E-グラベルバイクだからできるこそ遊びをしてみたかった。例えば、荷物を満載したトレーラーを引っ張って、山中で本物のバーベキューを楽しんでみたり、とか。Topstone Neo Carbonは、ただ脚の差を埋めるだけでも、より遠くへ、より高く難しいところへ行けるだけじゃない。その可能性を確かめるべく、いざ、初冬の西伊豆へ。

山の上で、本気のBBQを

荷物満載のトレーラーを引っ張って、Topstone Neo Carbonで西伊豆の林道を駆け上がる荷物満載のトレーラーを引っ張って、Topstone Neo Carbonで西伊豆の林道を駆け上がる photo:So Isobe
目を丸くしてこちらを見るサイクリストと、あるいはドライバーやライダーと、何人すれ違ったのだろう。その数を数えていたけれど、あまりに驚いている人が多かったので途中でやめてしまった。道具を満タン積みしたトレーラーを引っ張って、登り坂を(人力なら)ありえない速度で快走するE-BIKEの集団は、誰の目にも不思議に映るらしい。

「この組み合わせって、荷物が載らない、坂がキツいっていう自転車の弱点を一気に解消してますよね。いやあ、これほど楽しいとは思わなかった」と、口を揃えたのは、アメリカンBBQの伝道師である今田さんと、その弟子を公言する関根さんのお二人。E-グラベルバイクとトレーラーを組み合わせたら、きっと凄いことができるんじゃないの?という”カズ”こと山本和弘さんのアイディアは、Topstoneを誰よりも愛する人だけあって、やっぱり正しかった。

集合場所はロッジモンド。素敵な空間に心踊った集合場所はロッジモンド。素敵な空間に心踊った photo:So Isobe調理班のお二人。ピットマスター今田さん(左)と、弟子を公言する関根さん(右)調理班のお二人。ピットマスター今田さん(左)と、弟子を公言する関根さん(右) photo:So Isobe

キャノンデールが誇るグラベルバイク、Topstone(トップストーン)シリーズと共に、全国各地を旅する連載記事の第3弾のコンセプトは「E-バイクxアウトドアクッキング」。最大トルク75Nmを誇るTopstone Neo Carbonのパワーをフル活用し、重たいダッチオーブンをガタゴト運び、山中で料理を楽しんでしまおうという、どこまでもリッチな大人の遊びだ。

せっかくやるならキャンプ飯を軽く飛び越えるものを。料理に100%集中したいから、走る場所は冬でも温暖な西伊豆を。それまで微妙だった空模様が奇跡的に回復したのは、きっと誰かの行いが良いからだろう。西伊豆の古道再生プロジェクトで名の知れたYAMABUSHI TRAIL TOURのガイド、平馬さんと合流し、彼らが営むロッジモンドで明日の行程を確認する。魅力的なプランに思わず心がときめいた。

潮風に後押しされるように、松崎漁港を出発した潮風に後押しされるように、松崎漁港を出発した photo:So Isobe松崎町で多く残る「なまこ壁」。保存活動も活発だという松崎町で多く残る「なまこ壁」。保存活動も活発だという photo:So Isobe

起伏の激しい西伊豆の海岸線。E-バイクにはうってつけの場所だった起伏の激しい西伊豆の海岸線。E-バイクにはうってつけの場所だった photo:So Isobe
総重量30kg以上トレーラーをいとも簡単に引っ張ってしまう総重量30kg以上トレーラーをいとも簡単に引っ張ってしまう photo:So Isobe
「うわ、ちょっとこれすごい。全然重さが気にならない。めちゃくちゃ楽しい」と、松崎町の漁港を出発した途端、今田さんと関根さんが目を輝かせた。「どれだけ積めるか分からないので全部持ってきた」という調理道具を、結局全て積載してしまったバーレーのトレーラーを引っ張ってもなお、Topstone Neo Carbonのパワーは凄まじかった。

西伊豆は、海沿い=(イコール)平坦という図式が一切当てはまらない場所だ。かつて島だった伊豆半島が本州とぶつかって生まれた起伏はかくも厳しく、少し走っただけで獲得標高はどんどん上積みされていく。急勾配が続くこんな場所ですら、25kg以上の荷物を引っ張るTopstone Neo Carbonはぐいぐいと加速する。アナログ(キャノンデールの言葉を借りれば)Topstone Carbonに乗る私が、ともすれば置いていかれそうになるくらいに。

