登りと下りしかないような、起伏に富んだ166kmで行なわれたブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)第5ステージ。総合上位陣が再びバトルを繰り広げ、ゴール前で抜け出したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)が勝利した。総合争いは最終日の個人タイムトライアルに持ち込まれる。

ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第5ステージブエルタ・アル・パイスバスコ2013第5ステージ photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com3級、1級、3級、3級、2級、3級、2級、3級、2級、2級…。166kmコースに詰め込まれたカテゴリー山岳は何と合計10カ所。しかもゴール6km手前の2級山岳オラベリア峠は、平均勾配が12.1%に達する急勾配の登り。頂上ゴールではないものの破壊力は抜群だ。

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)を含む逃げグループアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)を含む逃げグループ photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comそんな難関山岳ステージに挑む選手たちを迎えたのは冷たい雨。総合争いの主導権を握っているスカイプロサイクリングの牙城を崩そうと、この日はホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)やアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)というエース級の選手が逃げる展開に。

ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)が長時間メイン集団を牽引ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)が長時間メイン集団を牽引 photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com集団コントロールを担ったのはもちろんスカイで、ドンブロウスキーやティエナンロック、ザンディオ、キリエンカらが長時間にわたって集団先頭で風を受け続ける。9名の逃げとのタイム差は2分以内に抑え込まれた。

やがてメイン集団からオマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)が飛び出して逃げグループに合流。フライレはそのまま単独で先頭に出たが、結局は最後の2級山岳オラベリア峠で吸収された。

急勾配の登りでサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)がアタックを仕掛けたが決まらない。レース先頭では総合上位陣ひしめく8名の精鋭グループが形成され、雨に濡れた下りを経てゴール地点ベアサインの街へ。リーダージャージのエナオモントーヤのアタックに続いて、ラスト1.5kmで飛び出したポルトが独走に持ち込んだ。

ライバルたちが牽制する中、独走体勢を築いたポルトがそのまま先頭でゴール。チームメイトのエナオモントーヤを含む追走グループは4秒遅れでゴールした。

ステージ優勝を飾ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ステージ優勝を飾ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com

スカイプロサイクリングの第3エースとして存在感を増しつつあるポルトは、3月のパリ〜ニースでステージ2勝&総合優勝。クリテリウム・アンテルナシオナルでもステージ優勝を挙げ、総合2位でレースを終えている。これが今シーズン5勝目だ。

ステージ優勝を飾ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ステージ優勝を飾ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comスカイプロサイクリングは今大会ステージ2勝目を飾るとともに、鉄壁の走りでエナオモントーヤの総合首位を守り、ポルトが総合2位のクインターナと同タイムの総合3位に。出走者145名のうち完走者が73名というタフなステージで状況をコントロールし続けたチームの働きをポルトは「信じられないほど素晴らしかった」と賞賛する。「逃げに乗ったのは強い選手ばかりだったけど、キリエンカやシャビ(ザンディオ)らのおかげで危機的状況にはならなかった。一日中コントロールしてくれた彼らはただただインクレディブル。セルジオ(エナオモントーヤ)と自分に残されたのは、彼らの仕事を締めくくることだけだった」。

バスク一周レースは残すところ1ステージ。最終日は24kmの個人タイムトライアルだ。「明日はまた違う闘いが待っている。登りも数カ所あるので、典型的なタイムトライアルではない」と、ポルトは語る。第5ステージまでを終え、総合争いは依然として5名が10秒以内にひしめく混戦状態。誰が勝ってもおかしくない状況だ。

追走グループはサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)とセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)を先頭にゴール追走グループはサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)とセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)を先頭にゴール photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com総合首位を守ったセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)総合首位を守ったセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com

選手コメントはスカイプロサイクリング公式サイトより。

ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第5ステージ結果
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)        4h40'43"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)               +04"
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)
4位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
5位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
8位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
9位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +20"
10位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)

個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)  21h04'07"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)                 +06"
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)            +10"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
6位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)           +35"
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)      +37"
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)                +47"
9位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)                +51"
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +1'03"

ポイント賞
セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)

山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)

スプリント賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)

チーム総合成績
モビスター

text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com

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