今年で開催2回めのグランフォンド丹沢を実走レポート。ヒルクライムのメッカ、ヤビツ峠から宮ヶ瀬湖、道志みちを経て富士山の麓の山中湖、籠坂峠とぐるっと巡るビッグライドだ。交通ルールの啓蒙から生まれたという大会の背景もお伝えします。



秦野市カルチャーパークからのスタートは朝5時! ようやく空が白みだす頃秦野市カルチャーパークからのスタートは朝5時! ようやく空が白みだす頃 大会実行委員長 山本哲史さん(NPO法人丹沢を愛する会)が交通マナー遵守を呼びかける大会実行委員長 山本哲史さん(NPO法人丹沢を愛する会)が交通マナー遵守を呼びかける


神奈川県秦野市のサイクリストの聖地、あるいは「ヒルクライマーのメッカ」と呼ばれるヤビツ峠。ロングコースとショートコースの2つがあり、ロングのグランフォンド丹沢はスタートしてすぐにこのヤビツ峠にアタックする。コースはヤビツ峠~宮ケ瀬湖~道志みち~山中湖~籠坂峠の神奈川、山梨、静岡3県にまたがる141.6km(獲得標高:2,671m)だ。ショートは宮ケ瀬湖から折り返し、グルメを楽しみながら走る距離:72.9km(獲得標高:1,303m)。

4月14日開催の第2回大会には150人が参加した。始点は秦野市カルチャーパーク(旧:中央運動公園)で、早朝5:00スタート。前日には近くの桜沢林道〜菩提峠のヒルクライム丹沢も予定されていたが、事情によりレースはキャンセルに。試乗会のみの開催となった。

厚木に本社があるスペシャライズド・ジャパンの社員も実走スタッフライダーで参加厚木に本社があるスペシャライズド・ジャパンの社員も実走スタッフライダーで参加 朝5時にスタートしていく。まだ薄暗いためライトは必須だ朝5時にスタートしていく。まだ薄暗いためライトは必須だ


正式大会名に「ヤビツ峠」が含まれているこの大会は、ヤビツ峠でのマナーの向上を呼び掛け、サイクリストと地域社会とのつながりを強めることを目指して2018年に始まったという。タイムを競うこと無く、交通規則を順守することを徹底し、公道での安全な走行のためにつくった「丹沢ヤビツルール」を参加条件に規定している。

丹沢ヤビツ・ルールとは、ヤビツ峠や丹沢エリアで自転車に乗る時に、事故を起こさず、迷惑をかけない走りを呼びかけるのが目指すところ。それがきっかけとなってこのイベント開催につながったのだ。

蓑毛からのヤビツの登り。徐々に勾配を増していく蓑毛からのヤビツの登り。徐々に勾配を増していく photo:Makoto.AYANO
スタート直後はさっそくヤビツ峠のヒルクライム。朝5時のスタートはまだ薄暗く、ライトを点灯させての走行。そしてバスがまだ走らない時間帯に峠頂上まで登るというもの。クルマもまだほとんど通らず、しかしそのなかを交通ルールを遵守しながらのヒルクライムだ。

ヤビツ中腹に差し掛かる頃、太陽が昇りだすヤビツ中腹に差し掛かる頃、太陽が昇りだす photo:Makoto.AYANO
ヤビツ峠に向かい高度を増していく。朝の斜光に照らされた山並みが美しいヤビツ峠に向かい高度を増していく。朝の斜光に照らされた山並みが美しい photo:Makoto.AYANO
峠の少し手前の展望スポットからは、朝焼けに照らされた秦野市街、そして湘南から真鶴・伊豆半島までが見渡せる。いつも見慣れた風景も、時間帯のつくり出す光線状態で素晴らしいものに感じた。

ヤビツ峠・菜の花台展望台からの眺めは湘南、伊豆方面の海へと開けるヤビツ峠・菜の花台展望台からの眺めは湘南、伊豆方面の海へと開ける photo:Makoto.AYANO
じつは今回レポートする筆者は近くの伊勢原市に住んでいたこともあり、かつての地元エリア。コース全体もほぼ知っている道だが、あえてこの場で行われる大会とあって走ってみることに。

ヤビツ峠では丹沢登山羊羹やバナナの振る舞い。これが軽いプレ朝食代わりになって助かる。裏ヤビツを下って宮ケ瀬湖まで。そのエイドでは温かい豚汁が供される。これが朝食に。この日は朝の気温が10度に達しないほど低く、冷えた身にしみて美味かった。

丹沢登山ようかんは朝の空腹には嬉しいスウィーツ丹沢登山ようかんは朝の空腹には嬉しいスウィーツ ヤビツ峠ではバナナがふんだんに振る舞われました。朝食代わりに!ヤビツ峠ではバナナがふんだんに振る舞われました。朝食代わりに!


早朝のヤビツ売店はもちろんまだ閉まっています早朝のヤビツ売店はもちろんまだ閉まっています 裏ヤビツは細くて荒れた道。気をつけながらの走行だ裏ヤビツは細くて荒れた道。気をつけながらの走行だ


記事のお詫びと訂正(5/25、17:30)
不適切な写真を使用していたため削除致しました。ご迷惑をおかけした読者の皆様ならびに関係各位にお詫び申し上げます。

ロングコースはそこから道志みちを走り、富士山の裾野に広がる山中湖を目指す。

山中湖村に抜ける国道413号線の通称「道志みち」は、オリンピックのロードコースになっている道だ。普段から本格ロードレーサーたちのトレーニングコースとしてポピュラーな道だが、こうしてサイクリングイベントのコースになるのはいまだかつて無いだろう。なだらかなアップダウンと川沿いのひなびた風景、そして富士山が眼前に見え、徐々に大きくなってくるという日本人の心にグッと響く道。五輪コースになったのもうなずける。

道志みちの両国橋。アップダウンが繰り返される道志みちの両国橋。アップダウンが繰り返される photo:Makoto.AYANO
道志みちの桜は満開状態でサイクリストを迎えてくれる道志みちの桜は満開状態でサイクリストを迎えてくれる photo:Makoto.AYANO東京オリンピックロードレースを向かえることを宣言する道志村役場東京オリンピックロードレースを向かえることを宣言する道志村役場


コース沿いにはオリンピックロードレースがこの道を通ることをアピールする横断幕や看板が見受けられ、気分も盛り上がる。途中には道の駅に加えてサイクリングステーションもできており、サイクリストウェルカムな体制も整ってきたようだ。

道志みちは広く、静かにサイクリストを迎えてくれる道志みちは広く、静かにサイクリストを迎えてくれる photo:Makoto.AYANO
道志みちは川沿いに高度を上げていき、目指すは山伏峠道志みちは川沿いに高度を上げていき、目指すは山伏峠 道志みちを行けば、富士山の頭が見えてくる道志みちを行けば、富士山の頭が見えてくる photo:Makoto.AYANO


道志みちにできていたサイクルステーション。だんだんサイクリストウェルカムになってきた道志みちにできていたサイクルステーション。だんだんサイクリストウェルカムになってきた 道の駅道志はエイドではないけれど嬉しい休憩スポットだ道の駅道志はエイドではないけれど嬉しい休憩スポットだ


東京五輪ロードレースのコースであることをアピールする道志みち東京五輪ロードレースのコースであることをアピールする道志みち photo:Makoto.AYANO
平均的な勾配は緩めだが、アップダウンを含み勾配10%になる箇所も。道志みち最高地点は山伏峠(標高1096m)。ここが最大の難所だ。

山伏峠の頂上はトンネルでとくに眺望は効きません山伏峠の頂上はトンネルでとくに眺望は効きません 山中湖が近づくと富士山が眼前に大きく迫ってくる山中湖が近づくと富士山が眼前に大きく迫ってくる


山伏峠を下ると、冠雪した富士山がさらに大きく眼前に迫ってくる。山中湖のエイドでは焼きそば、ソーセージなどが振る舞われ、しかもおかわり自由という太っ腹。そばにコンビニもあるので、大休止ポイントになる。

山中湖エイドでは鶏肉ハム、ミートボール、塩焼きそばなどがたっぷり供された山中湖エイドでは鶏肉ハム、ミートボール、塩焼きそばなどがたっぷり供された 「いくらでもお代わりしてや!」と威勢よく焼きそばをつくってくれた「いくらでもお代わりしてや!」と威勢よく焼きそばをつくってくれた


山中湖からはもうひとつの「後半の難所」籠坂峠(標高1104m)へと登る。山伏峠からは標高差で言えば少ないので数字よりはずっと楽だ。むしろ下りの長さが負担になる。スピードが出るため、ブレーキの調整は完璧である必要がある。ウェアも天候が崩れると冷えに備えるものが必要。

山中湖では富士山がどどんと迫ってきた山中湖では富士山がどどんと迫ってきた
籠坂峠は後半の難所。ここからは長い長いダウンヒルだ籠坂峠は後半の難所。ここからは長い長いダウンヒルだ 籠坂峠は先週降った季節外れの雪が残っていた籠坂峠は先週降った季節外れの雪が残っていた


下りきってからは、山麓のアップダウンが続く。五輪ロードのフィニッシュ地点になる富士スピードウェイのゲート前を通り過ぎる。ここまでくれば脚にくるから、五輪ロードの選手たちの走りに思いを馳せることになる。

東京五輪ロード会場となる富士スピードウェイのゲート前を通る東京五輪ロード会場となる富士スピードウェイのゲート前を通る
秦野へ向けてのアップダウンは、交通量の多い246号線を避けながら、巧みなコース取りで東へ向かう。山麓を行くのでここも地味にアップダウンが続く。途中、東名高速道路の側道を行くミスコース。道路上の案内矢印のペイントが間違っていたためだが、これはトレランやオリエンテーリングなど他のイベントのものが混じってしまったのかもしれない。高速道路の側道のアップダウンはハードでした(笑)。

山北町役場エイドではジュースとマドレーヌが補給食山北町役場エイドではジュースとマドレーヌが補給食 松田町の素敵なマダムたちがボランティアでエイド手伝ってくれています松田町の素敵なマダムたちがボランティアでエイド手伝ってくれています


東名高速道路の側道へと迷い込んでしまった。アップダウンが半端ない!東名高速道路の側道へと迷い込んでしまった。アップダウンが半端ない! 松田町役場エイド。秦野のフィニッシュまでは後少しだ松田町役場エイド。秦野のフィニッシュまでは後少しだ


松田町の街並みと山並みの風景はなかなかの見ごたえです松田町の街並みと山並みの風景はなかなかの見ごたえです photo:Makoto.AYANO
フィニッシュすれば地元のボランティアの皆さんが提供してくれるうどんでほっこり。秦野市は環境は田舎だが、日産自動車など企業も多く、都会でもあるためこうした暖かなもてなしは普段はなかなか期待できるものではないだろう。素直に嬉しい限りだ。獲得標高差2,671mは走りごたえたっぷり。

秦野市街はクルマが多いが、交通ルールを守ってフィニッシュを目指す秦野市街はクルマが多いが、交通ルールを守ってフィニッシュを目指す 地元スタッフによる拍手で迎えられるフィニッシュは嬉しい地元スタッフによる拍手で迎えられるフィニッシュは嬉しい


途中棄権や関門でのDNFの場合は、大会車両でゴール会場まで回送してくれるリタイア回収サポートがあるが、この日の完走率はほぼ100%だった。グランフォンド丹沢はこの秋にも第3回大会の開催を予定している。秋は秋で、違った風景が見えるはず。今回は無かった前日のヒルクライムレースの実現にも期待できそうだ。

チェッカーフラッグで迎えてくれるフィニッシュチェッカーフラッグで迎えてくれるフィニッシュ フィニッシュでは秦野のうどんが供された。素朴な美味しさでしたフィニッシュでは秦野のうどんが供された。素朴な美味しさでした


「自転車のマナーアップと地域交流、丹沢エリアがスポーツのメッカになるように」
大会実行委員長 山本哲史さん(NPO法人丹沢を愛する会)


大会を主催するNPO法人丹沢を愛する会の山本さんに話を聞いた、GF丹沢が目指すものとは?

地元スタッフによる拍手で迎えられるフィニッシュは嬉しい地元スタッフによる拍手で迎えられるフィニッシュは嬉しい 山本さん:ヤビツ峠は「ヒルクライムの聖地」として人気ですから、行政側も自転車利用環境の整備に力を入れたい意向があるんです。しかし過去に事故が多く起こり「自転車は危ない」「交通マナーが良くない」といった地域住民からの苦情が後を絶たなかったんです。地元の皆さんと自転車愛好家が相容れていない部分があった。秦野市もそれを気にしていて、有志が立ち上がったんです。

公道の安全な走り方「丹沢ヤビツルール」をつくって周知。丹沢の良さも知ってもらおうと、GF丹沢の開催にこぎつけました。私達に大会運営経験が無いため、今年で開催10年を迎えるグランフォンド軽井沢のスタッフがノウハウとスタッフを提供、運営を手伝ってくれました。でも2回めのこの大会は、今回ほとんどを地元の人と力で開催にこぎつけました。

昨年の第1回大会以降、自転車のマナーを啓蒙するような活動も同時に始めたことで、交通事故が目立って減りました。「安全な走行とマナーを周知徹底することで、自転車の人が締め出されずに、地元に貢献できるような在り方ができないか」と模索し、ここから広げていくことができればと活動してきました。ボランティアも地元の方々が協力してくれるため、自転車への理解度も深まりつつあります。サイクリストと地域住民の溝は埋まりつつありますね。

地元ボランティア高校生がシュークリームを配ってくれた地元ボランティア高校生がシュークリームを配ってくれた 地元のボランティアの皆さん。だんだんと自転車への理解が深まっているようです地元のボランティアの皆さん。だんだんと自転車への理解が深まっているようです


トレッキング、ロッククライミング、沢登りなどが盛んな丹沢エリアです。自転車の人はそうしたアウトドアスポーツにも興味があるでしょうし、丹沢で遊んでいる人たちも自転車に興味を持ってくれるはずです。NPO法人丹沢を愛する会ではマウンテンバイクの常設コースなども造成したいと活動しています。
秦野市は首都圏から至近。都内から1時間で、アウトドアスポーツが何でも遊べる魅力的なエリアです。10月に予定している秋大会にもぜひ走りに来てください。

大会データ
■<ヤビツ峠>【グランフォンド丹沢】
・距離:146.6km
・累積獲得標高:2,671m
・制限時間:12時間
・定員:300人(一次募集)

■<ヤビツ峠>【グランフォンド丹沢】~ショート~
・距離:72.9km
・累積獲得標高:1,303m
・制限時間:10時間
・定員:700人

text&photo:Makoto.AYANO

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