休養日前となった第9ステージ。逃げから飛び出したマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が独走してステージを制し、プロ初勝利を飾った。総合1位はニーバリが維持、山岳賞はピラッツィに、ポイント賞はエヴァンスに移行した。

ステージ優勝のマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)

独走に持ち込むマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)独走に持ち込むマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ) photo:Riccardo ScanferlaぼくはいわゆるTTスペシャリストだけど、昨日のTTはとても厳しくなりそうだとわかっていた。それとロードブックを眺めていたときに、今日は逃げが決まりそうだと思った。それで(昨日は)脚を温存しておいて、今日に備えていた。これが自分の体力のベストな使い方だと思った。

追走の2人もしっかり乗っていたので、自分が勝てるとは確信が持てなかった。だから全力を尽くすだけだった。最後の2kmでは、激しく脚が攣っていたので、本当に勝てるとは思えなかった。

フィレンツェのゴールに独走でやってきたマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)フィレンツェのゴールに独走でやってきたマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ) photo:Kei TsujiチームTTで3勝した経験はあるけど、個人でのステージ優勝は今日が初めて。ツアー・オブ・ターキーで同じようなアタックをしたときは吸収されてしまった。今日のレースにしっかり準備したことが、自分の初勝利に繋がった。このことが、ぼくにとって重要だと思う。
[レース公式リリースより]

このジロのステージで優勝できてとてもうれしい。これがプロとしての初勝利だ。この勝利をカチューシャのチームのみんなに捧げたい。ロシア・グローバル・サイクリング・プロジェクト、とくに創設者のイゴール・マラコフに捧げたい。今朝、バスの中で高度計を見たときに、今日は完璧に自分向けのステージだとわかった。しかも、ぼくはこの近くのプラートに住んでいるので、このあたりの道を知っている。

ロシア国旗をもって登壇するマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)ロシア国旗をもって登壇するマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla
カチューシャはジロ・デ・イタリアで、その実力を証明しつつある。今日はチームでのステージ2勝目で、この前まではマリア・ローザを4日間キープした。この調子でがんばって、もっと素晴らしい結果を残したい。
[チーム公式リリースより]


総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

神妙な面持ちのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)神妙な面持ちのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos今日はチーム全員がずっと一緒にいた。ステージの終盤はかなりデリケートだったと思う。自分やチームメイトも少し体力が尽きそうだった。今日はタネル・カンゲルトが一緒にいてくれたけど、彼の調子が良すぎて最後の数kmはペースを落としてもらった。

マリアローザを着て登場したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マリアローザを着て登場したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferlaレースがスタートしたときは晴れだったけど、ゴールのヴァロンブローザでは雨で、気温が10〜11度まで落ちていた。でも、調子は良かったので問題じゃなかった。チームはしっかり機能していて、下りは高速で走った。

ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマリアローザをキープqヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマリアローザをキープq photo:Riccardo Scanferlaでも、チームメイトのデミトリ・グルージェフが落車してしまった。幸い、深刻なダメージはなかった。ぼくたちのチームカーはキャラバンの後ろのほうにいたので、ヴィーニファンティーニやBMC、ガーミンが牽き始めるまで、ウィギンズがプロトンから遅れているのに気付かなかった。

ウィギンズとヘジダルはタイムを失ったけど、それでもまだ有力候補だ。もちろんエヴァンスもスカルポーニもいる。でも、ジロが長いことは、誰もが知っている。悪い日だってある。昨日はウィギンズがとても強かった。メカトラブルがあったにも関わらず優勝するに肉薄するくらいだった。
[レース公式リリース]

ジロが長いことは、誰もが知っている。選手たちには悪い日もあるのが普通だ。でも、ぼくは今日の第1週の結果には満足している。チームメイトのことも誇らしい。今日は集団の中でチームメイトのタネル・カンゲルトとアレッサンドロ・ヴァノッティの調子がよくて、逃げの追走にがんばってくれた。デミトリ・グルージェフは残り40kmの下りの路面で滑走してしまったけど、運の良いことに、まったくケガすることなくバイクと一緒に復帰することができた。

次の2週は毎日が大変な試練となる。総合成績を譲ろうとする選手なんていない。チーム一体となってマリア・ローザを守る準備をしている。でも、最終日のブレシアまでの道のりが簡単じゃないことは、誰もが知っている。
[チーム公式プレスリリース]


山岳賞のステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

狙い通りマリアアッズーラを手にしたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)狙い通りマリアアッズーラを手にしたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) photo:Riccardo Scanferlaジロが始まる前に、このジャージを着ることが目的だと宣言していた。第1週の最後に、このジャージを着られて満足している。今日は最小限の労力で最大の成果が得られるように、ステージ優勝を睨んで走った。

残念ながらヴァロンブローザを上っているうちに、雨が降ってきたこともあって、空腹で冷たいまま、下りをこなすのは危険だとネガティブな気持ちになってきた。ステージは残念だったけど、このジャージで努力が報われた。とても満足している。最終日までキープするのは簡単じゃないだろうけど、せっかく手に入れたのだから、ブレシアまで着ていくことに挑戦してみる。




ポイント賞・総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

メイン集団はカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を先頭にゴールメイン集団はカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を先頭にゴール photo:Kei Tsuji毎日が驚きに満ちている。誰もが各ステージでベストを出せるように準備して、そう願っている。嵐になって雨が降り始めたとき、車の運転ならワイパーを点けて、少しスピードを落とすものだ。でも、プロトンにいる場合は、まったく異なる。激しい位置取り合戦がずっと続き、前方の位置をキープするので大変だった。運の要素が大きく、技術的な問題は関係なかった。第1週は驚くほど過酷なレースだった。


ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI