アースライドと言えば、素晴らしいロケーションを持つ全国各地を旅気分で走ることのできるシリーズ系ロングライドイベントとしてすっかりお馴染みとなった人気大会。その2013年シーズンの皮切りとなったのが3月17日(日)に開催された宮崎アースライドだ。

3月16日(土) 振舞い焼酎と郷土料理の美味しい前夜祭

羽田から1時間50分ほど空の旅を経て宮崎空港に降り立つと、とても空気が暖かかった。空にはもやっと薄い雲が掛かっていて、どこか甘っぽい香り。東京はやっと春めいた雰囲気が出てきたというのに、そんな空気感はいかにも宮崎の季節が完全に移り替わっていることを教えてくれた。

ナビゲーターの白戸太郎さんと片岡優衣さんもいい気分?ナビゲーターの白戸太郎さんと片岡優衣さんもいい気分? 霧島の鏡割りで前夜祭がスタート!霧島の鏡割りで前夜祭がスタート!


宮崎空港駅からは、南国っぽいカラーに彩られたローカル電車で宮崎駅へと移動する。所変われば~と言うけれど、こんなに暖かなのに車内には暖房が掛かっていて、温度計の針は27℃を示している。気づけばみんな東京より厚着だけれど、流石に暑すぎやしないのだろうか?ちょっと謎だ。

この日はアースライド恒例の前夜祭があって、恒例のゆるい雰囲気の中、霧島酒造の振舞い酒や美味しい料理に舌鼓。もうアースライド取材6回目を数える私も顔見知りの皆さんとおしゃべりを楽しんでみたり。いつもレポートで綴っているけれど、こんなにもフレンドリーな大会は、アースライドの他に知らない。私を含めて常連さんにとって、仲間と会うことはライド以上に楽しみだったりする。

ド迫力で大感動の地元橘太鼓「響座ジュニア」の演奏ド迫力で大感動の地元橘太鼓「響座ジュニア」の演奏

地元橘太鼓「響座ジュニア」の超ド迫力演奏や、一般に出回ることの少ない焼酎など豪華賞品の当たる抽選会を経て、みんないい感じでアースライド初日が終了した。


3月17日(日)昨年から大幅増の600人が参加! ユルい気分でロングコースを走る

シーガイア前のスタート/ゴール地点に集まったのはロングコース、ショートコース合わせておよそ600名の参加者。前年が400名だったのだから、ものすごい伸び率だ。でも相変わらずユルい雰囲気はそのままで、大会ビギナーでも安心して参加できる感じがいい。

安田団長や白戸太郎さんを先頭に記念撮影!安田団長や白戸太郎さんを先頭に記念撮影! 安田団長の挨拶で大会はスタート安田団長の挨拶で大会はスタート


大会ナビゲーターの白戸太郎さん、安田団長、そして片岡優衣さんを先頭に、7時にロングコースが出発。私も先頭に並んでいた方々と一緒に宮崎アースライドをスタートさせた。

フェニックスが立ち並ぶバイパスを走るフェニックスが立ち並ぶバイパスを走る 今回の宮崎アースライドは、130kmのロングコースと60kmのショートコースが用意され、私はロングコースをチョイス。130kmは市街地を通過して日南海岸に沿って南下し、途中、飫肥(おび)から内陸の山岳コースを抜けてスタート地点に戻ってくるものと、昨年とあまり変更は無い。

しかし昨年はカメラを取り出せないほどの豪雨に見舞われてしまったため、そのリベンジも兼ねがね参加取材が楽しみだった。10kmほどかけて交通量の多い市街地を抜けた先、バイパスに沿って立ち並ぶフェニックスが南国情緒をより引き立ててくれる。

この段階で気温は17℃ほどだろうか。夏の装いに、ウインドブレーカーやアームウォーマーだけあれば峠の下りでも全く問題ない。どことなくあちこちに咲く菜の花の香りが漂っていて、辺りは春の装いだ。

3月なのに、もの凄く味が濃くて美味しかった地物のトマト3月なのに、もの凄く味が濃くて美味しかった地物のトマト 小さな峠を越えて、海岸線に出て行く小さな峠を越えて、海岸線に出て行く


