ツール・ド・フランス2010開幕。難コースに挑むシマノユーザーの選手達

断続的に降り注ぐ雨の中、オランダ・ロッテルダムの個人TTで開幕したツール・ド・フランス2010断続的に降り注ぐ雨の中、オランダ・ロッテルダムの個人TTで開幕したツール・ド・フランス2010 photo:Kei Tsuji
デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) シマノ製品をメイン機材に据えるラボバンクのエース。自身初のツール総合優勝を狙う。photo:Makoto Ayano世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランス2010がいよいよ開幕した。7月3日の個人タイムトライアルを皮切りに、史上6度目となる本格的なパヴェ区間が登場するほか、超級山岳が続くピレネー4連戦など、例年にない厳しいコースが続く。

まずはシマノ製品を使用し、今年の全長約3600kmの難コースに挑む有力選手達を写真入りで紹介しよう。

個人総合争いはアルベルト・コンタドールをはじめ、史上最多の8度目の優勝を目指すランス・アームストロング、ジロを制して勢いに乗るイヴァン・バッソらが参戦。シマノ使用チームからは昨年のジロ・デ・イタリア覇者、デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)がこの争いに加わってくる。静かな男が燃やす闘志に期待したい。

そしてゴール前をにぎわすスプリント賞候補筆頭はやはりこの人、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTCコロンビア)。昨年ツールでは破竹の勢いでステージ計6勝、シャンゼリゼゴールを制して締めくくった。

彼の強力なスプリントを支えるのはPROのハンドルバーやステム。左右に振っても余計なブレがなく、正確にパワーを伝達してくれるため、安心して激しいスプリントをこなすことが可能だ。シマノ&PRO製品がインストールされたバイクを駆る、世界チャンピオン3度のオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)とともにゴールスプリントを華やかなものにしてくれるだろう。

昨年のツールで6勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTCコロンビア)昨年のツールで6勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTCコロンビア) 彼の強烈なスプリントを支えるのもシマノ製品だ。photo:Makoto Ayano
オスカル・フレイレ(オランダ、ラボバンク)オスカル・フレイレ(オランダ、ラボバンク) 今季も数々のゴールスプリントを制しており、その力は健在。カヴェンディッシュの有力な対抗馬だ。photo:Cor Vos 山岳賞候補の一角、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)山岳賞候補の一角、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) 前哨戦ツール・ド・スイスでは、難関山岳を制し、一時リーダージャージも奪取した。混戦模様の赤玉ジャージを獲りに行く。photo:Cor Vos 総合力あるトニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)は新人賞候補総合力あるトニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)は新人賞候補 普段はカヴェンディッシュのアシスト的存在だが、山岳ステージや個人TTなど、その役目から解き放たれた時の動きに注目だ。photo:Cor Vos サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)。 ツールのステージ優勝経験者。エースのクリストフ・ルメヴェルをサポートしながらステージ優勝に賭ける。photo:Makoto Ayano

群雄割拠のツール・ド・フランス2010、そんな過酷なステージレースを戦う機材として、シマノの製品は多くのチームや選手から絶対的な信頼を集めている。ランス・アームストロングが達成した前人未踏のツール7連覇も、昨年のマーク・カヴェンディッシュのステージ6勝という快挙も、シマノの製品が支えたもの。他にも数多くの勝利を量産し続けているのは周知の事実だ。

それではシマノの最新モデルから、選手の活躍を足元で支えるホイールと、注目が高まっているPROブランドの製品を中心に、レース会場から届いたばかりの最新写真を中心に紹介していこう。

PRO

すでに日本の市場に参入してから4年がたち、今ではすっかり高品質なパーツブランドとしての地位を確立したPRO。ここ数年はツール・ド・フランスなどの3大ツールでも多くのチームに採用されており、ステージ勝利も量産中とあって、その評価はますます高まっている。

PRO製品は、ツール・ド・フランス2010でも数多くのチームに採用されている。個人総合争いの有力候補の一角、デニス・メンショフを擁するラボバンク、昨年のツールでステージ6勝を飾った最強スプリンター、マーク・カヴェンディッシュの所属するチームHTC・コロンビア、フランセーズデジューの3チームはパーツとディスクホイールを、チームスカイはディスクホイールを使用する。

