「SCIENCE OF SPEED」のスローガンを掲げ開発されたシマノのフラッグシップコンポーネンツ DURA-ACE R9200系がツール・ド・フランスデビューを果たした。新型DURAーACEで戦うシマノグローバルサポートチームの活躍を追う。

クライマー向けに設定された第109回ツール・ド・フランス

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)もシマノグローバルサポートチームのメンバーとして活躍が期待されるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)もシマノグローバルサポートチームのメンバーとして活躍が期待される photo:Makoto AYANO
世界三大スポーツ大会の一つと呼ばれるロードレースが、ツール・ド・フランス。3週間ほぼ毎日フランスの険しい山脈、風が強く吹き付ける平原、波打つような丘陵地帯で過酷なレースを繰り広げ、最終日パリに到着するまでの21日間で最強のステージレーサー、スプリンター、クライマーを決めるビッグレースだ。

ツールはジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャと並ぶ3大グランツールの一角だが、他の2つと比べるまでもなく、その存在感は極めて高い。そのプライオリティの高さゆえ、どのチームも最高の状態にあるスター選手をメンバーに選出し、それぞれのサプライヤーもツールに合わせて最高の機材を用意する。各社のフラッグシップモデルのデビューの場としても高い存在感を放っているのだ。

ツールデビューを飾ったファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)ツールデビューを飾ったファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Makoto AYANO悲願の総合優勝を目指し出場したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)悲願の総合優勝を目指し出場したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
リラックスした表情のティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)リラックスした表情のティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:Makoto AYANO総合成績に期待されるロマン・バルデ(フランス、チームDSM)総合成績に期待されるロマン・バルデ(フランス、チームDSM) photo:Makoto AYANO


そんなツールの熱い戦いが今年も開幕し、現在は9日間に及ぶ第1週目を消化した。第109回大会は歴史上初めて北欧デンマークでスタートし、フランス最北端の港湾都市ダンケルクから時計回りで総走行距離3,349kmを駆け抜ける。雨に濡れたテクニカルなオープニング個人TTや、4年ぶりにパリ〜ルーベでお馴染みの石畳(パヴェ)が登場した第5ステージ。今年もまた素晴らしいドラマが連日繰り広げられている。

ツールをツールたらしめる峠も魅力溢れる名峰ばかり。近年ツールの代名詞となったラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ、第12ステージで登場するラルプデュエズ。そして、テレグラフ峠やガリビエ峠といったアイコニックな峠をこなしながら、第11ステージでは過去25年間のうち最高標高地点となるコル・デュ・グラノンが登場する。第20ステージでマイヨジョーヌを獲得した選手が、第109第王者としてパリ・シャンゼリゼに凱旋する。

進化を遂げたDURA-ACE R9200系がツールデビュー

DURA-ACE R9200系が投入されてから初めてのツール・ド・フランスDURA-ACE R9200系が投入されてから初めてのツール・ド・フランス photo:Makoto AYANO
21日間に及ぶ過酷なツールを舞台に連日戦う選手たちは、まさに世界トップの実力を誇る。その走りを支える機材も成績を左右しうる存在であり、性能はもちろんのことノートラブルが至上命題。誰よりも安定した性能による信頼性は、レースを攻める上でのアドバンテージとなりうるのだ。

世界に誇るシマノのフラッグシップコンポーネント"DURA-ACE"はその最たる例だ。世代交代のたびに信頼性を増し、ツール・ド・フランスのプロトンでは最も高いシェアを獲得している。昨年ツールの前哨戦ではプロトタイプをチームDSMが実戦投入し、本戦では新型のC50ホイールこそ投入されたものの、コンポーネント自体の投入は見送られていた。いよいよ今年のツールでは2021年秋ににデビューを飾ったR9200シリーズがついにデビューを果たしている。

