカヴェンディッシュ、後方から新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)! photo:Cor Vos-集団のなかではどう走っていましたか?

今日は追い風だったので、集団のペースも速かったですね。ずっと脚を止めることがなかったですね。チームメイトにビドン(ボトル)を運んだりしていました。

-初めてのロードステージを終えてツール・ド・フランスは他のレースと違うと感じますか?「ツールはスピードが速い」と言う選手が多いですが?

リエージュ(・バストーニュ・リエージュ)と同じぐらいだと感じました。もっとも、それが毎日続くというのは考えただけでもちょっと大変ですけれどね(笑)。

-ツールの最初のステージはナーバスだと言われますが、どうでしたか?

最後のほうは道幅が狭かったのでやはりそれなりに怖かったですね。落車も一杯あったし、あちこちでブレーキがギュギュッと鳴っていました。

-「自分はスプリンターだ」という自覚が出来てきたんじゃないですか?

いえ、それは全然ないですね(笑)。もし僕がスプリンターだったら差を詰められたと思いますよ。集団スプリントなので運もあるし、それがいい方向に向かったので、良かったです。落車もしなかったし。

-今日は新たな気持ちで臨んだと?

昨日の第1ステージのことはとくに考えませんでした。むしろだんだん良くなればいいと思っています。先は長いですからね。

-テレビを観た日本のファンは喜んでいると思いますが?

どうでしょうか。今日も手を振る余裕はなかったですね。

-でも指五本の「サンク(Cinq)」が出ましたね。

-今日を振り返ってください。

ほっとしたというのが実感ですね。スプリントに持ち込んでアレクサンドル・ピショとウィリアム・ボネと自分の3人がスプリントすることになっていて、それぞれ5、7、8位でゴールできたので。それなりに仕事を果たしたことにはなりますから。

でも一番は逃げに乗れたらよかったんですが。逃げに入ることが作戦のひとつだったので。でもいつもいつもオーダーに応えるのは難しいのですが、今日はそれに応えることが出来ました。

-これからについてはどうでしょう?

毎日がレースということもあるけれど、3週間という長さなので回復のことも考えなくてはいけないですね。

-明日も期待しています。ゆっくり休んでください。

photo&text:綾野 真