第1エイドステーション、フェニックスから望む日南海岸第1エイドステーション、フェニックスから望む日南海岸 気持ちよさそうに走るナビゲーターの白戸太郎さん気持ちよさそうに走るナビゲーターの白戸太郎さん


緩やかな堀切峠を抜けると、目の前に広がるのは日向灘。薄曇りだったため抜けるような展望、とはならなかったが、「鬼の洗濯板」と呼ばれる独特の波状岩がよく見える。第1エイドの道の駅で小休止したら、この後は30kmに渡って海岸線を進む。日南海岸のハイライト的な風景が素晴らしい。

この辺りは急峻な山が海岸線まで張り出しているが、山肌を削って道が作られているため、ほとんどフラット。同じ海岸線を走る石垣島アースライドとは違って細かいアップダウンが無いため、誰にでも走りやすい。旧道と現国道を繋ぐ極上のオーシャンビューを楽しんだ後は、日南から内陸へ。ランチポイントの飫肥城址へと到着した。

日向灘を望む絶景コースを30kmに渡って走っていく日向灘を望む絶景コースを30kmに渡って走っていく

飫肥地区は、江戸時代の武家屋敷などの街並みが現在も残る城下町。供されたお昼にプラスして、近くにあった専門店で、揚げたての郷土料理・飫肥天を食べたり、武家屋敷を眺めてみたりと旅情緒満点だ。そう言えば去年は寒さに肩を震わせて豚汁食べたっけな...。

さつま揚げに似た郷土料理・飫肥天(おびてん)の専門店に立ち寄ってみたさつま揚げに似た郷土料理・飫肥天(おびてん)の専門店に立ち寄ってみた 飫肥には歴史を感じる建物が多く残る飫肥には歴史を感じる建物が多く残る


エイドを出てしばらく走ると、ここから16kmに渡る登り(本格的な登りは5km)へと挑む本各区的な山越えルートへ。風景も沿岸部とは打って変わって鄙びた山村風景が続く。ちょうど辺りは田植えの頃を迎え、平野部では田植えを、山の中腹辺りでは水張りを。ここに日本の原風景を見た気がした。

頂上が近づくほどに勾配が増す大戸野越峠をクリアしたその先は、見頃を少し過ぎた桜のアーチが広がり、思わず息を飲んだ。ダウンヒルをこなした後もあちこちに桜や菜の花が咲いていて、気分は関東より1週間早いお花見ライド。

畑仕事の合間に応援してくれたご夫婦と畑仕事の合間に応援してくれたご夫婦と photo:Atuyr.Iwasaki頂上に近づくほど勾配はきつくなるばかり頂上に近づくほど勾配はきつくなるばかり


頂上では散り始めた桜が出迎えてくれた頂上では散り始めた桜が出迎えてくれた

標高の低い辺りは新緑が芽吹き、一度ストップしてしまったら走り出せなくなりそうな心地よさだ。15時を回っても太陽は暖かく、さすが南九州と思わされた。自転車乗りには最高の場所ではないだろうか。

最終エイドからは、後ろから追いついてきた団長と一緒に列車を組んで市街地を抜け、ゴールのシーガイアへと戻ってきた。距離は130kmジャスト。スタートからゴールまで、一足早い南九州の春を満喫することができた。

見頃を迎えていたソメイヨシノ見頃を迎えていたソメイヨシノ 菜の花の甘い香りが一面に広がっていた菜の花の甘い香りが一面に広がっていた


ゴールに向けて走る安田団長ゴールに向けて走る安田団長 名物の日向夏。団長もお気に入りです名物の日向夏。団長もお気に入りです


薄曇りと春霞で絶景こそ望めなかったが、もし晴れていたら日南海岸を走る区間はどれだけ素敵だったことだろう。海と山、ひなびた田園風景と、賑やかすぎない城下町。これが宮崎アースライドの魅力だと感じた。走りやすさでは石垣島アースライドにこそ及ばないものの、宮崎だって、魅力では全然負けていない。


ゴール後に会場で振舞われた、炭火焼き地鶏の美味しさと言ったら、もう!

会場で振舞われた炭火焼地鶏に舌鼓会場で振舞われた炭火焼地鶏に舌鼓 春を満喫した宮崎アースライド。あっという間にゴールゲートをくぐった春を満喫した宮崎アースライド。あっという間にゴールゲートをくぐった




report:So.Isobe


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