11月29日、福井県越前市のサンドーム福井にて、キナンサイクリングチームの中島康晴選手の結婚披露宴が開催された。プロレーサーならではのユニークな結婚式の様子を大前仁さんによるレポートでお伝えしよう。



キナンや愛三といった国内のプロチームのチームカーが続々と到着キナンや愛三といった国内のプロチームのチームカーが続々と到着
エグザイル、そしてドリカムといった大御所のコンサートが行われる福井県越前市のサンドーム福井。ここに11月29日早朝、キナンや愛三といった国内のプロチームのチームカーが続々と到着した。

この日はメガネキャラで知られるキナンサイクリングチームの中島康晴選手(32歳)の結婚披露宴が開催されるということで、多くの参列者は11時半の結婚式、あるいは12時半の披露宴を目標に来場するはずだったが、どうやら様子がずいぶん違う。ドーム内に駐められたチームカーからは各チームのバイクがラックに掛けられ、選手たちは入念にウォーミングアップを開始した。これではまるで「ツールドフランス・さいたまクリテリウム」ではないか!

実は、中島選手は大学時代の後輩やかつて所属したチームを中心に来場してくれる選手に声を掛け、ロードレースを準備していたのだ。この前代未聞のロードレーサーウェディングをちょっとレポートしてしまおう。

中島康晴選手の結婚を祝うために集まった選手たち中島康晴選手の結婚を祝うために集まった選手たち
プロレースさながらの出走ボードが用意された。井上和郎(現バルバレーシング)がサイン中プロレースさながらの出走ボードが用意された。井上和郎(現バルバレーシング)がサイン中 新郎の中島康晴選手と新婦ひかりさんもサインする新郎の中島康晴選手と新婦ひかりさんもサインする


参戦した選手はNIPPO・ヴィーニファンティーニから中根英登、愛三工業レーシングチームからはコーチである西谷泰治を始め小森亮平、早川朋宏、黒枝士揮。そして愛三時代のチームメイトである綾部勇成(現ワコーズ)、平塚吉光(現チームUKYO)も顔を見せた。もちろん地元福井が誇るもう一人のトップレーサー、井上和郎(現バルバレーシング)も前夜から現地入り、ウォーミングアップしていた様子だ。

もちろん、現在中島選手が所属するキナンサイクリングチームからは野中竜馬、椿大志、山本元喜、雨乞竜己、阿曽圭佑、中西健児が出走、GMや監督、メカ、マッサーらが勢揃いした。

バセドウ病が伝えられた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はエキップアサダ時代からの1歳違いの親友だ。増田は「結婚前から」(増田)、披露宴に呼んでくれるよう話していたそうで、たった数日前に「自転車も持って来てほしい」という中島の頼みに2つ返事で応え、スタートラインに姿を見せた。

サンドーム福井内特設コース(1周約300m)20周回のレースが始まったサンドーム福井内特設コース(1周約300m)20周回のレースが始まった
鹿屋体大の後輩である伊藤雅和(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)はTOJでの大腿骨骨折の抜釘を行ったためまだ走ることができず、通称DJガラパ、芦田千里さんとともにレースの解説を担当してくれた。

中島の結婚相手、ひかりさんのお父さんがスターターを務め、号砲一発、サンドーム福井内特設コース(1周約300m)20周回のレースが始まった。レースは4周毎に周回賞が用意され、豪華な賞品が用意された(たとえば「梅わいん」100本)が、どうやらそれらは引き出物への伏線だったらしい。表彰台では「ちょっと一人では飲みきれませんか? でしたらそれをご来場のみなさんにプレゼントというのは?」という流れで、すべては披露宴へと導かれていった。

まるで「ツールドフランス・さいたまクリテリウム」!まるで「ツールドフランス・さいたまクリテリウム」!
1位は中島、2位が井上、3位に黒枝1位は中島、2位が井上、3位に黒枝 表彰式も本格的に行われた表彰式も本格的に行われた


レースは、そうはいっても脚に覚えのあるメンバー揃い、円形のコースやすべりやすいドームの床をものともせず、スピーディーかつ見応えある展開で進行。かつての綾部~西谷トレインや福井ラインの中島~井上アタックなどを経て、新郎のスプリントフィニッシュで大団円を迎えた。ちなみに1位は中島、2位が井上、3位に黒枝となった。

ドーム内の会場はレースの表彰を経てそのまま人前結婚式へと移行した。チャンピオンジャージとしてタキシードを受け取った中島が早着替えをする中、司会は交代して新婦入場。誓いの言葉、指輪の交換、キスと進み、来場者の満場の拍手で人前式は終了した。

ドーム併設のホールで披露宴がおこなわれたドーム併設のホールで披露宴がおこなわれた
お色直しの後は1歳1ヶ月となった長女の櫻(さくら)ちゃんとともに3人で入場お色直しの後は1歳1ヶ月となった長女の櫻(さくら)ちゃんとともに3人で入場
続いてドーム併設のホールで披露宴だ。今度は18人の出走選手たちが礼服に早着替えだ。ホールにはビュッフェ形式で琥八のパンやボルガライス、セイコガニやお寿司、お刺身といった一級品がずらりと用意され、ドリンクバーとともに披露宴会場のレベルを遙かに超えた飲食が供された。

何より驚いたのは新婦ひかりさんが働く番組の放映だ。まったく番組そのもののセットで制作された短いVTRは、ひかりさんと中島選手がメインキャスターとなったもの。これを見せてから実際の会場に2人が入場する手順は、「凝り過ぎ!」の声が出るほど面白く、会場を沸かせた。

キナンサイクリングチームの加藤康則GMキナンサイクリングチームの加藤康則GM キナンサイクリングチームの加藤康則GMは挨拶で「中島康晴さんの気配りがチームの活躍を導いてくれた」と中島選手の気配りの素晴らしさを絶賛し、お色直しの後は1歳1ヶ月となった長女の櫻(さくら)ちゃんとともに3人で入場。内容盛りだくさんのロードレーサーウェディングは、たっぷり6時間をかけてお開きとなった。


text&photo:Hitoshi OMAE