「明治神宮外苑大学クリテリウム」で、上位入賞した選手を中心に愛車を紹介していきます。今回は女子選手のバイクにフォーカスしてお伝えしていきます。



岡本二菜さん(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)

岡本二菜さん(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)岡本二菜さん(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) photo:Satoru.Kato
女子の部で強豪大学生選手を相手に優勝してみせた高校生の岡本二菜さん。4月からは大学生になるので、「ラストJK」のレースでの優勝となりました。乗るのは日本有数のフレームビルダー、高村精一氏が手がけるラバネロのクロモリフレーム、エキップSAT。

「特にこだわりはありません。監督に任せているので」と言うので高村さんに話を聞くと「彼女のために特に気をつかっている所というのはありませんが、フルオーダーで制作出来るというところがウチの強みです。クロモリでも軽く仕上げられるので、あえてカーボンやアルミを使う必要もないだろうと考えています」。との事。「走りを楽しくするのが一番です」というお言葉に深く納得させられました。

ハンドル周り。サイクルコンピューターはポラールのCS500ハンドル周り。サイクルコンピューターはポラールのCS500 photo:Satoru.Katoコンポはカンパニョーロのコーラス11段。金色のエンドキャップがアクセント。コンポはカンパニョーロのコーラス11段。金色のエンドキャップがアクセント。 photo:Satoru.Kato

自分の好みで選んだというサドル自分の好みで選んだというサドル photo:Satoru.Katoレース中の岡本二菜さんレース中の岡本二菜さん photo:Satoru.Kato


4月からは日本体育大学に進学し、学連で走る事になる岡本さん。今後の目標は「インカレ優勝と東京オリンピックです」と、話してくれました。



齋藤望さん(日本体育大学)

齋藤望さん(日本体育大学)齋藤望さん(日本体育大学) photo:Satoru.Kato
レースは惜しくも2位に終わった齋藤望さんが使うのは、2010年モデルのキャノンデールスーパーシックス。聞けばお兄さんから譲ってもらったそうで「私が大学に入ってから使い始めたので3年使ってますが、トータルで5年は使ってることになりますね」との事。その割には丁寧に使っているようでキレイです。

女子選手としては珍しいスラムのコンポはお気に入りのポイント。「スラムは他のメーカーに比べてブレーキブラケットが小さめなので、手が小さい私には操作がしやすくていいです」との事。ハンドルやサドルも試行錯誤して今のものに決まったそうで、「ハンドルは今より幅が狭いものを使っていたんですけど、窮屈だったので400mmにしました。私は肩幅があるので、この方が楽ですね」。

サドルはスペシャライズドの女性用。これも譲れないポイントサドルはスペシャライズドの女性用。これも譲れないポイント photo:Satoru.Kato自分に合わせて選んだという400mm幅のハンドル自分に合わせて選んだという400mm幅のハンドル photo:Satoru.Kato

スラムは手が小さくても操作しやすいのでお気に入りスラムは手が小さくても操作しやすいのでお気に入り photo:Satoru.Katoレース中の齋藤望さんレース中の齋藤望さん photo:Satoru.Kato


4月から4年生になる齋藤さん。就活などもあるので競技に打ち込めるのはあと半年くらいになるそうですが「大学生になってから納得いく結果が出せていないので、残り少ないけれど悔いを残さないようにしたいです」と、今年の抱負を話してくれました。



慶応大学の応援団のみなさん慶応大学の応援団のみなさん photo:Satoru.Kato
駒澤大学応援団の前に集まるOBの方々駒澤大学応援団の前に集まるOBの方々 photo:Satoru.Kato東京大学の選手と応援団が終了後に記念撮影東京大学の選手と応援団が終了後に記念撮影 photo:Satoru.Kato


美しい女子レーサーたちも大会の華ですが、神宮クリテに集まる女の子たちはレーサーだけではありません。学生スポーツのメッカ、神宮外苑での開催に相応しく、応援団が駆けつけるのも神宮クリテならでは。

今年は法政大学、慶応大学、東京大学、中央大学、東北学院大学、明治大学の7校が、出場選手にエールを送りました。硬派な応援団と合わせて華やかなチアリーダーも見られるとあって、応援団の前は人だかりが出来ます。各大学の応援団の前にOBが集まってくるのも恒例になっているようです。



江藤里佳子さん(鹿屋体育大学)

江藤里佳子さん(鹿屋体育大学)江藤里佳子さん(鹿屋体育大学) photo:Satoru.Kato
セライタリアの女性用サドルも譲れないポイントセライタリアの女性用サドルも譲れないポイント photo:Satoru.Katoトップチューブに貼られたマークする選手のゼッケントップチューブに貼られたマークする選手のゼッケン photo:Satoru.Kato


女子の部で3位に入った江藤里佳子さん。使うのは鹿屋体育大学がサポートを受けているキャノンデールのスーパーシックス。「在学中は2年に1回、計2台支給してもらえるんですが、これは2台目です」との事。基本的にはセットされてきたものそのままだそうだが「サドルとハンドル幅、ペダルは自分に合わせてもらっています」との事。特にペダルはこだわりのポイントで、「スピードプレイのペダルは足を動かせる自由度が広く、膝に負担がかからないので愛用しています」。

キャノンデールのSiSL2クランクにセットされたスピードプレイのペダルキャノンデールのSiSL2クランクにセットされたスピードプレイのペダル photo:Satoru.Katoレース中の江藤里佳子さんレース中の江藤里佳子さん photo:Satoru.Kato


前出の齋藤さんと同学年の江藤さんも新4年生。「今年の鹿屋体育大学自転車部は、女子は人数が増えて7名になるので、チームプレイが出来るようにしていきたいです。私自身は大学最後の年なので、大学トップを獲る事を目標にします」。最大の目標はインカレ?と聞くと「そのつもりです!」と、力強い返事が返ってきました。



樫木祥子さん(駒澤大学)

樫木祥子さん(駒澤大学)樫木祥子さん(駒澤大学) photo:Satoru.Kato
最後は、2015年のインカレロードチャンピオンの樫木祥子さん。駒澤大学自転車部と平行して、実業団チーム「ニールプライド南信スバル」の一員としてレース活動をしてきた。乗るのはニールプライドチームからサポートを受けるナザレ。ホイールやハンドルもサポートを受けているので、「自分で揃えたのはコンポとサドルですね」との事。

特にサドルはセライタリアSLRレディー・フローを使い続けているそうで「ここ3年くらいの間はこれと同じモデルを買い換えながら使い続けています。長時間乗るので、これだけは譲れませんね」。と、並々ならぬこだわりを感じさせます。

かなり使い込まれた感のあるブレーキブラケットかなり使い込まれた感のあるブレーキブラケット photo:Satoru.Kato強いこだわりを持っているというサドルはセライタリアのSLRレディー・フロー強いこだわりを持っているというサドルはセライタリアのSLRレディー・フロー photo:Satoru.Kato

シートステーに巻かれた反射テープシートステーに巻かれた反射テープ photo:Satoru.Katoレース中の樫木祥子さんレース中の樫木祥子さん photo:Satoru.Kato


4月からは大学を卒業して社会人になる樫木さん。3月15日から20日にフィリピンで開催される世界大学自転車競技選手権が学生最後のレースになるそう。「4月からは仕事をしながら競技は続けていきますが、1年目は色々と大変だと思うのでどこまで出来るかという不安はあります。でもやれるところまでやりたいと思っています」。と、前向きな言葉で締めてもらいました。



さてさて、2編にわたってお届けしてきた大学生レーサーの自転車事情はいかがでしたでしょうか?

大学生でも機材サポートを受けている選手が増えてきましたが、男子・女子を問わず共通していたのは、自転車に乗る際の接点となるハンドル周りやサドル、ペダルには皆さんこだわりを持っている点でした。今回の神宮クリテリウムは短時間のレースですが、インカレや大学選手権のロードレースでは長時間になりますし、練習はもっと長い時間乗る事もありますから、自分に合うものと合わないものはハッキリとわかれる部分ですね。

特に女子は、全体的に女性用サドルの使用率が高いようでした。最近は女性用サドルの選択肢が増えてきて
いるので、サドルでお悩みの女性ライダーは今回紹介した選手の話を参考にされてみてはいかがでしょうか。

神宮クリテリウムは3月の開催なので、学年最後のレースとなります。今回お話を聞いた方々には新4年生が多く、就職活動を控えていたり、卒業に向けてのあれこれがあったりと、競技だけに専念していられない状況に不安を感じる一方、大学最後の今年こそは!という意気込みも聞かれました。鹿屋体育大学の江藤さんは「強い高校生が学連に入ってくるので、今年はレベルが高くなりそうです」と話していました。4月からの新年度、大学生選手達の活躍に期待しましょう。

text&photo:Satoru.Kato