2019/03/20(水) - 12:22
日本一の湖であるびわ湖を巡るロングライド「びわ湖一周ロングライド」。全国から集まった多くのサイクリストたちと共に北湖を一周するチャレンジイベントは後半へ。メタセコイア並木や白髭神社など、みどころ沢山のレポートをお届けしよう。
奥びわ湖に設けられた第1エイドで朝ごはんを頂き、お腹を膨らませたら再出発。この先はいくつも小さなトンネルが現れるので、前後ライトは点灯させたままが吉。山々が湖岸にまで迫るダイナミックな地形を体感できるのも自転車の特権だ。
琵琶湖八景の一つにも数えられる海津大崎はゴツゴツとした岩礁が湖面から覗く幻想的な雰囲気。湖岸沿いには桜が植えられており、もう少し経てばさらに素晴らしい景色が迎えてくれそうだ。そんなことを考えつつ走っていると、この大会唯一の分岐へと到着。
湖岸沿いを行くロングライドコースと、160kmを目指すセンチュリーコースの分かれ道だ。ほとんど登りが無いびわ湖一周ロングライドだが、センチュリーコースに限ってはマキノ高原への登りが追加される。とはいっても、5%の登りが約1kmほどなので、恐るるに足らず。
ピークの目印になるのは道の駅マキノ追坂峠(おっさかとうげ)。少し息を荒げつつ、頂上へ辿り着いたらすぐに左折すると、目の前には雪化粧を施した野坂山地の山々が登場。つい先ほどまで湖沿いを走っていたとは思えないダイナミックな景色の変化に驚くばかり。
その先には、ドライブコースとしても人気が高いマキノ高原メタセコイア並木が。冬ソナで登場するスポットに似ているというきっかけで全国的にブレイクしたのだとか。美しい並木のトンネルに覆われた緩やかな下り坂は、サイクリストにとっても夢のような2.5km。
等間隔に並んだメタセコイア。このシーズンは葉も付けておらず、大きな木のてっぺんまで見える。青々とした夏、紅葉の秋、雪を被った冬、それぞれのシーズンで違う姿を見せてくれそうで、また訪れたくなる絶景スポットだった。
さて、そのまま湖岸沿いまで下りきると再びロングライドコースと合流。湖畔沿いに松が植えられ、まさに白砂青松の中を走っていく。途中で近江今津港を通過する。こちらは長浜港から出航したサイクルージングコースの方々が降りてくるハズの港。タイミングが合わず、船の発着を見ることは叶わなかったけれども、船が交通手段となるびわ湖のスケール感にはただ圧倒されるばかり。
もう少し走れば第2エイドのびわ湖こどもの国へ到着だ。こちらではカロリーメイトに桃の杏仁豆腐、ゴマ団子とスイーツが振舞われ、疲れを覚え始めた身体に糖分を補給できた。第2エイドから少し下ると、湖上にそびえる大きな鳥居が見えてくる。
猿田彦を祀る白髭神社は、「近江の厳島」とも呼ばれる有名なパワースポットだ。この日も多くの参拝客が訪れており、絶景を収めるべくシャッターを切っていた。とはいえ、山が背後に迫ってくるような地形となっており、南北を繋ぐ唯一のルートでもあるため、かなり交通量が多い。なので、止まるときは注意が必要だ。
どんどん南へ行くにつれ、街並みが賑やかになっていく。もう間もなくで北湖の南端、琵琶湖大橋が近いのだ。と思っていると、ポツポツと空から水滴が。ついに恐れていた雨が降ってきてしまった。琵琶湖大橋を登るころにはかなり本格的に降ってきてしまい、濡れながら第3エイドのピエリ守山へ。
少し前に「明るい廃墟」などとネット上を賑わせたショッピングモールだが、今は華麗な復活を果たし普通にお客さんで賑わっている。そんなピエリ守山の一角にエイドステーションが設けられたのが、今年の大会の大きな変更点だという。
雨に濡れた参加者たちに振舞われたのは近江牛を使ったカレーパン。ピリっと辛いカレーパンは体温が下がり気味なところに嬉しい補給。カロリー的に物足りない方には、コロッケやクレープなどのケータリングカーなども出店していた。
さて、ピエリ守山を出発してしばらく行くと、ビワイチコースの始点となる「琵琶湖サイクリストの聖地」碑がある第二なぎさ公園が登場。雨が降っていたので皆さん黙々と走っており、あまり気づいておられた方は少なかったようだけれども…。
その先は、近江八幡を抜けて最終エイドの三ツ谷公園を目指していく。途中にはびわ湖最大の島である沖島を左に見て走っていく。沖島は日本唯一の架橋されていない湖上有人島でもあり、島内には小学校も存在しているほど。そんな島が浮かんでいるびわ湖のスケール感は、やはり湖というよりも海に近いように思える。
ゴツゴツした岩場とキャンプ場が交互に現れる近江八幡の区間を越えると、まもなく最終エイドの三ツ谷公園が現れる。北の方が雨雲が薄いようで、いつのまにか雨も気にならない程度まで収まってくれている。
このエイドでは、大会の協賛を務める滋賀のローカルチェーン「平和堂」が全面的に協力した様々な物品が目白押し。疲れてきた身体に嬉しいウィダーインゼリーやソイポタージュ、そして「平和堂バナナ」が供された。自社名を冠するだけあって、艶々でハリのあるバナナはとっても甘い。平和堂のバイヤーさん自慢の一品なのだろう。
さて、ここまでくればあとはもう少し。ひこにゃんでゆるキャラブームを巻き起こした彦根市、新幹線でお馴染みの米原を順に通過したら、いよいよフィニッシュの長浜だ。
9時間ほど前に出発したゲートへ、今度は逆側から走りこむ。1人1人の敢闘をねぎらうMCがビワイチを達成したみなさんを迎えてくれる。琵琶湖の形がクッキリ浮かぶGPSログを見て、やっと走りきった実感が湧いてきたのは、少しばかりデータナイズされすぎだろうか?(笑)
フィニッシュ地点では隣接するホテルの温泉割引券が配布され、冷えた身体を温めることもできる。温泉でツルツルサッパリしたら、大会会場に並ぶ地元グルメに舌鼓を打ったり、完走証を受け取ったり、記念撮影してもらったり。ちなみにサポートライダーを務められたストラーダバイシクルオススメのキッチンこころさんでいただいたジェノベーゼは、その場で原木から切り出した生ハムがたっぷり載っており最高に美味でございました。
日本一大きな湖を1日で一周する。思った以上に達成感のあるライドで、年間10万人以上のサイクリストがびわ湖へと訪れるというのも納得だ。ところどころ道も狭く交通量も多いため、一気に大勢のサイクリストが訪れると軋轢を生んでしまうこともあるかもしれないが、大部分にはサイクリングロードも整備されているため、そちらを使えば普段も安心して走ることができるはず。
魅力的なロケーションとしっかりとした環境整備によって、今後もますます人気を集めそうなビワイチライド。ビワイチだけでなく、周辺にはさらに面白いロケーションがたくさん広がっているとも。そんな奥深いびわ湖の魅力に触れる最初の入り口として、びわ湖一周ロングライドはぴったりだ。
text&photo:Naoki.Yasuoka
奥びわ湖に設けられた第1エイドで朝ごはんを頂き、お腹を膨らませたら再出発。この先はいくつも小さなトンネルが現れるので、前後ライトは点灯させたままが吉。山々が湖岸にまで迫るダイナミックな地形を体感できるのも自転車の特権だ。
琵琶湖八景の一つにも数えられる海津大崎はゴツゴツとした岩礁が湖面から覗く幻想的な雰囲気。湖岸沿いには桜が植えられており、もう少し経てばさらに素晴らしい景色が迎えてくれそうだ。そんなことを考えつつ走っていると、この大会唯一の分岐へと到着。
湖岸沿いを行くロングライドコースと、160kmを目指すセンチュリーコースの分かれ道だ。ほとんど登りが無いびわ湖一周ロングライドだが、センチュリーコースに限ってはマキノ高原への登りが追加される。とはいっても、5%の登りが約1kmほどなので、恐るるに足らず。
ピークの目印になるのは道の駅マキノ追坂峠(おっさかとうげ)。少し息を荒げつつ、頂上へ辿り着いたらすぐに左折すると、目の前には雪化粧を施した野坂山地の山々が登場。つい先ほどまで湖沿いを走っていたとは思えないダイナミックな景色の変化に驚くばかり。
その先には、ドライブコースとしても人気が高いマキノ高原メタセコイア並木が。冬ソナで登場するスポットに似ているというきっかけで全国的にブレイクしたのだとか。美しい並木のトンネルに覆われた緩やかな下り坂は、サイクリストにとっても夢のような2.5km。
等間隔に並んだメタセコイア。このシーズンは葉も付けておらず、大きな木のてっぺんまで見える。青々とした夏、紅葉の秋、雪を被った冬、それぞれのシーズンで違う姿を見せてくれそうで、また訪れたくなる絶景スポットだった。
さて、そのまま湖岸沿いまで下りきると再びロングライドコースと合流。湖畔沿いに松が植えられ、まさに白砂青松の中を走っていく。途中で近江今津港を通過する。こちらは長浜港から出航したサイクルージングコースの方々が降りてくるハズの港。タイミングが合わず、船の発着を見ることは叶わなかったけれども、船が交通手段となるびわ湖のスケール感にはただ圧倒されるばかり。
もう少し走れば第2エイドのびわ湖こどもの国へ到着だ。こちらではカロリーメイトに桃の杏仁豆腐、ゴマ団子とスイーツが振舞われ、疲れを覚え始めた身体に糖分を補給できた。第2エイドから少し下ると、湖上にそびえる大きな鳥居が見えてくる。
猿田彦を祀る白髭神社は、「近江の厳島」とも呼ばれる有名なパワースポットだ。この日も多くの参拝客が訪れており、絶景を収めるべくシャッターを切っていた。とはいえ、山が背後に迫ってくるような地形となっており、南北を繋ぐ唯一のルートでもあるため、かなり交通量が多い。なので、止まるときは注意が必要だ。
どんどん南へ行くにつれ、街並みが賑やかになっていく。もう間もなくで北湖の南端、琵琶湖大橋が近いのだ。と思っていると、ポツポツと空から水滴が。ついに恐れていた雨が降ってきてしまった。琵琶湖大橋を登るころにはかなり本格的に降ってきてしまい、濡れながら第3エイドのピエリ守山へ。
少し前に「明るい廃墟」などとネット上を賑わせたショッピングモールだが、今は華麗な復活を果たし普通にお客さんで賑わっている。そんなピエリ守山の一角にエイドステーションが設けられたのが、今年の大会の大きな変更点だという。
雨に濡れた参加者たちに振舞われたのは近江牛を使ったカレーパン。ピリっと辛いカレーパンは体温が下がり気味なところに嬉しい補給。カロリー的に物足りない方には、コロッケやクレープなどのケータリングカーなども出店していた。
さて、ピエリ守山を出発してしばらく行くと、ビワイチコースの始点となる「琵琶湖サイクリストの聖地」碑がある第二なぎさ公園が登場。雨が降っていたので皆さん黙々と走っており、あまり気づいておられた方は少なかったようだけれども…。
その先は、近江八幡を抜けて最終エイドの三ツ谷公園を目指していく。途中にはびわ湖最大の島である沖島を左に見て走っていく。沖島は日本唯一の架橋されていない湖上有人島でもあり、島内には小学校も存在しているほど。そんな島が浮かんでいるびわ湖のスケール感は、やはり湖というよりも海に近いように思える。
ゴツゴツした岩場とキャンプ場が交互に現れる近江八幡の区間を越えると、まもなく最終エイドの三ツ谷公園が現れる。北の方が雨雲が薄いようで、いつのまにか雨も気にならない程度まで収まってくれている。
このエイドでは、大会の協賛を務める滋賀のローカルチェーン「平和堂」が全面的に協力した様々な物品が目白押し。疲れてきた身体に嬉しいウィダーインゼリーやソイポタージュ、そして「平和堂バナナ」が供された。自社名を冠するだけあって、艶々でハリのあるバナナはとっても甘い。平和堂のバイヤーさん自慢の一品なのだろう。
さて、ここまでくればあとはもう少し。ひこにゃんでゆるキャラブームを巻き起こした彦根市、新幹線でお馴染みの米原を順に通過したら、いよいよフィニッシュの長浜だ。
9時間ほど前に出発したゲートへ、今度は逆側から走りこむ。1人1人の敢闘をねぎらうMCがビワイチを達成したみなさんを迎えてくれる。琵琶湖の形がクッキリ浮かぶGPSログを見て、やっと走りきった実感が湧いてきたのは、少しばかりデータナイズされすぎだろうか?(笑)
フィニッシュ地点では隣接するホテルの温泉割引券が配布され、冷えた身体を温めることもできる。温泉でツルツルサッパリしたら、大会会場に並ぶ地元グルメに舌鼓を打ったり、完走証を受け取ったり、記念撮影してもらったり。ちなみにサポートライダーを務められたストラーダバイシクルオススメのキッチンこころさんでいただいたジェノベーゼは、その場で原木から切り出した生ハムがたっぷり載っており最高に美味でございました。
日本一大きな湖を1日で一周する。思った以上に達成感のあるライドで、年間10万人以上のサイクリストがびわ湖へと訪れるというのも納得だ。ところどころ道も狭く交通量も多いため、一気に大勢のサイクリストが訪れると軋轢を生んでしまうこともあるかもしれないが、大部分にはサイクリングロードも整備されているため、そちらを使えば普段も安心して走ることができるはず。
魅力的なロケーションとしっかりとした環境整備によって、今後もますます人気を集めそうなビワイチライド。ビワイチだけでなく、周辺にはさらに面白いロケーションがたくさん広がっているとも。そんな奥深いびわ湖の魅力に触れる最初の入り口として、びわ湖一周ロングライドはぴったりだ。
text&photo:Naoki.Yasuoka