2012年のUCIワールドツアーランキング1位のホアキン・ロドリゲス(スペイン)が所属し、同チームランキング2位という成績を残しながらも、実質的な降格を言い渡されたロシアのカチューシャ。UCI(国際自転車競技連合)から具体的な理由は発表されておらず、チームはCAS(スポーツ仲裁裁判所)への提訴を発表した。

2012年度のUCIワールドツアーリーダーに輝いたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)2012年度のUCIワールドツアーリーダーに輝いたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla12月10日、UCIが発表した2013年度のUCIワールドツアーライセンスのチームリストの中にカチューシャの名前は無かった。2012年シーズンを通した活躍したチームのライセンス申請却下は物議を醸し、チームは直ぐさまプレスリリースを出してUCIの決定を非難した。

「チームの首脳陣や選手、スタッフは、正当な理由を欠くUCIの決定に驚いている。チームには世界ナンバーワンの選手(ロドリゲス)が在籍し、チームとしてUCIワールドツアーランキング2位に入った。UCIプロチームとしての基準を全て満たしていると事前に知らされていた。(中略)。ロシア出身選手が大半を占める唯一のロシアチームがワールドツアーから閉め出された。UCIがロシアのトップレース参戦を禁止したようなものだ。(決定に対して)闘う準備はできている、これまで以上に」。

UCIワールドツアーライセンスの申請や更新に際して重視されるのはチームの「成績」「倫理」「財政」「運営」の4項目。唯一懸念されているのは「財政」の点で、「財政上の基準を満たしていない」という判断が一時的にライセンス委員会によって下されていたことが明らかになっている。しかしカチューシャは監査法人とともに11月22日に開かれたヒアリングで説明を行ない、財政の点に関してライセンス委員会の承認を得ていたという。

チームは「今回の決定に関して、近いうちに連絡を行なう」という旨のリリースをUCIのライセンス委員会から受け取っているものの、1週間経っても具体的な説明がなされていない。

UCIルールによると、UCIプロチーム(UCIワールドツアーライセンス保有チーム)の上限は18チーム。12月10日発表の時点で上限に達しており、現行のルールではカチューシャに余地は残されていない。

12月15日、カチューシャは今回の一件をスイス・ローザンヌにあるCASに提訴したと発表した。長期戦の様相を呈しているが、2013年のシーズン開幕まで時間は無い。グランツールをはじめとするUCIワールドツアーレースへの参戦が確約されないUCIプロコンチネンタルチームに降格するとなれば、ロドリゲスが他チームへ移籍することも考えられる。今はただUCIからの説明が待たれる。

text:Kei Tsuji

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