スペシャライズドの2018年ビッグニュース第1弾が、フラッグシップロードシューズ「S-Works 7」とエアロヘルメット「EVADE」がフルモデルチェンジを遂げたこと。この特集では2編に渡り、世界王者ペテル・サガンやニキ・テルプストラたちの勝利を支えたニューアイテムの詳細や魅力、そして使い勝手を国内トップレーサーのインプレッションを交えて紹介していく。まずはシューズ編から。

サガンやクイックステップの快進撃をサポート S-Works 7ロードシューズ

フルモデルチェンジを果たしたS-Works 7ロードシューズ。トータルバランスを追求し、レーシング性能を向上させた意欲作だフルモデルチェンジを果たしたS-Works 7ロードシューズ。トータルバランスを追求し、レーシング性能を向上させた意欲作だ (c)specialized/BrakeThroughMedia
2005年に登場して以降、その時代のトップ選手や競技志向のホビーレーサーから愛用されてきたS-Worksシューズ。歴代のどのモデルも優れたフィット感とパワー伝達性を追い求めており、2015年夏にはエアロロードのVenge Viasと共に6代目がデビュー。そこから3年弱を置いた2018年初頭、いよいよ第7世代となるS-Works 7へと代替わりを果たした。

S-Works 7を履きシーズン開幕戦で2勝したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)S-Works 7を履きシーズン開幕戦で2勝したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
サガンの足元で輝くS-Works 7シューズサガンの足元で輝くS-Works 7シューズ (c)cyclingimagesロンド・ファン・フラーンデレンを制したニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)もS-Works 7を使うロンド・ファン・フラーンデレンを制したニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)もS-Works 7を使う photo:Makoto.AYANO

初披露の舞台は1月のオーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダーだった。その前哨戦である「ピープルズチョイスクラシック」ではスペシャライズドのサポートを受けるクイックステップとボーラ・ハンスグローエが蛍光カラーまぶしいEVADE Ⅱ(次ページ参照)とS-Works 7を実戦投入。早速そのデビュー戦でペテル・サガンのスプリント勝利を支え、4月には同じくサガンがパリ〜ルーベを、ニキ・テルプストラがロンド・ファン・フラーンデレンを制覇。圧倒的勝利数を収めているウルフパック(狼の群れ)クイックステップフロアーズの活躍も、そのほとんどがS-Works 7を使用しての結果だ。

優れたフィット感で更なるパフォーマンスアップを

第7世代となったS-Worksシューズのテーマは、歴代製品が好評を得てきたホールド力はそのままに、履き心地を向上させることにある。具体的にはアッパーの素材と形状の変更、そしてヒールサポートとアウトソールの改良という4つが大きな改良点だ。

「アップデートされた高い快適性がハイパフォーマンスに繋がる」と説明する佐藤修平氏(SBCUマネージャー)「アップデートされた高い快適性がハイパフォーマンスに繋がる」と説明する佐藤修平氏(SBCUマネージャー) photo:Makoto.Ayano
アッパーには、航空宇宙産業にも使用される軽量・高強度の「Dyneemaメッシュ」が新規採用された。前作は徹底的に遊びを排除したため人によっては痛みが出る場合もあったが、S-Works 7はDyneemaメッシュの素材特性によって足にフィットしやすいようアップデート。更に両サイドの立ち上がり部分を足型に合わせたラウンド形状に、加えて固定力を必要としないつま先部分には、4方向にストレッチするTPU(熱可塑性ポリウレタン)素材を使うことで長時間でもストレスのない履き心地を追い求めた。

「シューズの素材はパワー伝達効率と快適性の両方を求めると、場所によって違った特性をもった素材を使わなければいけないのです。つま先の部分は、足の形などによって痛みが出やすく、固定力もあまり必要ない場所です。ですから新素材の4方向に微妙にストレッチする素材を採用しました。これがこのシューズの目標であった、履き心地向上の達成につながっています」とは、シューズ開発を担ったスティーブン・クェイ氏の言葉だ。

パワー伝達効率をブラッシュアップ「ワットを一滴たりとも無駄にしない」

アッパーにはDyneemaメッシュを新規採用。メッシュの素材特性によって足馴染みが向上しているアッパーにはDyneemaメッシュを新規採用。メッシュの素材特性によって足馴染みが向上している
BOAの新型ダイヤルを採用。音や質感にもこだわったスペシャライズドのオリジナル品だBOAの新型ダイヤルを採用。音や質感にもこだわったスペシャライズドのオリジナル品だ 固定力を必要としないつま先部分には、4方向にストレッチする素材を投入固定力を必要としないつま先部分には、4方向にストレッチする素材を投入