新型DURA-ACEホイールもツールデビューとなる新型DURA-ACEホイールもツールデビューとなる photo:Makoto AYANO

全てはスピードのために開発された無線変速ドライブトレイン

R9200シリーズとなったDURA-ACEは、「SIENCE OF SPEED(速さを科学する)」のもと高速化が進むレースシーンに求められる性能実現に向けて開発。結果的に12速化、無線変速という新たな基軸を盛り込みつつ、ギア比のワイド化や軽量化など、信頼性を損なうことなく更なる進化を果たした。

12速の無線変速コンポーネンツへと進化を遂げたDURA-ACE R9200系(市販品とチェーリングの仕様が異なる)12速の無線変速コンポーネンツへと進化を遂げたDURA-ACE R9200系(市販品とチェーリングの仕様が異なる) photo:Makoto AYANO
駆動剛性向上のためにワイド化されたクランクアーム駆動剛性向上のためにワイド化されたクランクアーム photo:Makoto AYANO左クランクにさりげなく刻まれた「SCIENCE of SPEED」左クランクにさりげなく刻まれた「SCIENCE of SPEED」 photo:Makoto AYANO


12速化はある意味既定路線と呼べるものだが、R9100シリーズとの大きな変化はやはり無線化だ。

これまでの長い歴史で積み重ねてきたDURA-ACE DI2の絶対的な信頼性を維持しつつ、組付け時の利便性、軽量化、変速スピードを高めるためにシマノはデュアルコントロールレバーとディレイラー間の無線化に踏み切った。受信機の役割をリアディレイラーに持たせ、バッテリーを介してフロントディレイラーと有線で接続する方式だ。

通信技術に関しても独自開発のワイヤレスICによって一般的な近距離無線通信規格(ZigBee)に対して4倍の処理速度、消費電力の75%削減を達成。さらに通信干渉頻度の低減を果たし、レースの大集団の中でも安定した変速パフォーマンスを発揮できるという。必要な時に確実に変速できる信頼性は、レースにおいて何よりも大切なもの。選手は集中力を欠くことなくレースにのめり込める。

12速化を果たしたR9200系DURA-ACE12速化を果たしたR9200系DURA-ACE photo:Makoto AYANO
その信頼性を基礎とし、12速となったDURA-ACEは変速性能の向上も果たしている。ディレイラーの変速スピードの向上はもちろんのこと、リアカセットにHYPERGLIDE+(ハイパーグライドプラス)テクノロジーを与え、ドライブトレインに負荷が掛かった状態でもスムースな変速性能を実現した。

誰よりも早く変速が完了する、かつ変速ショックが小さい変速システムは、激しくレースが動く中では仕掛ける側、追う側のどちらに回ってもアドバンテージとなる。スプリントはもちろん、山岳アタック、あるいはタイムトライアルなど、シリアスな状況になればなるほど、0.1秒の変速速度が勝負に直接影響を及ぼすことは想像に難くない。

高速化が進むプロレースで必要なワイドかつクロスレシオのギア構成

プロ選手の多くは54-40Tのチェーンリングを選択。高速化するレースと、12速化によるワイドレシオ化の結果だプロ選手の多くは54-40Tのチェーンリングを選択。高速化するレースと、12速化によるワイドレシオ化の結果だ photo:Makoto AYANO
12速になったHYPERGLIDE+採用のカセット。非常に滑らかで、スムーズな変速を約束する12速になったHYPERGLIDE+採用のカセット。非常に滑らかで、スムーズな変速を約束する photo:Makoto AYANOスパイダー部分はカーボンからアルミ製に。工作精度と軽さを追い求めたスパイダー部分はカーボンからアルミ製に。工作精度と軽さを追い求めた photo:MakotoAYANO


変速スピード向上に加えて、12速化したことでリアスプロケットは11速と比較しさらに中間域のクロスレシオ化を遂げている。スプロケットの16T追加によって中間ギアのギア比が近くなり、登りを含めて様々なシチュエーションで高いスピードを維持できるようになっている。

さらにフロントチェーンリングには、54-40Tという従来には存在しなかったビッグギアが登場している。今ツールでも数多くのプロ選手が使用しており、高速化しているレースで欠かすことはできないもの。アマチュアライダーにとっても従来以上にワイドかつクロスレシオのリアスプロケットとの組み合わせで従来以上の速度域をカバーできることは魅力的だ。

アドバンテージをもたらすコントローラブルなディスクブレーキ

よりコントローラブルな性能を獲得したDURA-ACEのブレーキシステムよりコントローラブルな性能を獲得したDURA-ACEのブレーキシステム photo:Makoto AYANO
スピードが高くなればなるほどブレーキの重要性は増していく。DURA-ACEは従来から静動力とコントロール性に定評を得てきたが、R9200系ではブレーキキャリパーのパッドクリアランスを10%拡大。ブレーキレバーもコントロールエリアを13%広げることで、ブレーキパッドがローターと接触してからフルブレーキまでの範囲を拡大している。ダウンヒルアタックを得意とする選手にとってはこの上ない武器となるだろう。

コンマ1秒でも速く走るためのエアロダイナミクス

独走するワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)独走するワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
R9100シリーズよりもブラケットフードを内側に倒し、フードを握りこむエアロポジションに対応R9100シリーズよりもブラケットフードを内側に倒し、フードを握りこむエアロポジションに対応 photo: Makoto AYANOブラケットフードの形状を変更することで、エアロポジションが取りやすくなっているブラケットフードの形状を変更することで、エアロポジションが取りやすくなっている photo:Makoto AYANO


近年のレーシング機材は押し並べてエアロ化が進み、もちろん1980年台からエアロに取り組んできたDURA-ACEも例外ではない。UCIルールでエアロポジションが制限されたことを受け、シマノはデュアルコントロールレバーをやや内側に倒すエルゴノミックデザインを採用して、ブラケットポジションのエアロ化を促進。フロントディレイラーの前方投影面積が前作比33%減という進化も遂げており、スピードのために徹底した設計が行われていることがわかる。
シマノグローバルサポートチーム
DUEA-ACEDURA-ACEホイールPROS-PHYREシューズLAZER
ユンボ・ヴィスマ-
イネオス・グレナディアーズ---
ボーラ・ハンスグローエ---
クイックステップ・アルファヴィニル---
グルパマFDJ---
アルペシン・ドゥクーニンク--
チームDSM-
アルケア・サムシック---

ツール・ド・フランスで躍動するグローバルサポートチーム

現在ツール・ド・フランスでシマノDURA-ACEを使用しているチームは22チーム中17チーム。その数字だけでもDURA-ACEの信頼ぶりは明らかだ。ここからは、シマノが直接サポートする8チームの活躍を追っていきたい。

アルカンシェルを着用して出走するフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)アルカンシェルを着用して出走するフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
猛烈な速さでトップタイムを更新したイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)猛烈な速さでトップタイムを更新したイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Makoto AYANO
第109回ツール・ド・フランスはデンマーク・コペンハーゲンでのタイムトライアルで開幕。ただでさえシビアな市街地コースは雨に濡れ、落車が頻発するハイリスクなものに。つまり、コントロール性を高めたDURA-ACEのブレーキが最も力を発揮する場面となった。

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)の暫定首位を覆したのはマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)狙いを公言するワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)。並居るTT巧者ですらファンアールトのタイムに届かなかったが、クイックステップ・アルファヴィニルのイヴ・ランパールトがトップタイムを叩き出し、最後まで首位を守り抜いて自身初のツール初勝利とマイヨジョーヌを獲得。この初日ではトップ10のうち7名がDURA-ACEユーザーだった。

急加速したファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)がトップフィニッシュ急加速したファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)がトップフィニッシュ photo:Makoto AYANO
ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)のバイクファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)のバイク photo:Makoto AYANO
波に乗るクイックステップ・アルファヴィニルは集団スプリントで決着した第2ステージでも躍動した。フィニッシュ直前で集団を二分する落車が発生したが、クイックステップはエースのファビオ・ヤコブセン(オランダ)を引き連れてスプリントになだれこむことに成功。残り150mからスプリントを開始したヤコブセンは先行する2名を捉え、自身初となるツール初優勝を掴み取った。クイックステップは2日連続で区間優勝を果たすと共に、2日連続で2位に入ったファンアールトがマイヨジョーヌを射止めることに。

デンマーク最終日となる第3ステージもスプリントフィニッシュで決着。新しい54Tチェーンリングが活躍する60km/hオーバーの位置取り合戦を経て、連日の活躍目覚ましいファンアールトが2位を獲得した。

こうしたスプリンターの戦術を大きく変えたのもシマノのDI2システムだ。STIレバーに加え、後付け可能なオプションスイッチは、初代DI2となった7970シリーズでデビューを飾るや否や、ドロップハンドルを握りながらの変速を可能とし一気にスプリンター間に広まった。TTバイクの利便性向上と並ぶ、DI2における最大利点と言えるだろう。

圧巻の独走劇を成功させたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)圧巻の独走劇を成功させたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
デンマークでの3連戦を終えたツールは移動日を挟み、いよいよフランスに戦いの場を移した。最北端の港湾都市ダンケルクをスタートする第4ステージは、4級山岳が6つ登場し、最後の一つはフィニッシュまで10.8kmしか離れていないコースレイアウト。スプリンターをふるい落としたいチームと、集団フィニッシュに持ち込みたいチームの思惑が激しく交錯した。

スプリンターチームが最終4級山岳まで集団をコントロールしたが、登りの麓からユンボ・ヴィスマが強烈なペースアップを図ると、その動きを察知していたイネオス・グレナディアーズ以外の全チームが遅れを取る展開に。ここからマイヨジョーヌを着るファンアールトが、長らく語り継がれるであろう10kmの単独逃げ切りに繋げた。

猛追するスプリンターチームをたった一人で振り切ったマイヨジョーヌ。ヒルクライムではDURA-ACEのスムースな変速がユンボ勢のペースアップを支え、リードを積み上げたダウンヒルではコントラーブルなディスクブレーキシステムがその性能を遺憾無く発揮するのであった。

各賞ジャージを前にリールのスタートラインに並んだ選手たち各賞ジャージを前にリールのスタートラインに並んだ選手たち photo:Makoto AYANO
イネオス・グレナディアースが引くメイン集団イネオス・グレナディアースが引くメイン集団 photo:Makoto AYANO
翌第5ステージは4年ぶりの石畳ステージ。この日は、近年のプロトンにおける機材変化の一つであるチューブレスホイールのシェア拡大が顕著に表れた。通常ステージからチーム全体でチューブレスを使い始めているイネオス・グレナディアーズやグルパマFDJだけではなく、選手によってチューブラーとチューブレスを使い分けるユンボ・ヴィスマでも、ネイサン・ファンホーイドンク以外がチューブレスを選択した。

各チームが採用したタイヤのほとんどが30Cというワイド幅のモデル。DURA-ACEホイールが30Cのようなワイドなチューブレスタイヤの性能を引き出し、かつパヴェ走行に耐える信頼性と軽量性のバランスを高い次元で実現したホイールとなったことで、プロチームがチューブレスを選択したのは想像ができよう。

一方で、チームDSMはパヴェステージでもチューブラーで統一した。DURA-ACEのチューブラーホイールは長年の開発で培ったテクノロジーの結晶であり、その信頼性はピカイチ。トレンドがチューブレスに傾く中で、シマノはチームが求める信頼性と速さを兼ね備えるホイールとしてチューブラー版をラインアップし続ける所に、世界最高峰のコンポーネンツメーカーとしての矜持が表れていると言っても過言ではないだろう。

選手によってホイールタイプを使い分けるユンボ・ヴィスマは、第5ステージではチューブレス使用率が高い選手によってホイールタイプを使い分けるユンボ・ヴィスマは、第5ステージではチューブレス使用率が高い photo:Makoto AYANO
イネオス・グレナディアーズは通常ステージからチューブレスを使用するチームの一つとなったイネオス・グレナディアーズは通常ステージからチューブレスを使用するチームの一つとなった photo:Makoto AYANOナイロ・キンタナはスペアバイクもチューブレス仕様としているナイロ・キンタナはスペアバイクもチューブレス仕様としている photo:Makoto AYANO


レースは砂埃が舞う北フランスの石畳を駆け抜ける中、案の定落車とメカトラブルが続くサバイバルな展開となった。この日ユンボ・ヴィスマが精彩を欠いた一方、イネオス・グレナディアーズは総合エースのアダム・イェーツとトーマス・ピドコック、ゲラント・トーマスをトップ10に送り込むことに成功している。

第6ステージではマイヨジョーヌのファンアールトが逃げた。レース開始後3時間の平均時速が50kmを超える中、狙い通り中間ポイントを稼いだファンアールトを残り10kmでキャッチ。最終局面へと駒を進めた。

この日はレースのフィニッシュが全長1.6km、平均勾配5.8%の上りの頂上に設定されており、登れるスプリンター、マイケル・マシューズ(バイクエクスチェンジ)が小集団スプリントで2位を獲得。今年グルパマFDJのエースとして戦うダヴィド・ゴデュが区間3位に食い込むなど、その実力を発揮する結果に。

1級山岳、そしてツールの総合成績を左右してきたラ・シュペールプランシュ・デル・フィーユが第7ステージで登場。昨年のツールで逃げ切り優勝を果たしているレナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)が、今年も区間優勝を目指して逃げに乗った。

身体をよじるように最後の急勾配区間をにじり登るレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)身体をよじるように最後の急勾配区間をにじり登るレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto AYANO
総合7位につけたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)総合7位につけたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
ケムナは残り200mまで粘り続けたが、各チームのエースが残る精鋭集団から飛び出したヨナス・ヴィンゲゴーらに追い抜かれてしまい、優勝は次のチャンスに繰り越された。鋭い加速を見せたヴィンゲゴーだったが一歩及ばず2位フィニッシュ。そして、チーム総合トップのイネオス・グレナディアーズは、この日個人総合トップ10に4名も選手を送り込むことに成功した。

スイスのローザンヌを目指す第8ステージは3級と4級山岳を越え、フィニッシュは3級山岳の頂上に設定された登れるスプリンター向きコース。第6ステージで悔しい2位となったマシューズは反省を活かし、真っ先にスプリントを開始するものの、今大会絶好調のファンアールトが鋭い加速でマシューズを追い抜き、大会2勝目を挙げた。

圧巻のスプリントで勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)圧巻のスプリントで勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
休息日前日の第9ステージは後半に2級、1級、1級山岳が登場するヒルクライムステージ。登坂を得意とする逃げ屋向きのコースレイアウトのこの日は約50km、時間にして約1時間の激しいアタック合戦の末形成された22名の逃げをメイン集団は容認。

中間ポイントを狙うファンアールトを含む大きな逃げ集団には、ジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアーズ)、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)やワレン・バルギル(アルケア・サムシック)らクライマーや、昨年の大会で逃げ切り優勝を果たしているパトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ)が入った。

ファンアールトとバルギルは共にDURA-ACEホイールを使い、山岳ステージでも共にエアロロードをチョイスしているが、ファンアールトはヒルクライム用に開発されたC36、バルギルはオールラウンド用のC50とホイール選択が異なる。こうしたニーズの違いに応えるのが、C36、C50、そしてC60と3種類展開になったDURA-ACEホイールの役割だ。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)らシマノグローバルサポートチームのメンバーが逃げに乗るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)らシマノグローバルサポートチームのメンバーが逃げに乗る (c)CorVos
ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が逃げを追走するティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が逃げを追走する photo:Makoto AYANO
残り60km地点から始まった単独逃げを捉えるべく、ピノは単独で追いすがるものの、捉えるには至らずステージ2位に。ただし復調の兆しを見せており、昨年まで愛用していた9000シリーズからR9200系ホイールに乗り替えたピノが、この先のヒルクライムステージで再びアグレッシブな走りを披露してくれることを期待したい。
提供:シマノセールス 制作:シクロワイアード編集部