その驚きは、かつてホビーロードレースに没頭していたものの、今はすっかり乗らなくなってしまったという関根さんにとっても同じだった。「今体重が100kgを超えてしまって、正直自転車遊びは諦めていたんです。いくらE-バイクといっても乗るまで不安でしたが、これなら全然大丈夫。すごく楽しい」と満面の笑顔。「乗るとご飯が美味しく感じちゃうから、そこは不安ですけどね」。

未舗装路に分け入る。シダ科の植生が南国を感じさせた未舗装路に分け入る。シダ科の植生が南国を感じさせた photo:So Isobe
枝を集めて着火。ピットに魂が宿った枝を集めて着火。ピットに魂が宿った photo:So Isobe野菜は皮付きが一番美味いのだ野菜は皮付きが一番美味いのだ photo:So Isobe

今田裕一さん(Space Smoker主宰)。米軍基地内のBBQコンテストで優勝経験を持つピットマスターだ今田裕一さん(Space Smoker主宰)。米軍基地内のBBQコンテストで優勝経験を持つピットマスターだ photo:So Isobe
日本料理なら板前であり、フランス料理ならシェフ。アメリカンBBQの世界では、ピット(火どこ)を取り仕切る料理人を「ピットマスター」と呼び称賛するという。今回の案内?役である今田さんは、在日米軍基地勤務のカメラマンであり、数年前までJプロツアーを走っていた本気のホビーレーサーであり、基地内のBBQコンテストでも優勝する腕前を持つ日本屈指のピットマスターだ。

「友人のホームパーティーに誘われた時、本物のBBQに触れたことがきっかけ。日本でBBQと言えば家族や友達で網や鉄板を囲むアクティビティですが、アメリカでは料理法を意味します。腕の良いピットマスターの肉は感動できますよ」。今田さんによれば、ステーキにならなかった硬い部位を、いかに美味く仕上げるかがアメリカンBBQの真髄。だからスモークやシーズニングという手間暇かける技法が生まれ、場合によっては半日以上燻しながら完成を目指すものもある。今田さん自身も本場テキサスに赴き知見を深めてきたという。

丸鶏にはシーズニングを欠かさない。もちろん今田さんのオリジナルブレンド丸鶏にはシーズニングを欠かさない。もちろん今田さんのオリジナルブレンド photo:So Isobe豪快かつ丁寧。ピットマスターの手際が光る豪快かつ丁寧。ピットマスターの手際が光る photo:So Isobe

火起こしから1時間半あまり。そろそろ完成が近づいてきた火起こしから1時間半あまり。そろそろ完成が近づいてきた photo:So Isobe
平馬さんの案内で海沿いの県道を逸れ、内陸に向けて高度を上げる林道に切り込んでいく。Eバイクだけど、しっかり踏み込めば、しっかりと心拍数も上がる。11月末だというのに太平洋を渡ってくる空気は暖かく、太陽の眩しさは南国のそれ。伊豆半島は、真冬の寒さを気にする必要のないサイクリストの天国だ。

道端の植生に南国を感じつつ、簡易舗装の林道で標高を上げ、もうしばらく使われていない未舗装路を降りた先に、目的地となる平場はひっそりとあった。かつて年貢の徴収を免れるために作られた隠し田だったというこの場所は、確かにキャンプ地とするには絶好の場所だ。手早く荷をほどき、今田さんの指示を聞きながらピットの準備に取り掛かった。

嬉しそうなカズさん。この10秒後、あまりの美味さで無表情に嬉しそうなカズさん。この10秒後、あまりの美味さで無表情に photo:So Isobe「美味いね。最高」。「美味いね。最高」。 photo:So Isobe

メインディッシュが登場。歓声が山にこだましたメインディッシュが登場。歓声が山にこだました photo:So Isobe
香ばしい焦げ目は、上火を使えるダッチオーブンならでは香ばしい焦げ目は、上火を使えるダッチオーブンならでは photo:So Isobe関根さん以上に肉が似合う人はそうそういないはず関根さん以上に肉が似合う人はそうそういないはず photo:So Isobe

