2月9・10日に開催されたシクロクロス東京。このコーナーでは多くの注目を集めた海外招待選手たちが駆った4台のバイクを紹介する。ディスクブレーキやプロトタイプのパーツなど注目の機材がめじろ押しだ!

ジェレミー・パワーズ(アメリカ、ラファ・フォーカス)
フォーカス MARES CX

ジェレミー・パワーズ(アメリカ、ラファ・フォーカス) のフォーカス MARES CXジェレミー・パワーズ(アメリカ、ラファ・フォーカス) のフォーカス MARES CX photo:So.Isobe

竹之内悠との接戦を制し、第2回シクロクロス東京の覇者となったジェレミー・パワーズが駆ったのは、チームのサブスポンサーを務めるフォーカス社のフルカーボンシクロクロスバイク、MARES(マレス)。市販品はカンチブレーキ仕様だが、パワーズにはディスクブレーキ仕様のプロトタイプがあてがわれる。

コンポーネントにSRAMを使うだけにブレーキはAvidのメカニカルディスク、BB7 Road SL。ローターは同じくG2 Cleansweepで、フロント160mm+リア140mm径を使用することが特徴だ。ホイールはMTB用のEA90 XCハブとロード用のEC90リムを組み合わせた特別アイテム。タイヤはデュガストの33mm幅を1.2気圧まで落としてレースに臨んだ。

デュガストの33mmを使用。空気圧は1.2前後で調整したというデュガストの33mmを使用。空気圧は1.2前後で調整したという photo:So.IsobeXC用のEA90ハブとロード用EC90リムの組み合わせ。ローター径は160mmだXC用のEA90ハブとロード用EC90リムの組み合わせ。ローター径は160mmだ photo:So.Isobe


UCI CATEGORY ONEとレターの入るA.リンカーンのステッカーUCI CATEGORY ONEとレターの入るA.リンカーンのステッカー photo:So.IsobeペダルはUSAカラーのクランクブラザースペダルはUSAカラーのクランクブラザース photo:So.Isobe


2012年の全米チャンピオンだったことで車体には星条旗があしらわれ、サドルやペダルもナショナルカラーの供給モデルだ。ホイールと同じくステムやハンドル、シートポストはイーストンのEC90シリーズでまとめ、ケーブルはゴア。リアブレーキケーブルのみフルアウターで組まれているのが興味深いところだ。





ティモシー・ジョンソン(キャノンデールpbシクロクロスワールド.com)
キャノンデール SUPERX HI-MOD DISC

ティモシー・ジョンソン(キャノンデールpbシクロクロスワールド.com)のキャノンデール SUPERX HI-MOD DISCティモシー・ジョンソン(キャノンデールpbシクロクロスワールド.com)のキャノンデール SUPERX HI-MOD DISC photo:So.Isobe

ジェレミー・パワーズ、竹之内悠に次いで3位に入ったティモシー・ジョンソンのバイクは、バリスティックカーボンなどキャノンデール独自の技術を投入して生まれたSUPERX。昨年はカンチブレーキ仕様を走らせたが、2012-13年シーズンからは市販も行われているディスク仕様車に乗り換えた。

シーズン途中にはプロトタイプの油圧ディスクブレーキをテストしていたが、シクロクロス東京で走らせたのはメカニカル仕様のものだ。ブレーキキャリパーはジェレミー・パワーズのバイクと同じAvidのBB7 Road SLだが、前後とも140mm径のローターを使うことが相違点となる。

チームカラーのグリーンに彩られるSRAM REDチームカラーのグリーンに彩られるSRAM RED photo:So.Isobeタイヤはデュガストの32mmmをチョイス。リムはZIPPの303だタイヤはデュガストの32mmmをチョイス。リムはZIPPの303だ photo:So.Isobe


AvidのBB7 Road SLブレーキで、ローター径は前後とも140mmAvidのBB7 Road SLブレーキで、ローター径は前後とも140mm photo:So.Isobeマッシブなディスクブレーキ用フォーク。タイヤクリアランスも大きいマッシブなディスクブレーキ用フォーク。タイヤクリアランスも大きい photo:So.Isobe


ホイールはZIPP 303のリムとSRAMのRISE 60ハブを組み合わせたスペシャル品で、タイヤはデュガストの32mm幅をチョイスした。コンポーネントはSRAM REDだが、差し色がグリーンに変更されたチームエディションを使用する。ステムやハンドル/シートポストも全てZIPPのサービスクルスがアッセンブルされている。

プロトタイプのSRAM RED油圧ディスクブレーキを組み込んだSUPERXプロトタイプのSRAM RED油圧ディスクブレーキを組み込んだSUPERX photo:So.Isobe

尚シクロクロス東京にはジョンソンのメカニックの私物として、SRAM REDグレードのプロト油圧ディスクを装着したロードタイヤ仕様のSUPERXが一台持ち込まれた。聞くところによるとテスト期間を終えたもので、まだ大きな形状/仕様変更があり、本国でに正式発表は4月を予定しているという。シリンダーをレバー内に組み込んだ通称「タワー」と呼ばれる特徴的なブラケットが非常に目に付く。

パーツ構成はレースバイクと同じだが、こちらはクォークのパワーメーターとキャノンデールのオリジナルクランクセットを組み合わせている点が異なる。





ルイス・ラトリー(オーストラリア、ジャイアントオーストラリア)
ジャイアント TCX ADVNCED SL

ルイス・ラトリー(オーストラリア、ジャイアントオーストラリア)のジャイアント TCX ADVNCED SLルイス・ラトリー(オーストラリア、ジャイアントオーストラリア)のジャイアント TCX ADVNCED SL photo:So.Isobe

海外招待選手の中で唯一のオーストラリア人(他5名はアメリカ人)であるルイス・ラトリー。今季はUCIワールドカップを転戦し、世界選手権出場を果たした。若手ながらオーストラリアのシクロクロス界を牽引するパイオニア的な存在の選手だ。

ジャイアントオーストラリアのサポート受けるため、使用するバイクはTCX ADVNCED SL。普段は現行モデルのSRAM REDをアッセンブルしたバイクに乗るが、シクロクロス東京には普段サブバイクとして使う車体を持ち込んだため、コンポーネントは旧型のSRAM REDとなる。

ホイールはZIPPの303、タイヤはFMBの32mmをチョイスホイールはZIPPの303、タイヤはFMBの32mmをチョイス photo:So.Isobeジャイアント製パーツで固められるハンドル周りジャイアント製パーツで固められるハンドル周り photo:So.Isobe


ネオプレン製のチェーンステーガードを装着してレースを走ったネオプレン製のチェーンステーガードを装着してレースを走った photo:So.IsobeブレーキはAvidのShorty Ultimateを使用するブレーキはAvidのShorty Ultimateを使用する photo:So.Isobe


ブレーキはAvid、ホイールはZIPPの303を使うなど、パーツ構成はジャイアントに関係の深いもので全てまとめ上げている。ステムやハンドルもジャイアント製だ。タイヤはFMBの32mmをチョイスしている。興味深いのは駆動側のチェーンステーに巻かれたガードで、その理由は「販売しているメーカーが友達だから」。サドルはフィジークのMTB用モデル、ゴビだ。





バリー・ウィックス(コナシクロクロスチーム) 
コナ MAJOR JAKE

バリー・ウィックス(コナシクロクロスチーム)のコナ MAJOR JAKEバリー・ウィックス(コナシクロクロスチーム)のコナ MAJOR JAKE photo:So.Isobe

エリック・トンキン、スペンサー・パクソン、バリー・ウィックスと3名が来日したコナシクロクロスチームが駆ったのは、コナのラインナップ最上位モデル、MAJOR JAKE。取材を行ったのは8位に食い込んだバリー・ウィックスのバイクだ。通常はカンチブレーキ仕様となるMAJOR JAKEだが、ストッピングパワーの確保のためコナシクロクロスチームは3名ともにTRPのCX8.4Vブレーキに換装。その為シートステー上部にはカンチブレーキ用のワイヤー受けが残されている。

コンポーネントはSRAMのFORCEをアッセンブルするコンポーネントはSRAMのFORCEをアッセンブルする photo:So.IsobeブレーキはTRPのVブレーキに換装してストッピングパワーを高める工夫ブレーキはTRPのVブレーキに換装してストッピングパワーを高める工夫 photo:So.Isobe


クランクブラザースのキャンディペダルを採用するクランクブラザースのキャンディペダルを採用する photo:So.Isobe「TEAM EDITION ONLY」のロゴが入るチャレンジのグリフォ33「TEAM EDITION ONLY」のロゴが入るチャレンジのグリフォ33 photo:So.Isobe


バリー・ウィックスとスペンサー・パクソンはコンポーネントにSRAM FORCEを使用したが、エリック・トンキンのみシマノ・デュラエースを装備した。イーストン製パーツでアッセンブルされ、ホイールはEC90SLで、ハンドル+ステムは堅牢なアルミ製をチョイスしていた。

タイヤは「TEAM EDITION ONLY」のロゴが入るチャレンジのグリフォ33。ペダルはクランクブラザースのキャンディ、サドルはカリフォルニアのブランドであるWTBだ。





今回来日した海外選手は全て英語圏の選手/チームとあって、特徴的だったのはエリック・トンキン以外全ての選手がコンポーネントにSRAMを用い、アメリカンブランドを中心にパーツアッセンブルが行われていたことだ。

更にカンチブレーキからディスクブレーキ、更に油圧ブレーキの過渡期にあった2012-13年シーズンを反映するように様々な仕様のバイクが持ち込まれたのも興味深い。今シーズンはアメリカ人選手がディスクブレーキを使用したのに対し、ヨーロッパ選手はカンチブレーキを使ったが、最後半からはヨーロッパでも遂に一部選手がディスクブレーキのテストを開始している。国内で盛り上がりを見せるシクロクロスシーンだが、海外レースを走る最先端機材からもまだまだ目が離せない。


text&photo:So.Isobe