茨城クロスでシクロクロスデビューを果たした編集部フジワラ。残念ながらほぼドンケツというもはや清々しいまでのヘタレっぷりを見せてくれた。しかし、曲がりなりにも自転車メディアに属するものとして、ドンケツのままではいられない。鬼教官のもと、地獄の猛特訓が今、はじまる。



茨城クロスでシクロクロスデビューを果たしたフジワラ茨城クロスでシクロクロスデビューを果たしたフジワラ どうにかシケインを越えるフジワラどうにかシケインを越えるフジワラ ボロボロになり、ラップされてしまったフジワラボロボロになり、ラップされてしまったフジワラ 「速くなりたい!」そう願うのは、誰だって同じ。トップ選手も、ロングライド派もできれば速くなりたいっていうのは、サイクリスト共通の願い。もちろんフジワラだって速さへの欲望はある。あるよね?あってほしい。あったらいいな。あるって言え。

さて、フジワラの速くなりたいという自発的な意思を確認したので、さっそく特訓をはじめよう。とはいえ、フィジカル面は一朝一夕にググッと伸びるものではない。しかも、フジワラはヘタレヘタレといわれる割に、意外に基礎体力はあるのだ。じゃなければ、獲得標高3,000mのヒートキャラバンつくばは完走できなかったはず。

そう、まず足りないのはシクロクロス特有のテクニック。シケイン越えや、階段登り、タイトターンといった普段ロードレーサーでは問われないテクニックを習得すれば、少しは戦えるようになるはず。テクニック面であれば半月あればかなりの効果が期待できるし、というのが編集部内の大きな意見であった。

そうと決まればさっそく特訓だ。特訓といえば必要なのは先生、教官、師匠、メンター、コーチ、マスター。言い方はいろいろとあるが、つまりそういう存在だ。そうとはいえ、こんな泡沫企画、わざわざプロライダーに来ていただいてきちんとコーチしてもらうというのはモッタイナイ。

そして、さっきから編集部きってのシクロクロッサー、イソベが「俺に任せろ!」という目線をチラチラとこっちに送ってきている。縁石を見れば飛んだり跳ねたり、ダートを見つければロードバイクで突撃する、一歩間違えればただのアホ、もとい、そういう星のもとに生まれた彼なら適役だ。彼がなぜフジワラの指導役を買って出てくれたその真相は定かではないが、とにかく先生は見つかった。



翌日。ランチを早々に掻き込んだフジワラはまず、編集部裏にある公園へと向かう。ここでの目的は二つ。まずはオフロードでのコーナーリングのグリップ感を体に染みつかせること。もう一つはシケイン越えの動作をきちんと習得することだ。

青空の下8の字練習をする二人青空の下8の字練習をする二人
段々離されてしまうフジワラ段々離されてしまうフジワラ 公園についたフジワラを迎えたのは、カラーコーンを持った教官。このひと、本気である。わりとユルイ企画のつもりだったのだが、こと本気になると妥協を許さないのがこの人だ。あまりにもジャンキーな走りが普通になってしまい、毎年どこかの骨を折る、身を削る走りが身上の男である。

スリップダウンしたフジワラ。ネタではないらしいスリップダウンしたフジワラ。ネタではないらしい まずは、カラーコーンを二つ並べての8の字練習。タイトにコーンから離れすぎないようにグルグルと走っていく。師匠の走りをじっくり見て、フジワラがコースイン。最初はいいのだが、少しミスるとそれをリカバリーしようとして、だんだんと大周りになっていく。「もっとバイクを倒して!」すかさず飛ぶ鬼教官の檄。ポイントは1:リーンアウト、2:目線を常に先に置くこと、3:後輪荷重にするためにペダルを回せるときは回すこと。

ぎこちないながらも、段々スムーズになっていくフジワラの8の字。次は、スピードを上げる段階だ。グルグル回るフジワラの前に、イソベがコースイン。ちゃんと俺について来いよ、そう語る背中を見る余裕はしかしフジワラには無かったようで、直ぐにラップされてしまった。

「スピード上げて!!」鬼に追い立てられるように半分べそをかきながら8の字を回るフジワラ。もはや恐慌状態である。大丈夫か、そう思った次の瞬間、「ズッシャアァ」コーナーの途中でブレーキを強く握ってしまったのか、勢いよくスリップダウンするフジワラ。早くも草塗れである。コーチはただ笑っているだけである。

もっとコーンに近づいて!もっとコーンに近づいて! 空気圧高いでしょ空気圧高いでしょ

茨城クロス後に巻き替えたバーテープもドロドロだ。茨城クロス後に巻き替えたバーテープもドロドロだ。 もう一度空気圧を落とした状態でグリップを確かめながら走るもう一度空気圧を落とした状態でグリップを確かめながら走る


さて、一つめの科目ですでにボロボロのフジワラ。しかし、まだ先は長い。次はシケイン越えの練習である。とはいえ、そんな都合よくシケインの代わりになるものなんてないだろうと思っていたら、いつの間にか高さ40㎝のシケインが公園にあった。そう、コーチがどこからか調達してきた練習用だという。もはやここまで行くとただのア(ry、いや熱狂的シクロクロッサー以外の何物でもない。その情熱はどこから来るのだ。

そのプライベートシケインで、まず見本を見せてくれたコーチ。流れるような動きで、自転車を一度降りているとは思えないほどの滑らかさ。さて、もう一度あえてゆっくりと解説しながらシケインを越える。ポイントは、1:ディスマウント時の足の位置、2:シケインとの距離をしっかり測ること、3:マウント時の飛び乗りは太ももを滑らせながらサドルへと着座すること。

フジワラの番である。とはいえ、一度レースを完走しているのだ、そうそうひどいことはないだろう。と思ったらその想像は2秒で打ち砕かれる。遅い、遅すぎるのだ。シケインの手前で減速しすぎているために、ディスマウント、ジャンプ、マウント、すべての動きの間に間があり、流れがないのだ。

再び、こけてしまったフジワラ orz再び、こけてしまったフジワラ orz
シケイン越えもさまになってきた、か?シケイン越えもさまになってきた、か? イソベ教官の華麗なシケイン越えイソベ教官の華麗なシケイン越え


うーん、これは地道に練習するしかないのか、という事で、とりあえずなるべく減速しすぎないようにと指示を出し、見守る私たち。1度目よりも、スムーズにシケインを飛び越え、「おっ、できるんじゃないか」と思った次の瞬間、ペダルに足を絡ませ、まるでコントのようにすっころぶフジワラ。見ているこちらも、「いや、そこまで身体張ってネタを作らなくても。」と思ったが、どうやらわざとではないらしい。

色々と心配になってきたが、あきらめるわけにはいかない。うまくなるためには何度も失敗するしかないのだ。シケインをひっかけて倒してみたり、マウント時にサドルに引っかかってみたり、いくつもの失敗を乗り越えながらも少しづつサマになってきたころ合いを見計らって次のレッスンへと移る。

謎の階段セクションもいきなり登場。謎の階段セクションもいきなり登場。 移動途中に10%の坂を織り交ぜてくるのが鬼教官たる所以。ちなみにここのKOMを持っているのはイソベです。移動途中に10%の坂を織り交ぜてくるのが鬼教官たる所以。ちなみにここのKOMを持っているのはイソベです。

なぜか登り切れず足をつくフジワラなぜか登り切れず足をつくフジワラ プッシュの練習。ちょっと動きが硬いかなプッシュの練習。ちょっと動きが硬いかな


次なるレッスンのため、場所を移動。多摩湖近くの違う公園が新たな学校だ。いくつかの起伏と階段がある、いかにもシクロクロスっぽいレイアウトの公園で、ちょっとテンションがあがるフジワラ。早速、起伏をクリアするための練習が始まった。

目線を動かさないように身体全体を使って、プッシュ&プルの練習だ。凸を乗り越えるときは腕を縮め、凹を乗り越えるときは腕を伸ばす、その動作を身体にしみこませる。この動きはロードでも段差を乗り越えたりするときに役立つので、ぜひとも習得したいところ。フジワラもかなりスムーズに進むことができているので一安心だ。

なんだこのひどい感じなんだこのひどい感じ お次は、階段登り。フジワラが次なる目標としている野辺山シクロクロスには名物のフライオーバーがある。流れとしてはシケイン越えと似ているが、担ぎ方が異なってくるので、もう一度イソベ教官がレクチャーしてくれた。前三角に腕を通し、通した腕でハンドルを持つことで車体を安定させる。

ヘタレを地で行く男ヘタレを地で行く男 さて、それでは実践だ。シケイン越えで練習した成果もあり、降車はだいぶスムーズになっている。そのまま担いで階段を駆け上がっていくフジワラ。しかし途中でサドルをヘルメットにぶち当てたり、脚を滑らせてみたりと見ているこちらもヒヤヒヤものだ。走り方もなんだか「ドタドタ」していてちょっとしんどそうだ。

そこで、コーチが手本を見せてくれた。華麗にバイクを担ぎ高速で階段を駆け上るコーチと、それを羨望のまなざしで見つめるフジワラ。いつかは、こう走りたい。そう顔に書いてあるのが丸わかりで、微笑ましい。そんなフジワラの前に横たわるシクロクロッサーへの道はまだまだ長く険しいが、今日もまた一歩前へ進めた。そんな手ごたえを感じ取った昼休みであった。

さて、次回のヘタレクロスは野辺山シクロクロス参戦記の予定。今回の練習をもとにどれだけレベルアップできたか、乞うご期待!



今回の練習風景をまとめたビデオ

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