「向こうのBBQはスモークが基本なんです」と今田さん。ライドと組み合わせた今回は、時間が掛かるプルドポークやリブの代わりに、炭火焼ハンバーガーとダッチオーブンでチキンの丸焼きと決め込んだ。「例えバーガーパティでも、きちんとスモークすると凄く美味くなる。そしてスモークする木は乾き具合も大切。ある程度湿り気があった方がいい香りになるんですよ」 。

そんな話を聞いているうちに仕込みが終わり、ダッチオーブンに肉が入り、香ばしい薫りが一帯を包み始めると、あれよあれよと完成に近づいていく。今田さんは「3時間ぐらい掛かるからどこか走りに行ってれば?」と薦めてくれたけれど、エンターテイメントのごときピットマスターの手さばきは、ずっと見ていても、一瞬足りとも退屈なんてしなかった。できたての熱々を頬張った美味しさはあえて説明しません。きっと、きっと写真で伝わるはずだから。

片付けを終え、傾き始めた太陽に急かされるようにトレイルを目指した片付けを終え、傾き始めた太陽に急かされるようにトレイルを目指した photo:So Isobe
650BホイールとLeftyサスペンションを装備したTopstone Neo Carbon Lefty 3 650BホイールとLeftyサスペンションを装備したTopstone Neo Carbon Lefty 3 photo:So IsobeトレーラーはバーレーのトラボーイV2。その積載力と、重さを感じさせないシステムに驚いたトレーラーはバーレーのトラボーイV2。その積載力と、重さを感じさせないシステムに驚いた photo:So Isobe

手早く後片付けを済ませ、荷物をトレーラーに積み込んで、もと来た道を戻っていく。時刻はまだ14時。僕らはトレーラーを平馬さんのキャラバンに預け(これができるのはツアーならではの魅力)、随分と身軽になってシングルトラックに分け入った。

YAMABUSHI TRAIL TOURーの目玉である古道トレイルは本来MTB向けだけど、前後サスペンション装備のTopstone Neo Carbon Leftyなら少し気をつければ普通に走ってしまう。山の見晴台で目を細めた夕陽は、松崎の海岸線まで降りると真っ赤に燃えながら水平線へ沈もうとしていた。

トレーラーをクルマに預け、身軽になってトレイルへ。ツアーだからこそ可能なプランだトレーラーをクルマに預け、身軽になってトレイルへ。ツアーだからこそ可能なプランだ photo:So Isobe急勾配のスイッチバックを飛ばすカズさん急勾配のスイッチバックを飛ばすカズさん photo:So Isobe

YAMABUSHI TRAIL TOURの代名詞である古道。Leftyが活きる場面だYAMABUSHI TRAIL TOURの代名詞である古道。Leftyが活きる場面だ photo:So Isobe
太平洋に太陽が沈んでいく。松崎の海岸線を目指し、急いで山を降りた太平洋に太陽が沈んでいく。松崎の海岸線を目指し、急いで山を降りた photo:So Isobe
脚力差を埋めるだけでも、より遠くへ、より高く難しいところへ行けるだけじゃない。Topstone Neo Carbonは、今までの不可能を可能にする存在だと認識した。Topstoneの始祖たるSLATEが描きだした新しいスタイルは今、Leftyサスペンションと電動アシストという強力なタッグを得て、更に昇華しようとしている。

遊び方はまさに無限大。今までの概念を打ち破る、新しいバイクがここにある。

使用バイク:Topstone Neo Carbon シリーズ紹介

Topstone Neo Carbon 4(左)&Topstone Neo Carbon Lefty 3(右)Topstone Neo Carbon 4(左)&Topstone Neo Carbon Lefty 3(右) photo:So Isobe
「荷物満載のトレーラーを引っ張って、山でBBQを」というテーマを可能にしてくれたのが、キャノンデールが誇るE-グラベルバイクのこの2台。どちらも最大トルク75Nm、連続定格出力250WというボッシュのPerformance Line CXを搭載するハイパフォーマンスモデルだ。Lefty装備の「3」は650Bホイールでグラベル寄り、前後リジッドの「4」は700Cホイール装備でオンロード寄りと、走る環境に合わせて選択可能だ。税込価格はそれぞれ66万円と55万円。

Topstone Neo Carbon Lefty 3詳細
Topstone Neo Carbon 4詳細

提供:キャノンデール・ジャパン、協力:ライトウェイプロダクツジャパン
text&photo:So.Isobe