11月25日に開催される国内最大のロードレース ツール・ド・おきなわ。再びワンデイに戻ったチャンピオンレースを制するのは? 市民レーサーにとっては最高の舞台。見どころを解説する。

「ホビーレースの甲子園」の異名を持つツール・ド・おきなわは市民レース最大の祭典だ「ホビーレースの甲子園」の異名を持つツール・ド・おきなわは市民レース最大の祭典だ (c)Makoto.AYANO

例年より約2週間遅れとなる今年のツール・ド・おきなわ。もともとシーズン最後のレースとしてジャパンカップ等から日が開いての開催だったが、今年は県内事情でさらに開催日が2週間も後ろにずれたため、選手にとっては調子の維持がかなり難しくなったと言えるだろう。

そして、昨年は土曜日に開催された名護市内での1.8km個人TT「まちなかタイムトライアル」とロードレースの合計総合時間で個人総合成績が争われたが、今年は再びワンデイレースに戻った。やんばる地方を舞台にした、アップダウンに富んだロードコースの距離は210km。2010年から採用された、ゴール前約20km地点にある羽地ダムの上りを最後の勝負どころとするハードなものだ。

国際レースはチャンピオン・女子・ジュニアの3つ。そして「ホビーレーサーの甲子園」と称される市民レースは、210km、140km、100km、50kmの部がある。シーズン最後のレースにして、最高の栄光が待つレースだけに、どのクラスも熱戦が繰り広げられる。

チャンピオンレース参加チーム イナーメアイランド信濃山形が初参戦

チャンピオンレースに初参戦するイナーメアイランド信濃山形(写真はシマノ鈴鹿ロード)チャンピオンレースに初参戦するイナーメアイランド信濃山形(写真はシマノ鈴鹿ロード) (c)Makoto.AYANOUCIレースの華、男子チャンピオンレースには海外・国内より17チーム・85人が参加する。海外より7チームが参加。おなじみオーストラリアのドラパックと、福島晋一率いるトレンガヌ、別府史之はじめ多くの日本人が若手時代に欧州活動の拠点としたフランスのプロ予備軍チームのラポム・マルセイユ、ワン・カンポーで過去勝利を重ねてきた香港ナショナルチームらが参加。新顔としては韓国のKSPO、そして実力が未知数のショップチーム? ドイツのスペシャライズド・コンセプトストアチームが参加する。

国内チームでは、昨年やんばるの第2ステージを制した畑中勇介率いるシマノレーシング、2ステージの合計での個人総合優勝を飾った盛一大が所属する愛三工業レーシングが参戦。ほか、国内トップチームのブリヂストンアンカー、宇都宮ブリッツェン、マトリックス、チームNIPPOら実力は拮抗している。

そのなかに今年はイナーメアイランド信濃山形がリスト入り。昨年市民210kmを独走で制した高岡亮寛らがチャンピオンレースに挑むことになる。つまり、市民210kmの参加リストからは昨年覇者と3位の橋本健の名前が消える。そして、昨年はチャンピオンレースに出場したなるしまフレンドが、再び市民レースに戻ることになった。

2011年はゴールスプリントで勝負が決まり、畑中勇介(シマノレーシング)が制した2011年はゴールスプリントで勝負が決まり、畑中勇介(シマノレーシング)が制した (c)Makoto.AYANO■チャンピオンレース出場チーム
海外チーム(7チーム)
香港ナショナルチーム(香港)
ドラパック(オーストラリア)
KSPO (韓国)
トレンガヌ (マレーシア)
ラポム・マルセイユ(フランス)
スペシャライズド・コンセプトストア (ドイツ)
チャイニーズ・タイペイ (台湾)
国内チーム(10チーム)
シマノレーシング
ブリヂストンアンカー
愛三工業レーシング
宇都宮ブリッツェン
マトリックスパワータグ
京都産業大学
Cannondale spacezeropoint
鹿屋体育大学
チームNIPPO
イナーメアイランド信濃山形


各チームの戦力分析

2011年チャンピオンレース第2ステージを制した畑中勇介(シマノレーシング) 2011年チャンピオンレース第2ステージを制した畑中勇介(シマノレーシング)  photo:Hideaki.TAKAGIチャンピオン個人総合優勝は盛一大(愛三工業レーシング)が制したチャンピオン個人総合優勝は盛一大(愛三工業レーシング)が制した photo:Hideaki.TAKAGI


ゼッケン1は怪我から復帰しモチベーションも高い綾部勇成(愛三工業レーシング)がつけるゼッケン1は怪我から復帰しモチベーションも高い綾部勇成(愛三工業レーシング)がつける (c)Makoto.AYANOチャンピオンレース出場選手は公式サイト等では公表されていないが、主催者への事前取材で分かった参加選手で戦力を分析してみよう。
まず昨年総合優勝した盛一大(愛三工業レーシング)は出場しない。ディフェンディングチャンピオン不在の代わりに、怪我から復帰の綾部勇成がゼッケン1をつけエースとなる。他に中島康晴、福田真平、伊藤雅和、木守望という布陣だ。
2011おきなわ 羽地ダムへの上りで飛び出した清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)2011おきなわ 羽地ダムへの上りで飛び出した清水都貴(チームブリヂストン・アンカー) (c)Makoto.AYANOシマノレーシングは昨年やんばる路の第2ステージを制した畑中勇介がエースとなる。メンバーは他に鈴木譲、平塚吉光、入部正太朗、野中竜馬。畑中は昨年、中集団のゴールスプリントを制して勝利している。
ブリヂストンアンカーは井上和郎、清水都貴、西薗良太、伊丹健治、吉田隼人を揃える強力な布陣。過去2年先頭集団でゴールしながら勝利を逃している清水は、羽地ダムで抜け出したいところ。スプリントのある井上、スピードのある西薗、優勝経験のある伊丹との組み合わせが可能だ。
ドラパックは過去TTを3連覇したトーマス・パルマーが来日する。例年やんばる路で脱落してきたため優勝候補に挙げられないが、若い伸び盛りの選手だけにあなどれないだろう。
2011おきなわもチームNIPPOが積極的な攻撃でレースをつくった2011おきなわもチームNIPPOが積極的な攻撃でレースをつくった (c)Makoto.AYANOトレンガヌは福島晋一が出場。韓国のKSPOは元エキップアサダ(梅丹本舗GDR時代)でも走ったパク・ソンベクが出場する。
香港ナショナルチームにはワン・カンポーの名前は無い。
チームNIPPOはヴィーニファンティーニ(元ファルネーゼヴィーニ)に移籍の決まっている佐野淳哉、沖縄県
期待の内間康平、ジャパンカップで2つの山岳賞をとった中根英登、小森亮平、榊原健一と、力が揃っている。
宇都宮ブリッツェンはキャノンデールプロサイクリング入りを決めた増田成幸、沖縄出身の普久原奨、中村誠、初山翔が揃う。増田はキャノンデール合流に備えて体調を整えていることが予想される。
Jプロツアーチャンプの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はキャノンデール入りを前に調整を始めているはずだJプロツアーチャンプの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はキャノンデール入りを前に調整を始めているはずだ (c)Hideaki.Takagi鹿屋体育大学は黒枝士輝、山本元喜ら。マトリックスは昨年第2ステージで畑中にスプリントで敗れたマリウス・ウィズィアックが雪辱を晴らすべく出場。
チャンピオンレース挑戦となるイナーメアイランド信濃山形は高岡亮寛、橋本健、岩月伸夫、ポール・ソールズベリー、山本聖吾のメンバーで出場する。健闘を期待しよう。

いずれにせよジャパンカップとJBCF輪島ロードを最後に間が開いたため、各選手たちがどの程度の調子を維持しているかは非常に分かりにくい。海外勢もヨーロッパの選手にとっては完全にオフ入りした時期だ。負傷などでシーズン後半にあまり走ら(れ)なかった選手が再度調子を上げてくることも考えられる。タフなコースであるだけに、乗り込みと調整が万全でない選手が最後まで先頭集団に残ることはありえない。

ホビーレースの甲子園 市民210kmはなるしまフレンドが主導権を握る?

市民210kmの2011覇者・高岡亮寛、3位の橋本健らイナーメ勢がチャンピオンレースに出場する。2010年覇者はなるしまフレンドの岩島啓太、2位もなるしまの小畑郁だった。岩島はジャパンカップのオープンクラスでも勝利し、好調だ。このことから今年の市民210kmはなるしまフレンドの動きがレースのカギを握るだろう。
優勝候補は昨年2位の山本雅之(ブリヂストンサイクル西日本)、過去優勝経験を持つ武井きょうすけ(フォルツァ)、西谷雅史(オーベスト)、清宮洋幸(竹芝サイクルレーシングらが要チェックだ。
各クラスの熱闘に期待しよう。

2010年市民200kmは岩島啓太(なるしまフレンド)が優勝、小畑郁(なるしまフレンド)が2位2010年市民200kmは岩島啓太(なるしまフレンド)が優勝、小畑郁(なるしまフレンド)が2位 photo:Hideaki.TAKAGI

台風の爪痕残る沖縄 工事箇所に注意

下見を行った主催者によればコース上に工事箇所が多いので注意が必要という情報だ下見を行った主催者によればコース上に工事箇所が多いので注意が必要という情報だ (c)Makoto.AYANOやんばる路と本島一周のコースの下見確認をしてきた事務局関係者によれば、台風による影響や工事により今年の道路状況には少々注意が必要だ。名護から本部半島のコース序盤において、本部港付近が工事中。今帰仁付近で道が狭くなっている個所があるという。58号線に出ると、橋梁工事や台風後の工事中の箇所が多くあるという。

森兵次実行委員長は次のように注意を呼びかける。
「先日、コース上の注意箇所を見て回りました。工事中の箇所が多く、事務局が道路管理者に要請して万全の策を講じてはいますが、集団での走行は厳しい個所が見られました。市民レース100kmの選手はスタート後しばらくして多くの工事個所に出会うことになります。そういったところでは無理した追い越しは事故の元になります。レース前半はセーブして走るのが賢明でしょう。ロードレースでは道路はありのままに使うものですが、210km系に参加する選手は充分に注意してください」。

シクロワイアードでは今年も全クラスを完全網羅して速報レポートをお届けします

シクロワイアードでは例年同様、インレースオートバイ等を駆使してレースの模様を万全の体制で取材し、お伝えします。レース直後の各クラスの速報、レースレポート、ムービー等での記事展開にご期待ください。

新城幸也のトークショー開催

沖縄県石垣島出身の新城幸也(ユーロップカー)がツール・ド・おきなわを訪れ、小中学生ライダーたちとのトークショーなどをすることになった。大会側ではツール・ド・フランスやロンドンオリンピックの労をねぎらう花束贈呈式なども用意しているという。

新城幸也の予定(暫定で変更の可能性があります)
24日
14時30分 サイン会
15時30分 トークショー(ガラパさんと)
16時 開会式に登場 花束贈呈

25日
9時40分 小中学生ライダーとのトークショー


photo&text:Makoto.AYANO