ペタッキやヴィヴィアーニ、アエドが絡んだ本格スプリント。混み合う集団から一人抜け出したマルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)が先着した。トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は40秒のリードで最終ステージを迎える。

ツアー・オブ・北京2012第4ステージツアー・オブ・北京2012第4ステージ image:Tour of Beijing北京の北に位置する延慶(イェンチン)から昌平(チャンピン)スタジアムまでの165.5kmで行なわれたツアー・オブ・北京第4ステージ。レース後半に3つの3級山岳を越えるが、集団が破壊されるほどの難易度ではない。大方の予想通り、100名を超える大集団によるゴールスプリントが繰り広げられた。

逃げるジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット)やアレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)逃げるジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット)やアレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Graham Watson/Tour of Beijing逃げの常連であるジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット)の他、アレックス・ダウセット(イギリス、チームスカイ)、アレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ティモフェイ・クリスキー(ロシア、カチューシャ)、ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がレース序盤からエスケープ。

スプリントでペタッキやヴィヴィアーニを下したマルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)スプリントでペタッキやヴィヴィアーニを下したマルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ) photo:Graham Watson/Tour of Beijing脚の揃った5人の逃げが形成されたが、平坦ステージであるため逃げ切りのチャンスは乏しい。タイム差が縮まると、ゴールまで30kmを残した最後の3級山岳でロワがアタック。先頭ロワは、メイン集団から3分近いリードを得てダウンヒルに差し掛かった。

40秒差でリーダージャージを守るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)40秒差でリーダージャージを守るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Graham Watson/Tour of Beijingゴールに至るこの下りで、まだ本調子ではないアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)がメイン集団から脱落する。ゴールまで15kmを残してロワのリードは1分35秒。ランプレ・ISDやリクイガス・キャノンデール、レディオシャック・ニッサン、オメガファーマ・クイックステップの集団牽引により、ロワはラスト5kmで吸収された。

ここからはスプリンターチームによるトレイン勝負。ランプレ・ISDやチームスカイ、オメガファーマ・クイックステップが競り合いながらゴールに向かって突進。リーダージャージのマルティンがリードアウトのために先頭に出る。

ラスト250mでエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)とアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)が別ラインでスプリントを開始。するとペタッキの後方からカチューシャジャージのハラーが出てくる。

前を走るペタッキを抜き、後半に追い上げたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)を振り切ったハラー。1車身以上のリードでフィニッシュラインを駆け抜けた。

ハラーは今年アドリアモビルからカチューシャに移籍した21歳のスプリンター。トラックレースでの経験も豊富で、昨年ロード世界選手権のU23レースでは5位。まだまだ無名に近いオーストリアンスプリンターが金星を手にした。

「スピードに乗っていたし、楽にスプリントした。『おお!このままだと勝てる!勝利が現実になる!』って思いながら、先頭でゴールした。ワールドツアーレースで勝ったんだ。信じられないほど嬉しい。まさかヴィヴィアーニやペタッキに勝てるとは思っていなかった」と、ハラーは初々しいコメントを残す。

総合は動かず、キッキのためにリードアウト役を担ったマルティンがリーダージャージをキープ。フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)が40秒差、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)が50秒差、そしてエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)が52秒差で続く。

最終日の第5ステージは、ゴール29km手前に1級山岳が設定された182kmの中級山岳コース。ガヴァッツィやマーティン、ボアッソンハーゲンらが逆転をかけて攻撃を仕掛けるだろう。登りで縮小した小集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。

レース展開や選手コメントはレース公式リリースより。



ツアー・オブ・北京2012第4ステージ結果
1位 マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)              3h35'39"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・ティンコフバンク)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
10位 ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ・ビッグマット)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)      13h11'31"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)             +40"
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)          +50"
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)        +52"
5位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +56"
7位 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)                  +1'00"
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)

ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)

山岳賞
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)

新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)

チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール

text:Kei Tsuji
photo:Tour of Beijing

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