ホールド力の高さが特徴的であったPadlockヒールは、タイト過ぎずより広い面積でかかとに当たるよう形状を変更している。これにより固定力はそのままに圧迫感が分散され、包み込むような履き心地に。クッション性を増したタンもフィッティング時のストレス軽減を担う要素だ。

Factカーボンを用いたソールは、前作でも採用された、ペダリング時に足裏に掛かる圧力マッピングの研究を更に推し進めた上で改良されている。ソールの外側(小指側)にはカーボンの補強を入れ、力が加わったときに、踏み面(クリート取り付け位置)に力が集まるよう設計されているのだ。ラスト幅は断面形状がラウンド化したことで若干細くなっているが、ワイドバージョンも用意されることも嬉しいポイント。

クッション機能を持たせた厚めのタン。ストレス軽減を担うクッション機能を持たせた厚めのタン。ストレス軽減を担う Padlockヒールはより広い面積でかかとをホールドするよう変化。固定力はそのままに圧迫感を分散する仕組みだPadlockヒールはより広い面積でかかとをホールドするよう変化。固定力はそのままに圧迫感を分散する仕組みだ

硬度指数15を誇るPowerlineアウトソールが高いパワー伝達性を生み出す硬度指数15を誇るPowerlineアウトソールが高いパワー伝達性を生み出す S-WORKS 6(上)と比べ幅や肉抜き度合いが異なるのが分かるS-WORKS 6(上)と比べ幅や肉抜き度合いが異なるのが分かる


2つのBOAクロージャーとベルクロを組み合わせたフィッティング方式は前作から変わらないものの、ダイヤルはBOA社と新規共同開発した「S3-Snap」と呼ばれる専用品を採用した。S-Works 7用にカスタムされた特別な専用品であり、従来よりも軽いタッチで操作できるよう調整されたほか、高級感や回した時のラチェット音にまでこだわって作り込まれたという。

ハーフサイズを含む36~45までの幅広いサイズ展開で、ダウンアンダーでサガンたちが履いた蛍光イエローの限定カラー始め、クイックステップがチーム単位で採用するホワイト、鮮やかなキャンディレッドとワイドバージョン展開もあるブラックという4カラーがラインアップされている。価格は37,000円(税抜)と、前作から3,000円ほどプライスダウンされていることも嬉しい。

スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe カラー/スペック


スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ハイパー/アシッドラヴァ)スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ハイパー/アシッドラヴァ) (c)スペシャライズド・ジャパンスペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ホワイト)スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ホワイト) (c)スペシャライズド・ジャパン

スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ブラック)スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ブラック) (c)スペシャライズド・ジャパンスペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ロケットレッド/キャンディレッド)スペシャライズド S-Works 7 Road Shoe(ロケットレッド/キャンディレッド) (c)スペシャライズド・ジャパン

カラーハイパー/アシッドラヴァ(数量限定)、ホワイト、ブラック、ロケットレッド/キャンディレッド
サイズ36、37、38~45(0.5刻み)
重 量224g(42サイズ片足)
価 格37,000円(税抜)

S-Worksシューズを知り尽くす2人が新作をインプレッション

今回S-Works 7シューズのインプレッションを務めるのは、歴代のS-Worksシューズを愛用してきたマトリックスパワータグの土井雪広選手と、スペシャライズド製品に強い東京都狛江市のプロショップ「Bicicletta SHIDO」の安藤光平店長というお二人。S-Worksシューズを熟知したお二人の言葉に注目してほしい。

土井雪広(マトリックスパワータグ)と安藤光平(Bicicletta SHIDO)が新生S-Worksシューズをインプレッション土井雪広(マトリックスパワータグ)と安藤光平(Bicicletta SHIDO)が新生S-Worksシューズをインプレッション

「優れたペダリング効率と万人受けするフィット感を両立」土井雪広

土井:今年の2月頃に受け取ったのですが、履き心地が良くすぐに気に入りました。今では練習からレースまであらゆるライドで愛用しています。さすがはS-Worksシューズの最新作と言った出来で、剛性・軽量性・フィット感どれを取っても最高の性能を発揮してくれますね。

前作S-Works 6特有の細くてタイトな形状からアップデートされたことで、個人的にはより履きやすくなった点が好印象です。特にかかとの圧迫感が少なくなったことに加え、アッパーやソールも改良されたことでどこか一点で押さえるという感覚ではなく、足先全体でペダリングするような一体感を感じますね。

「足との一体感が強くレーシーなのに快適性も高い」土井雪広(マトリックスパワータグ)「足との一体感が強くレーシーなのに快適性も高い」土井雪広(マトリックスパワータグ)
安藤:そうですね。シューズのどこかが硬いとかヨレるといったストレスがないため、踏み込んだ時にロスなくペダリングができるんです。シューズ全体が足先と淀みなく連動するようなイメージで、回す・踏むのいかなるシーンにおいても高い反応性を見せてくれるのがS-Works 7のキモだと思います。

いわゆるS-Works 5の世代は硬いアッパーで無理やり固定するような印象でしたが、それがS-Works 6になってしなやかさが増しました。さらに今作ではよりアッパーが薄くなったことでダイレクトでレーシーなパフォーマンスを顕著に感じますね。かといって新素材のアッパーは強度も十分で、レースをたくさん走るシリアスレーサーこそ歓迎すべき性能に仕上がっています。

「タイト過ぎないフィット感で痛みも出なくなった。マッチするライダーは増えたはず」土井雪広(マトリックスパワータグ)「タイト過ぎないフィット感で痛みも出なくなった。マッチするライダーは増えたはず」土井雪広(マトリックスパワータグ)
「ソール剛性が上がっているはずなのに硬さを感じさせない履き心地」「ソール剛性が上がっているはずなのに硬さを感じさせない履き心地」 「タンのクッションが増したのでワイヤーをきつく締めても痛みがでません」「タンのクッションが増したのでワイヤーをきつく締めても痛みがでません」

土井:ソールの剛性値も今作でさらに強化されたとのことで、踏み込んだ時のパワーの伝わり方は抜群に良いですね。かといって反発で足が痛くなるような印象もなく、長距離のレースにも不満なく使っていけます。ただ闇雲に硬くするだけでなく、力のかかり方から研究するBody Geometryのテクノロジーが大きく活かされた結果と言えますね。

レースの時はキツめに締め込むことが多いのですが、甲部分のストレスも減っており、新しくなったタンのクッションが良い仕事をしていると思います。長時間走るプロ選手にとってシューズの快適性は重要ですから、そういった意味でも改善されたフィット感はより高いパフォーマンスを生み出すに相応しい構造だと感じました。

「下位グレードとは全く違う作り。効率的なパワー伝達が魅力」安藤光平(Bicicletta SHIDO)「下位グレードとは全く違う作り。効率的なパワー伝達が魅力」安藤光平(Bicicletta SHIDO)
安藤:下位モデルのTORCHシリーズと比較してもその作りは大きく異なり、トップモデルとして差別化が図られているだけでなく、フィット感も段違いに良くなっています。力を逃さない効率的なパワー伝達性は、スペシャライズドのテクノロジーがフルで注ぎ込まれたS-Worksシューズならではでしょう。加えて他メーカーのフラッグシップと比べて軽く作られた軽量性も特筆すべきポイントですね。

S-Works 7になってつま先部分の形状がよりワイドになったので、人によっては今履いているシューズよりワンサイズ小さくてもマッチするかと思います。S-Works 6から買い替えを考える人もフィット感が異なるので、購入前に試し履きをしてほしいですね。小さいサイズのハーフモデルも登場しているので、女性ライダーもぜひチェックして欲しいと思います。

土井:新しいBOAダイヤルも動作が軽くて形状もつまみやすく、操作感は非常に良いですね。指先がかじかむような冬場でもしっかり締め込むことができます。動作音も高級感があってついつい回したくなりますね。

細部までフラッグシップらしい作り込みでパフォーマンスには文句なし。加えて高い快適性も備えたところで、マッチするユーザーのレンジは従来モデル以上に広がりましたね。誰でも、とは言い過ぎかもしれませんが、スペシャライズドを試したことない人もハイエンドモデルだからと言って敬遠することなくぜひ使ってみて欲しいですね。


インプレッションライダープロフィール


左:土井雪広さん(マトリックスパワータグ) 右:安藤光平さん(Bicicletta SHIDO)左:土井雪広さん(マトリックスパワータグ) 右:安藤光平さん(Bicicletta SHIDO) 土井雪広(マトリックスパワータグ)
高校時代に全日本ジュニアロード優勝、大学時代に学生のロードレースタイトルを全て獲得し、2005年にプロデビュー。2011年にはブエルタ・ア・エスパーニャに日本人として初出場し、2012年に全日本選手権制覇。2013年から国内に活動の場を移し、現在はマトリックスパワータグに所属する。

安藤光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市にある「Bicicletta SHIDO」の店長。いくつもの有名クラブチームを渡り歩き、現在はFIETS GROEN日本ロボティクス所属でJプロツアーにも参戦。2012年の2days race in 木祖村ではスプリント賞を勝ち取りグリーンジャージを獲得。シクロクロスでもトップカテゴリーのC1を走る。

提供:スペシャライズド・ジャパン 制作:シクロワイアード編集部