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仲沢 このコンパクトはアルミフレームですが、カーボン全盛時代にアルミに乗ると、実に新鮮な印象がありますね。

吉本 そうですね。キビキビしていて、本当に楽しいフレームでした。ホイールをフルクラム・レーシング3とかカンパニョーロ・ゾンダあたりに履き替えたら、さらに良い感じになるでしょうね。カーボンフレームは良いけど、これはこれでアリだと思います。

リドレー コンパクトはアルミの乗り味が、ライダーに新鮮な印象を与えるリドレー コンパクトはアルミの乗り味が、ライダーに新鮮な印象を与える Photo: Makoto Ayano
仲沢 アルミ合金は軽くて硬いので、レーシングバイクにはとても向いている素材だと言えますよね。でも、欠点がないわけではない。一番の欠点は振動減衰特性の悪さ。アルミはいったん振動すると、なかなかそれが収まらないんですね。この辺が、アルミブームが去り、カーボンブームがやってきたひとつの要因でもありますね。

アルミバイクとしては振動減衰特性に優れており、しっかりと煮詰められたフレームだアルミバイクとしては振動減衰特性に優れており、しっかりと煮詰められたフレームだ Photo: Makoto Ayano吉本 でも、コンパクトはアルミとしてはかなり乗り心地が良い方ですよ。思ったよりしなやかなので、ビックリしました。

仲沢 その辺が「リドレーマジック」なんでしょうね。ちゃんとパヴェ(石畳)でテストをして、しっかりと乗り味を煮詰めている。凝った造形のチューブを採用するなど、ホントによく研究していることが感じられますね。

吉本 ハンドリングもとても素直で扱いやすいですね。コーナリング時の安定感が抜群で、とてもコントローラブルなバイクでした。フレームの設計が良いからでしょうね。さすがヨーロッパのバイクだと思わせる安定感があると思いました。

仲沢 ブレーキング時の挙動もとても良かったですね。上級者はもちろんのこと、初心者がでも安心して乗ることができるでしょう。

吉本 このバイク、ダモクレスのアルミ版という感じじゃないですか? 遠目にはダモクレスみたいだし、たとえ塗装を剥がしたとしても一目見てリドレーだとわかる。オリジナリティという点でも評価できますね。

扱いやすいハンドリングも魅力。コーナリングでも安定感がある扱いやすいハンドリングも魅力。コーナリングでも安定感がある Photo: Makoto Ayano仲沢 確かに。最近は塗装を剥がすとどこのフレームかわからない物も多いけど、リドレーはしっかりとオリジナリティを主張していますね。趣味の自転車として、これはとても重要なことだと思います。

吉本 乗り味もダモクレスに似ていますね。踏み出しは特に印象に残らないんだけど、実用速度域での加速が抜群に良い! だから、実際に長距離なんかを乗ると、「ああ、これは良いバイクなんだな」と実感できるでしょうね。ヘタなカーボンフレームに乗るよりも、このコンパクトに乗った方がずっと良いですよ。

仲沢 今でもアルミのシャキッとした乗り味を好む人は多いですよね。プロ選手の中にもわざわざアルミフレームをチョイスする人がいるほどですし。しかし、今ではどのメーカーもハイエンドモデルはフルカーボンで、アルミは廉価版ばかりになってしまった。ちょっと良いアルミフレームというのは、選択肢が非常に少ないのが現状なんですよね。そういった意味でも、この高級感溢れるコンパクトは貴重な存在だと思いますよ。

吉本 今はフルカーボンフレーム全盛の時代ですけど、このバイクに乗ってみて「アルミも悪くないな」と改めて思いました。アルミのキビキビ感が楽しめて、振動吸収性もそこそこ高いから、これはレーシングバイクのひとつの理想型かもしれませんね。

アルミ独特のシャキっとした乗り味が楽しめる。距離の短いホビーレースなどで活きてくるフレームだアルミ独特のシャキっとした乗り味が楽しめる。距離の短いホビーレースなどで活きてくるフレームだ Photo: Makoto Ayano仲沢 使用用途としては、レースが一番似つかわしいのかもしれませんね。アルミのキビキビ感は、距離の短いホビーレースでアドバンテージになるでしょう。反面、のんびりとロングライドするのには向いていないかもしれません。ハイスピードでガンガン走る人には良いけど、私ならのんびり派にはもっとしなやかなフレームを勧めると思います。

吉本 そうですね。アルミフレームというと最近では入門バイクという印象が強くなってしまいましたが、ある程度スキルがあって脚もある人が乗ったら、そのパフォーマンスがより生きるような気がします。

DETAIL

リドレー コンパクトリドレー コンパクト Photo: Makoto Ayano
ヘッドチューブは中央を絞ったテーパー型で、軽さを求めると共にヘッド部の過度な剛性を防ぐヘッドチューブは中央を絞ったテーパー型で、軽さを求めると共にヘッド部の過度な剛性を防ぐ チューブの接合部は、エッジ形状のチューブを溶接しているにも関わらずエントリーモデルとしては十分な仕上げの美しさといえる。 Photo: Makoto Ayano アルミフレームでもハイドロフォーミングを駆使して「エッジチュービング」を実現するアルミフレームでもハイドロフォーミングを駆使して「エッジチュービング」を実現する ヘッド側で三角断面だったトップチューブは、シートチューブに向かい徐々に五角形へと変化する複雑な形状で剛性を制御する。 Photo: Makoto Ayano

扁平タイプでわずかなアールが与えられたオーソドックスな形状のフロントフォーク扁平タイプでわずかなアールが与えられたオーソドックスな形状のフロントフォーク このクラスではアルミ製のコラムが多いが、コンパクトはカーボン製なのがうれしい。軽量化はもちろん、乗り心地の向上に大きく貢献する。 Photo: Makoto Ayano 直線的に伸びるシートステー直線的に伸びるシートステー ここでもリドレーならではの三角形に近い断面に加工されたチューブが採用され、シャープな加速と乗り心地がバランスされる。エントリーモデルながら細部にまでリドレーらしさを貫くのはさすがだ。 Photo: Makoto Ayano ベースコンポーネントは105、またはティアグラを採用ベースコンポーネントは105、またはティアグラを採用 エントリーモデルとは言えレースのために必要な要素はしっかり揃えており、そのままホビーレースに持ち出しても遜色ない走りが可能だ。 Photo: Makoto Ayano
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