2019/10/29(火) - 13:45
イタリア北部フランチャコルタ地方で毎年行われる300kmのグラベルチャレンジライド「JEROBOAM GRAVEL CHALLENGE」。3Tがグラベルバイクのエクスペリエンスとして企画し、3年目のシーズンを迎えた大会の模様を3Tマーケティング担当・樋口さんがレポートする。
昨今グラベルカテゴリーのバイク&パーツ開発にも力を注ぐイタリアンブランド、3Tが主催するグラベルチャレンジイベント「JEROBOAM」。イベントの舞台はミラノから1時間半ほど東にある街、ERBUSCO(エルブスコ)。スパークリングワインの産地であるフランチャコルタ地方は、ブドウ畑が広がり、ワイナリーが数多く点在している。標高2,000mを超える山々も近くに存在し、ブドウ畑の畦道と合わせ、グラベルには事欠かないフィールドだ。
JEROBOAMは3リットルのワインボトルのサイズにあてはめられた名称で、イベントは300kmをJEROBOAM(ジェロボーム)、150kmをMAGNUM(マグナム)、75kmをSTANDARD(スタンダード)、37.5kmをDEMI(デミ)とそれぞれワインボトルサイズの名称にちなんだ距離別のクラスを設定している。
300kmの総走行距離のうち70%がグラベル区間、30%が舗装で獲得標高は約6,500m。ロードバイクでもマウンテンバイクでも参加は可能だが、グラベルバイクでの参加が最も有利になるルート設定。時間を競い合う競技ではないものの、速いライダーで約21時間、仮眠する事も無く走りきる。もちろん途中のツーリストホテルやテントを携行しての仮眠をとりながら走る事も可能。300kmのJEROBOAMカテゴリーの制限時間は37時間だ。
イベントの週末は金曜の18時頃から前日受付が始まり、メカニックサービスでバイクの整備の後は参加者に振舞われるビール(ワイナリーが多数点在しながらも、ここはビールなのだが)とパスタでカーボローディングをしながら、翌日のグラベルチャレンジに向けて参加者同士歓談のひと時を過ごす。
世界各国から集まる参加者達は、それぞれの国のグラベルの話、1,000kmを超えるグラベルチャレンジの話、グラベルバイクの話など、さながらバックパッカーホステルでよくある旅自慢さながらの会話で盛り上がる。
スタート/フィニッシュエリア横には、無料で泊まれるテントサイトを設置し、会場であるエルブスコ役場にある運動施設のシャワーを利用して汗を流すことができるため、早朝スタートやゴール後の休憩、仮眠にも嬉しい特典となっている。
大会当日、300kmクラスのスタートを前にまだ暗い6時頃から参加者が集まりはじめた。エスプレッソコーヒーを飲みながら、テーブルの上に並べられたビショット(クロワッサン)、フルーツ、エネルギーフードを摂る。ウォームアップをする姿もなく、走りだしてから身体を温める。
朝7時過ぎ、300kmのスタート。それぞれの目標を胸に約30名のチャレンジャー達が走り出した。300kmクラスのスタートを終えると、150km、75km、37.5kmの参加者がぞくぞくと会場に集まってくる。
受付を済ませ、300kmと同様にバイクの準備と朝食、コーヒーを摂りながらスタートを待つ。150km、75kmの参加者が多く、2019年3Tアンバサダーを務めるフランク・シュレク氏も75kmのコースをEXPLOROで走る。
午前9時、150km、75km、37.5kmの総勢約120名がスタート。ブドウ畑の畦道を走り、10%を超える勾配の悪路の林道、大き目の岩がごろごろと転がっているダートなど様々な路面と美しい景色を楽しみながら目標の距離にチャレンジしていく。
ルートをしめす標識は一切設置しておらず、予めルートをGPSデバイスに読み込んでおき、デバイスを確認しながら走る。途中、いくつかのチェックポイントが設けられ、フルーツなどの補給食を摂る事ができるが、メカニックサービスはなくトラブルの際にはセルフリカバリーのスキルが必要なチャレンジライドだ。
150kmのクラスには20%ほどにもなる急勾配の坂もあり、楽しさの中にも随所に苦しめられるポイントがあるのも面白い。パンクも所々で発生し、参加者同士助け合いながら、声をかけながらゴールに向かっていく。
標高2000mほどの高原を走る区間は絶好のイタリアングラベルが続く。岩がゴロゴロと転がるダブルトラックや押しが強いられるシングルトラックもあり、体力を奪われる。ここまでで、獲得標高は3,000mほどになっているため、脚は重いものの目の前に広がるのは絶景だ。
グラベルチャレンジは走りだけでなく、普段の生活では見る事のできないような景色を眺める事もできるのがポイントの一つ。とにかく、美しいロケーションを走る事ができる。単独で走るのもよし、途中でグループを形成して走るのもよし。イタリアらしく終始、会話を楽しみながら走るのも楽しい。JEROBOAMグラベルチャレンジは普段経験できないからこそ楽しさも広がる。
14時過ぎ。メイン会場では75kmのライダー達がゴールし始めた。皆笑顔でグラベルチャレンジを走り終える。疲労感は多分、翌日以降に出てくるのだろう。ゴール後は、参加者同士バイクやルートの景色など、JEROBOAMグラベルチャレンジの魅力を語り合い、ビールを飲み、バーベキューを食べながらグラベルチャレンジの余韻を楽しむ。
日が落ちてからも続々とライダー達がフィニッシュしてくる。暗闇の中、自転車のヘッドライトの灯りが見えると会場内から拍手が沸き起こり、フィニッシャーを会場に迎え入れる。不安になる夜の闇の中走り続け、ようやく辿り着くゴールでホッとする瞬間だ。
300kmのカテゴリーでは仮眠を取らずに、夜通し走るライダーも多いが、メイン会場では終始ライダー達の位置をモニター上でリアルタイムに把握し進行が確認できる。
午前4時過ぎ。300kmのライダー達がフィニッシュ。日が昇るに従いライダー達が帰ってくる。走行距離300km、獲得標高6,500mのグラベルチャレンジを終えても、皆楽しそうで疲れた顔をしていないのが不思議だ。
フィニッシュ後はメインボードに完走のサインを書き込んで、ビールで乾杯。3T社長のRene曰く、「サイクリストは走り終わったら、ワインではなく、ビール。」JEROBOAMはワインにちなんだイベントなのに、ワインが振舞われないのは何故??の問いかけに対してはイタリアでも「ゴール後はとりあえずビール」らしい。
ビールを飲んで、シャワーを浴びて、仮眠をとったり、バーベキューを食べたりしながら、また参加者同士の歓談が始まる。綺麗だった場所や、テクニカルな区間、新しいピレリタイヤの印象など、グラベルチャレンジは話に尽きない。
残念ながら、完走した参加者からは“きつかった”という言葉は一切聞く事ができなかった。
“素晴らしい景色”、“楽しい”、300kmの感想はそれしかない。
300kmを走り終え、ソファでうたた寝をしていたフランスからの参加者に聞いてみた。
夢から覚めたら、目の前が来年のJEROBOAMのスタートだったらどうする?
――わかんないけど、多分、走るしかないね!
2020年JEROBOAMはイタリアをはじめヨーロッパ、アジアで開催される予定だ。詳細は随時3T JAPANのサイトでアップされる。
グラベルは新しいカテゴリーで、私も昨年から乗り始めてますが、スピードを追求する事に限定されず、自然を楽しみながら仲間と楽しい時間を共有するライフスタイル的なのが面白いところです。ロードバイクとの違いはグラベルはタフさよりも、ライディングスキルが求められますね。
300kmの中で最初の160kmほどのところまでは山岳地帯を走りました。標高が2,000m程度のところを走るのですが、ものすごく景色が良いところで感動します。少し岩がありますが、楽しく走れました。その後、若干の舗装下りを経て渓谷のシングルトラック、そして舗装ですが絶景のポイントを走り抜けます。コースディレクターがこのようなルートを引いてくれたおかげで、300kmも終始楽しく走る事ができました。
昨年よりもハードなコース設定になりました。路面のコンディションも勾配もきつかったですが、ロケーションも良く、参加者の方には好評だったかと思います。マウンテンバイクでもよく利用されているところも随所に入れたので面白いルートになりました。JEROBOAMはグラベル区間を走るのも楽しめるだけでなく、素晴らしい景色も楽しめる特別なイベントです。
3T主催グラベルチャレンジイベント「JEROBOAM」
昨今グラベルカテゴリーのバイク&パーツ開発にも力を注ぐイタリアンブランド、3Tが主催するグラベルチャレンジイベント「JEROBOAM」。イベントの舞台はミラノから1時間半ほど東にある街、ERBUSCO(エルブスコ)。スパークリングワインの産地であるフランチャコルタ地方は、ブドウ畑が広がり、ワイナリーが数多く点在している。標高2,000mを超える山々も近くに存在し、ブドウ畑の畦道と合わせ、グラベルには事欠かないフィールドだ。
JEROBOAMは3リットルのワインボトルのサイズにあてはめられた名称で、イベントは300kmをJEROBOAM(ジェロボーム)、150kmをMAGNUM(マグナム)、75kmをSTANDARD(スタンダード)、37.5kmをDEMI(デミ)とそれぞれワインボトルサイズの名称にちなんだ距離別のクラスを設定している。
300kmの総走行距離のうち70%がグラベル区間、30%が舗装で獲得標高は約6,500m。ロードバイクでもマウンテンバイクでも参加は可能だが、グラベルバイクでの参加が最も有利になるルート設定。時間を競い合う競技ではないものの、速いライダーで約21時間、仮眠する事も無く走りきる。もちろん途中のツーリストホテルやテントを携行しての仮眠をとりながら走る事も可能。300kmのJEROBOAMカテゴリーの制限時間は37時間だ。
イベントの週末は金曜の18時頃から前日受付が始まり、メカニックサービスでバイクの整備の後は参加者に振舞われるビール(ワイナリーが多数点在しながらも、ここはビールなのだが)とパスタでカーボローディングをしながら、翌日のグラベルチャレンジに向けて参加者同士歓談のひと時を過ごす。
世界各国から集まる参加者達は、それぞれの国のグラベルの話、1,000kmを超えるグラベルチャレンジの話、グラベルバイクの話など、さながらバックパッカーホステルでよくある旅自慢さながらの会話で盛り上がる。
スタート/フィニッシュエリア横には、無料で泊まれるテントサイトを設置し、会場であるエルブスコ役場にある運動施設のシャワーを利用して汗を流すことができるため、早朝スタートやゴール後の休憩、仮眠にも嬉しい特典となっている。
大会当日、300kmクラスのスタートを前にまだ暗い6時頃から参加者が集まりはじめた。エスプレッソコーヒーを飲みながら、テーブルの上に並べられたビショット(クロワッサン)、フルーツ、エネルギーフードを摂る。ウォームアップをする姿もなく、走りだしてから身体を温める。
朝7時過ぎ、300kmのスタート。それぞれの目標を胸に約30名のチャレンジャー達が走り出した。300kmクラスのスタートを終えると、150km、75km、37.5kmの参加者がぞくぞくと会場に集まってくる。
受付を済ませ、300kmと同様にバイクの準備と朝食、コーヒーを摂りながらスタートを待つ。150km、75kmの参加者が多く、2019年3Tアンバサダーを務めるフランク・シュレク氏も75kmのコースをEXPLOROで走る。
午前9時、150km、75km、37.5kmの総勢約120名がスタート。ブドウ畑の畦道を走り、10%を超える勾配の悪路の林道、大き目の岩がごろごろと転がっているダートなど様々な路面と美しい景色を楽しみながら目標の距離にチャレンジしていく。
ルートをしめす標識は一切設置しておらず、予めルートをGPSデバイスに読み込んでおき、デバイスを確認しながら走る。途中、いくつかのチェックポイントが設けられ、フルーツなどの補給食を摂る事ができるが、メカニックサービスはなくトラブルの際にはセルフリカバリーのスキルが必要なチャレンジライドだ。
150kmのクラスには20%ほどにもなる急勾配の坂もあり、楽しさの中にも随所に苦しめられるポイントがあるのも面白い。パンクも所々で発生し、参加者同士助け合いながら、声をかけながらゴールに向かっていく。
標高2000mほどの高原を走る区間は絶好のイタリアングラベルが続く。岩がゴロゴロと転がるダブルトラックや押しが強いられるシングルトラックもあり、体力を奪われる。ここまでで、獲得標高は3,000mほどになっているため、脚は重いものの目の前に広がるのは絶景だ。
グラベルチャレンジは走りだけでなく、普段の生活では見る事のできないような景色を眺める事もできるのがポイントの一つ。とにかく、美しいロケーションを走る事ができる。単独で走るのもよし、途中でグループを形成して走るのもよし。イタリアらしく終始、会話を楽しみながら走るのも楽しい。JEROBOAMグラベルチャレンジは普段経験できないからこそ楽しさも広がる。
14時過ぎ。メイン会場では75kmのライダー達がゴールし始めた。皆笑顔でグラベルチャレンジを走り終える。疲労感は多分、翌日以降に出てくるのだろう。ゴール後は、参加者同士バイクやルートの景色など、JEROBOAMグラベルチャレンジの魅力を語り合い、ビールを飲み、バーベキューを食べながらグラベルチャレンジの余韻を楽しむ。
日が落ちてからも続々とライダー達がフィニッシュしてくる。暗闇の中、自転車のヘッドライトの灯りが見えると会場内から拍手が沸き起こり、フィニッシャーを会場に迎え入れる。不安になる夜の闇の中走り続け、ようやく辿り着くゴールでホッとする瞬間だ。
300kmのカテゴリーでは仮眠を取らずに、夜通し走るライダーも多いが、メイン会場では終始ライダー達の位置をモニター上でリアルタイムに把握し進行が確認できる。
午前4時過ぎ。300kmのライダー達がフィニッシュ。日が昇るに従いライダー達が帰ってくる。走行距離300km、獲得標高6,500mのグラベルチャレンジを終えても、皆楽しそうで疲れた顔をしていないのが不思議だ。
フィニッシュ後はメインボードに完走のサインを書き込んで、ビールで乾杯。3T社長のRene曰く、「サイクリストは走り終わったら、ワインではなく、ビール。」JEROBOAMはワインにちなんだイベントなのに、ワインが振舞われないのは何故??の問いかけに対してはイタリアでも「ゴール後はとりあえずビール」らしい。
ビールを飲んで、シャワーを浴びて、仮眠をとったり、バーベキューを食べたりしながら、また参加者同士の歓談が始まる。綺麗だった場所や、テクニカルな区間、新しいピレリタイヤの印象など、グラベルチャレンジは話に尽きない。
残念ながら、完走した参加者からは“きつかった”という言葉は一切聞く事ができなかった。
“素晴らしい景色”、“楽しい”、300kmの感想はそれしかない。
300kmを走り終え、ソファでうたた寝をしていたフランスからの参加者に聞いてみた。
夢から覚めたら、目の前が来年のJEROBOAMのスタートだったらどうする?
――わかんないけど、多分、走るしかないね!
2020年JEROBOAMはイタリアをはじめヨーロッパ、アジアで開催される予定だ。詳細は随時3T JAPANのサイトでアップされる。
JEROBOAM グラベルチャレンジ 参加者コメント
フランク・シュレク(3Tアンバサダー)
グラベルは新しいカテゴリーで、私も昨年から乗り始めてますが、スピードを追求する事に限定されず、自然を楽しみながら仲間と楽しい時間を共有するライフスタイル的なのが面白いところです。ロードバイクとの違いはグラベルはタフさよりも、ライディングスキルが求められますね。
エリック(アドベンチャーサイクリスト)
300kmの中で最初の160kmほどのところまでは山岳地帯を走りました。標高が2,000m程度のところを走るのですが、ものすごく景色が良いところで感動します。少し岩がありますが、楽しく走れました。その後、若干の舗装下りを経て渓谷のシングルトラック、そして舗装ですが絶景のポイントを走り抜けます。コースディレクターがこのようなルートを引いてくれたおかげで、300kmも終始楽しく走る事ができました。
ニコラ(コースディレクター)
昨年よりもハードなコース設定になりました。路面のコンディションも勾配もきつかったですが、ロケーションも良く、参加者の方には好評だったかと思います。マウンテンバイクでもよく利用されているところも随所に入れたので面白いルートになりました。JEROBOAMはグラベル区間を走るのも楽しめるだけでなく、素晴らしい景色も楽しめる特別なイベントです。
3T JEROBOAM BLOG REPORT(本国サイト)
https://blog.3t.bike/2019/09/11956/jeroboam-italy-gravel-challenge-20-2…3T JAPANイベントページ
http://www.3t-bike.jp/event.html提供:あさひ ホールセール事業部 テキスト:樋口準人