PROの豊富なラインナップ。様々なライディングフォーム、スタイルに応じたチョイスが可能だPROの豊富なラインナップ。様々なライディングフォーム、スタイルに応じたチョイスが可能だ
ツール・ド・フランス2010でPROを使用するチームツール・ド・フランス2010でPROを使用するチーム 左からラボバンク(パーツ&ディスクホイール)、チームHTCコロンビア(パーツ&ディスクホイール)、チームスカイ(ディスクホイール)、フランセーズデジュー(パーツ&ディスクホイール)、エウスカルテル(ディスクホイール)
ジロ・デ・イタリア第1ステージの個人TTで勝利したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)。チームスカイはPROのカーボンホイールを使用するジロ・デ・イタリア第1ステージの個人TTで勝利したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)。チームスカイはPROのカーボンホイールを使用する photo:Kei Tsuji
今年もカヴェンディッシュでスプリント勝利を狙うチームHTCコロンビア今年もカヴェンディッシュでスプリント勝利を狙うチームHTCコロンビア photo:Kei Tsuji
DURA-ACEホイール、PROハンドルバーなどを装着してツール・ド・フランス2010チームプレゼンテーションに並んだラボバンクDURA-ACEホイール、PROハンドルバーなどを装着してツール・ド・フランス2010チームプレゼンテーションに並んだラボバンク photo:Makoto Ayano


フランセーズデジューのエース、クリストフ・ルメヴェル(フランス)フランセーズデジューのエース、クリストフ・ルメヴェル(フランス) photo:Makoto Ayano ツール・ド・フランス2010プロローグ。カウントダウンが終わり、エウスカウテルの選手がロッテルダム市内のコースに飛び込んでいくツール・ド・フランス2010プロローグ。カウントダウンが終わり、エウスカウテルの選手がロッテルダム市内のコースに飛び込んでいく Photo:Makoto Ayano

PROのラインナップは、ハンドルとステムだけを見ても非常に幅広いラインナップを展開する。ツール出場選手の多くが使用するバイブシリーズ、TTステージで選手御用達のミサイルシリーズ、比較的求めやすい価格を実現したPLT、XLT、ALTシリーズまで、用途や予算に応じてさまざまな選択肢が用意されている。また、ハンドル幅や形状、ステムの突き出し量といったサイズ展開も豊富で、あらゆるライダーに最適なサイズが選べるのも特徴だ。

「軽さと強度の高い次元での両立」というプロ選手の厳しい要求にも応えつつ、性別や体格、競技レベルといったホビーライダーの十人十色のニーズも満足させられること——。これがPRO製品の最大の強みだ。

シマノホイール

90年近くに及ぶシマノテクノロジーの「伝統」。それは、DURA-ACE、XTRといったレーシングコンポーネントにおいて実現してきた先進の機能として結実している。そして、その妥協なき高性能の追求はホイールテクノロジーにも余すところなく活かされている。エアロダイナミクス、軽量性、剛性。ホイールに求められる様々な要素を高次元バランスで実現、あらゆるライディングスタイルに“より速いホイール”を提供。

世界のリアルレーシングフィールドのシビアな戦いの中で実戦テストが施され、価値ある高性能を実証してきたのである。すべてのホイールがハンドメイドで作り出される。それぞれのホイールがパーフェクトなライディングを約束する高次元バランスのホイールとして製品化される。

そして左のロゴがシマノホイールを使用してツール・ド・フランス2010に参加しているチームだ。左上からラボバンク、チームスカイ、フランセーズデジュー、エウスカルテル。いずれもPROや他のシマノ製品を同時に採用しているチームばかりで、シマノ製品への信頼性の高さがうかがえる。

WH-7850-C50WH-7850-C50 プロツアーライダーに高い人気を誇る超軽量ハイスピードレースモデル。カーボンファイバーリム採用のチューブラータイヤモデル。リムハイト 50mmにより推進力のある走りを実現。ハブ軸に剛性と 軽量化を両立したオーバーサイズの 7075 アルミ合金を採用。写真はチューブラー用(WH-7850-C50-TU)。クリンチャー用(WH-7850-C50-CL)もある。 WH-7850-C24WH-7850-C24 カーボンリムの軽量性をさらに追求した構造。ヒルクライムセクション での圧倒的な踏み出しの軽さは大きなアドバンテージ。ハブ軸に剛性と 軽量化を両立したオーバーサイズの 7075 アルミ合金を採用。写真はチューブラー用(WH-7850-C24-TU)。クリンチャー用(WH-7850-C24-CL)もある。 DURA-ACE WH-7850-C24-TLDURA-ACE WH-7850-C24-TL ロードチューブレス / クリンチャー兼用。卓越したシマノホイールテクノロジーが可能にした軽量性と強靱性を兼ね備えたカーボン/ アルミ・コンポジットリムのチューブレスタイヤ対応モデル。ハブ軸に剛性と軽量化を 両立したオーバーサイズの 7075 アルミ合金を採用。

シマノ・イノベーション — シマノのホイールテクノロジー

ロウ付け溶接による強化T ナット(チューブレスタイプリム)ロウ付け溶接による強化T ナット(チューブレスタイプリム) T ナット構造により、強度を必要とするリムのニップルがねじ込まれる部分を強化。これにより最適なスポークの方向とテンションが保持され、強度と剛性を増しながらも、最小の重量増にとどめる。 カーボンラミネートによる補強カーボンラミネートによる補強 強度が必要なニップル組み付け部分には、他よりも厚い24 層の軽量ユニダイレクショナル・カーボンラミネートで0.55mm 超薄肉アルミリムを被い※、重量、剛性、走行性の絶妙のバランスを実現する。※ カーボン・アルミコンポジットモデルのみ

50mmハイトのエアロカーボンリム50mmハイトのエアロカーボンリム 繊維の方向性を一定にし、力のかかる方向に対し、より強さを発揮するユニダイレクショナルカーボンファイバーと肉薄のアルミリムの融合により、二つの素材が互いの特性を補い合い、機能的で、軽量でありながら剛性の高いエアロホイールを実現している。 冷間鍛造イノベーション冷間鍛造イノベーション シマノの冷間鍛造技術は、素材の組織を破壊しない高度な技術として世界に知られ、その強さ、性能、信頼性が高く評価されている。

シマノでは、軽量性と耐久性の相反する要素のバランスを、重い素材を削っていくことで軽量化を図るのではなく、軽い素材を選択し、必要なところに必要なだけ補強していく独自の手法を採用。

より軽量でありながら優れた耐久性を兼ね備え、「勝利」をキーワードに、パーフェクトなライディングパフォーマンスの持続を実現している。PROのカーボンホイールに加え、DURA-ACEをはじめとした豊富なラインナップを取り揃え、あらゆるレベルとシチュエーションに対応する。

選手の好みや脚質によって、別々のPROホイール、シマノホイールをアッセンブルされたチームスカイのTTバイク選手の好みや脚質によって、別々のPROホイール、シマノホイールをアッセンブルされたチームスカイのTTバイク Photo:Makoto Ayano ツール開幕前にパヴェを試走するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はシマノDURA-ACEホイールを選択ツール開幕前にパヴェを試走するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はシマノDURA-ACEホイールを選択 photo:Cor Vos

ジロ・デ・イタリア2009、チームメイトに牽かれてエレモ峠を進むマリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)。今回のツールにも出場し、総合優勝に向けて静かな闘志を燃やしているジロ・デ・イタリア2009、チームメイトに牽かれてエレモ峠を進むマリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)。今回のツールにも出場し、総合優勝に向けて静かな闘志を燃やしている photo:Kei Tsuji



次のページからは、プロレーサーが実際にツールで使う機材を現地からのフォトレポートでお届けする。 ツールでは、プロトタイプや来年以降に発売予定のモデルがたびたび選手たちによって試されている。それは、ツールが世界最大のロードレースであるとともに、新しい機材を試して製品開発にフィードバックする最大にして最高のテストの場でもあるからだ。

今回のレポートでは、秘密のベールに包まれたプロトタイプや未発表の機材もピックアップするので、ぜひ注目してほしい。

提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード