常夏の楽園、沖縄の魅力をより深く知るためにサイクリングはぴったり。今回は沖縄輪業が主催する「ちゅらぽた」の様子をレポート。JCAサイクリングリーダー(講習会の記事はこちらから)を中心に有資格者のガイドが案内してくれる街中サイクリングを紹介します。



ツール・ド・おきなわや美ら島センチュリーランをはじめとして、ロードレースからロングライド、トライアスロンなど、多くの自転車にかかわるイベントが開かれている沖縄県。冬でも晴れていれば半袖ジャージで走ることができる温暖な気候は、寒さにあえぐ本州のサイクリストにとっては楽園のような環境である。

おきなわの裏路地を案内してくれる「ちゅらぽた」に参加してきましたおきなわの裏路地を案内してくれる「ちゅらぽた」に参加してきました
ただ、やはりイベントというのは道路のキャパシティの関係で、あまり人がいないエリアで開催されることも多く、距離も長いためにどうしても駆け足で走り抜けてしまうことになる。南国特有の文化や歴史といったものを学び、感じ取るだけの余裕があるイベントというのはほとんどないし、そもそもある程度の脚力がないと楽しめないものも多い。

もっと、沖縄を知りたい!という人や、あまり脚力に自信がない人や家族連れでも自転車で沖縄を観光したい、という方にぴったりなのが、沖縄のスポーツサイクリングを牽引する沖縄輪業が主催するガイド付きツアー「ちゅらぽた」だ。地元の人も知らない、ガイドブックにも載っていない路地裏や隠れた名所をJCAサイクリングリーダーの資格を有するガイドの案内で巡るショートトリップである。3つ用意されるコースのうち、今回参加した「壺屋・三重城コース」のレポートをお届けしよう。



スタート前のブリーフィングを行うスタート前のブリーフィングを行う レンタサイクルを受けとりますレンタサイクルを受けとります


人の少ない国際通りへ向かう人の少ない国際通りへ向かう
朝8時、沖縄輪業前島2号店に集合する。ゆいレール美栄橋駅から徒歩約5分程度なので、レンタサイクルを利用する人もとてもアクセスしやすいのは嬉しいところ。受付でレンタサイクルの手続きを済ませ、一緒に走る参加者、そしてアテンドしてくれるガイドさんと顔合わせだ。

まずは、今日走るコース、そして自転車や服装についての確認などを含めたブリーフィングを済ませたら、いざ出発。ゆいレールの下をくぐりぬけた先は、那覇のメインストリート「国際通り」に到着。いつもは多くの観光客でにぎわっている国際通りも、お店がまだ開いていないこの時間は静かなもの。普通の観光客はあまり見る機会のない、珍しい国際通りの表情を見ることができるのだ。

他にも、国際通りの下には「ガーブ川」という川が流れていて、そこにかかっていた橋の名残が残る交差点や、大綱引きの綱が飾られている公園なども案内してくれる。大綱引きの時には、お祭りのために中央分離帯が外せるようになっているのだとか。なんともすごい話です。

シーサーにお出迎えされて、壺屋のメインストリートへシーサーにお出迎えされて、壺屋のメインストリートへ 素焼きのシーサーで記念撮影素焼きのシーサーで記念撮影

ガイドさんが窯の由来について説明してくれるガイドさんが窯の由来について説明してくれる これが南窯(ふぇーぬかま)と呼ばれる登り窯これが南窯(ふぇーぬかま)と呼ばれる登り窯

街中でも緑が多いのが那覇の裏路地なのだ街中でも緑が多いのが那覇の裏路地なのだ 塀の上には龍の焼き物も。シーサーだけではなくいろいろなバリエーションが発見できる。塀の上には龍の焼き物も。シーサーだけではなくいろいろなバリエーションが発見できる。


つづいて訪れたのは、「壺屋やちむん通り」。「やちむん」というのは、焼き物を意味する沖縄の方言で、その名の通り、窯元やショップが並ぶ通りなのだ。昔ながらの石畳で舗装された路地はなんともいえないローカル感を出している。

焼き物の町ということで、シーサーももちろん一杯。もともとたくさんいるシーサーだけど、このあたりはその密度がより濃く感じる。沖縄県指定文化財の「南窯(ふぇーぬかま)」は、もともとは琉球王国時代に建造された中で唯一残った登り窯。昔の職人たちは窯を共同で使って、焼き物を作っていたんだとか。

石畳で舗装されたメインストリートを走っていく石畳で舗装されたメインストリートを走っていく 東ヌカー(アガリヌカー)と呼ばれる古井戸の一つ。現在もきちんと水がでるのだ。東ヌカー(アガリヌカー)と呼ばれる古井戸の一つ。現在もきちんと水がでるのだ。


大きな木に圧倒される参加者のみなさん大きな木に圧倒される参加者のみなさん
少し休憩していたら、窯元の方とお話することに少し休憩していたら、窯元の方とお話することに もう桜が咲いている。それが沖縄。もう桜が咲いている。それが沖縄。


お土産屋がならぶ大通りから一歩奥に入ると、工房や窯元が軒を連ねる細い路地へ。中には体験工房みたいなのもあって、器やシーサーを作ることもできるんだとか。時間があれば、ぜひ訪ねてみたいところ。道端に植えられた桜の木もぽつぽつと花を咲かせており、こんなところでも沖縄らしさを感じ取ることができる。

沖縄の裏路地を堪能したら、海沿いの奥武山公園へ。と、その途中にも面白いスポットが現れる。城岳小学校の前の通りには、立派な松並木が植えられている。ここは、通称「馬場通り」と呼ばれる、昔の競馬場があった場所だという。でも、競馬といっても、スピードを競うものではなくて、足並みの美しさを競うもので、馬具の美しさなども合わせて評価されるようなものだったという。

電線に支えられるかのようながじゅまるの木電線に支えられるかのようながじゅまるの木 琉球王国時代の競馬が行われていたという馬場通り。沖縄の馬はあまり大きくなくて、この焼き物くらいの大きさだったのだとか琉球王国時代の競馬が行われていたという馬場通り。沖縄の馬はあまり大きくなくて、この焼き物くらいの大きさだったのだとか なかなか鋭い眼で道行く人々を見守っていましたなかなか鋭い眼で道行く人々を見守っていました


そんな歴史ある道を繋ぎながら、那覇市街を見下ろす城岳公園に立ち寄りつつ、海へと走っていく。NAHAマラソンのスタート地点でもある奥武山公園の中を通って、国場川の河口を下っていくと、すぐに海岸へ到着だ。

2月ということもあり、さすがに少し肌寒いけれど青い海が広がる様はさすが沖縄。やっぱりテンションも上がろうというもの。海の中で投函するポストや、バイパスの下につくられたビーチなど、海を身近にしてくれるスポットが盛りだくさんだ。

那覇港で海に見える様々な建築物についての説明を受ける那覇港で海に見える様々な建築物についての説明を受ける 海沿いの道を走っていく。風が少し強いので、今日は湾内も少し荒れ気味だ。海沿いの道を走っていく。風が少し強いので、今日は湾内も少し荒れ気味だ。

那覇空港から飛行機が飛び立っていく那覇空港から飛行機が飛び立っていく
海の上をバイパスが通っていくなんて、あまりない光景だ海の上をバイパスが通っていくなんて、あまりない光景だ こんなに道路が近いビーチは全国探してもなかなかないでしょうこんなに道路が近いビーチは全国探してもなかなかないでしょう


一周11km程度だけど、ギュッと詰まった観光スポットが目白押しのちゅらぽたツアー。今回巡ったコースのほかにも、首里城を回るプランなども用意されている。沖縄輪業では、レンタサイクルも行っているので、手ぶらでも大丈夫だ。手軽なコースで子供だって走りきれるし、しっかりと講習を受けたガイドが引率してくれるので安心だ。家族やカップルで沖縄旅行に出かけた時にはぜひ、このツアーに参加してみれば新しい発見があるはずだ。

10km程度ですが、沖縄の違った顔を見れたのではないでしょうか?10km程度ですが、沖縄の違った顔を見れたのではないでしょうか?

現在、ちゅらぽたのサイトで案内されているツアープランは以下の3コース。自転車散歩(ポタリング)からサイクリングまで、体力や走る距離とも相談して選べるようになっている。

・ポタリング 焼き物の町と青い海!壺屋・三重城コース
・ポタリング 進化する那覇をお散歩! 新都心コース
・サイクリング 琉球の歴史をたどる! 首里城コース

詳しくは以下のリンクのちゅらぽた公式サイトをチェックしてみてださい。

text&photo:Naoki.YASUOKA