1月3日、地元南アフリカでトレーニング中のバリー・スタンダー(スペシャライズドレーシング)が交通事故に遭い、25歳の若さでこの世を去った。2009年にMTB世界選手権クロスカントリーU23で優勝した新鋭の訃報に自転車界が心を痛めている。

バリー・スタンダー(南アフリカ)バリー・スタンダー(南アフリカ) photo:Makoto AyanoCyclingSA(南アフリカ自転車競技連盟)によると、同国東部、クワズール・ナタール州のシェリービーチでトレーニング中だったスタンダーが、1月3日、タクシーとの交通事故に遭い、帰らぬ人となった。

25歳のスタンダーはオーストラリア・キャンベラで開催された2009年のMTB世界選手権クロスカントリーU23で優勝。2010年には同選手権エリートで銅メダルを獲得している。ロードレースにも参戦しており、2011年の南アフリカ選手権ロードで2位。地元南アフリカで開催されているMTBクロスカントリーのステージレースであるケープエピックでは2勝している。

近年はスペシャライズドレーシングチームの一員として活躍し、UCIワールドカップでは2勝を飾り、2012年の年間ランキングは総合2位。2012年のロンドンオリンピックMTBクロスカントリーでは5位に入っている。

2012年からスタンダーとチームメイトとなった山本幸平は、自身のTwitterの中で「チームメイトのBurryがトレーニング中に車との交通事故で亡くなった。なんて言って良いのか。もっともっと一緒に走りたいぞ!信じられないよ」と、悲痛な心境を語っている。

CyclingSAはプレスリリースの中で以下のように綴っている。「バリーは南アフリカ史上最も成功を収めたMTB選手だ。象徴的な、他人の手本となってきた彼の未来あるキャリアが突然途絶えてしまった。プロフェッショナリズムを貫き、つつましく謙虚で、ガッツある走りを常に見せ、プライドをもって国を代表して来たジェントルマンを失った。彼のように素晴らしく、インスピレーションに溢れた人物が南アフリカを代表した一つ一つの記憶を宝物にする。本当のチャンピオンに敬意を表する。レスト・イン・ピース、バリー・スタンダー」。

2012年12月16日には、2001年のMTB世界選手権ジュニアで優勝したイニャキ・レハレタ(スペイン)が、同じくトレーニング中の交通事故で死亡。MTBクロスカントリー界はエリート選手の訃報が続く。

シクロワイアードは偉大なるライダーの死を悼み、最大限の哀悼の意を表します。

text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano