学連クリテリウム最高峰の大会を制したのは吉岡直哉(京都産業大)。鹿屋体大の7連覇を阻止した。C1は中西重智(シエルヴォ奈良)が逃げとスプリントで勝利。

クレフィール湖東内の教習コースが会場クレフィール湖東内の教習コースが会場 photo:Hideaki.TAKAGIC1 中西重智(シエルヴォ奈良)が優勝C1 中西重智(シエルヴォ奈良)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI10月8日、滋賀県東近江市のクレフィール湖東内で行われたクリテリウム。京都府自転車競技連盟が行うキャットアイクリテリウムと、日本学生自転車競技連盟が行う全日本学生選手権クリテリウム大会の併催だ。

クレフィール湖東は運送会社のセンコー株式会社が関わる交通安全研修施設で、ホテルと教習コースが併設されたものだ。今大会はその教習コースをクリテリウムのコースとして使うもの。
教習コースと内部をパイロンで区切ったコースは、全体が緩斜面になっており、一部はバンク角をつけてあり、風も手伝って力とテクニックの両方が必要なものだ。

C1 中西重智(シエルヴォ奈良)が圧巻の走り

京都府車連が行うクリテリウムの最上級者対象のC1は、20周46kmで行われた。序盤から活発に動くのは5人出場の岩井商会レーシングチーム、豊田勝徳(チーム・アヴェル)、ベルギーから帰国した小石祐馬(ユーラシア)そして中田尚志(Tacurino.net)ら。
中盤で中西と豊田の2人が抜け出しその後は中西が単独で逃げる。メイン集団は10秒から20秒ほどの差で追う。終盤に向けて追い上げて最終周回に中西が吸収されて振り出しに。
ゴールまで400mの地点で中西が再度抜け出して、先行したままゴール。約30分間を単独で逃げつつ、吸収されてからも抜け出して勝つ圧倒的な力を示した。
「できれば逃げ切って勝ちたかった。終盤に一度踏み込んでみたがタイム差は縮まってきていたので、吸収されることを考えて気持ちを切り替えた。スプリント力がないので、ゴール前のコーナーを先頭で抜ける事を考えた」という中西。考えどおりのレース展開に持ち込んだ。

学生クリテリウム 吉岡直哉(京産大)が競り勝つ
学生クリテ スタート前学生クリテ スタート前 photo:Hideaki.TAKAGI逃げる中根英登、榊原健一(中京大)、高宮正嗣(鹿屋体育大)逃げる中根英登、榊原健一(中京大)、高宮正嗣(鹿屋体育大) photo:Hideaki.TAKAGI追走の吉岡直哉(京都産業大)追走の吉岡直哉(京都産業大) photo:Hideaki.TAKAGI黒枝士揮(鹿屋体大)とマークする鍵本大地(京都産業大)黒枝士揮(鹿屋体大)とマークする鍵本大地(京都産業大) photo:Hideaki.TAKAGIゴールへ向かうメイン集団ゴールへ向かうメイン集団 photo:Hideaki.TAKAGIチームワークで勝った京都産業大チームワークで勝った京都産業大 photo:Hideaki.TAKAGI女子は鹿屋体育大が上位独占)女子は鹿屋体育大が上位独占) photo:Hideaki.TAKAGI
学連最高峰のクリテがこの大会。多くの選手は前日まで開催の岐阜国体参加者だ。注目は鹿屋体育大学。愛三工業在籍の伊藤雅和が1年生のときに優勝して以来、じつに6年間このタイトルを保持しており、今大会に7連覇がかかっている。しかし前前日の岐阜国体4km速度競走決勝で山本元喜と入佐直希が落車に巻き込まれた。山本は強度の打撲、入佐は鎖骨骨折で2人とも国体ロードとこの学生クリテを欠場。このことが結果に大きく影響することに。

レースは予選2組を勝ち抜いた50名により20周46kmで行われた。2周に1回のポイントレース形式で1位通過から順に5、3、2点が、ゴールは倍点でポイントの合計で成績が付く。ポイント回数は10回。
スタートからアタックがかかる。序盤から激しく競り合うのは鹿屋体育大と京都産業大。ここに中京大、立命館大らが入る展開。鹿屋体大は黒枝士揮を、京産大は吉岡をエースに据える。大きくは鹿屋体大が展開をリードする動き。

2回までのポイントは黒枝が1位通過、3回目は吉岡が1位通過。その後に中根英登と榊原健一の中京大2名が逃げ、これを高宮正嗣(鹿屋体育大)がマークに入る。この3人は逃げたい中京大2人と抑えたい鹿屋の構図のため、ポイントは高宮が1位通過を重ねる。その後榊原が脱落するがこの強力な逃げのため、おもに鹿屋体大が引くメイン集団はなかなか差を縮められない。京産大は鹿屋の特に黒枝のマークを強くする。
2人の逃げが吸収後に1位通過したのは吉岡。さらに住吉宏太(日本大)が1位通過した2回、黒枝は加点できない。そしてラスト2周に入る前に和田力(日本大)が単独アタックしゴールの倍点も獲得。
ゴール2位争いは黒枝が制した。ポイント合計は19点で吉岡が優勝、黒枝は1点差の2位に。
吉岡は中盤以外の場面で満遍なく加点できたことが大きい。特に逃げが吸収された後半に黒枝を置き去りにして加点できたことが大きい。中盤の中京大の逃げにより得点が分散、終盤の日本大勢の攻撃も結果に現れた。

優勝した吉岡は「調子は徐々に上がってきていたが、前日の国体ロードがふがいなく悔しい気持ちでいっぱいだった。今日は絶対に勝つと決めてスタートした。昨年のアメリカ遠征でクリテリウムをたくさん走った成果が出た。チームに感謝したい」とコメント。

京都産業大は今年前半の個人ロードとチームTTで好成績を収めたが、その後のインカレと北海道では上位の成績を残せなかった。同大は試験のため7月から8月上旬までの1ヶ月間は完全に活動を休止する。しかし「特にインカレで成績を残せなかったのは、その大会に対する気持ちの差」と厳しく言うのは秋田謙監督。この日は監督が要所で選手に的確な指示を出し、これを信頼し実行できた選手との、総合力での勝利だ。

結果
キャットアイクリテリウム C1 46km
1位 中西重智(シエルヴォ奈良)59分18秒81
2位 大塚航(岩井商会レーシングチーム)
3位 豊田勝徳(チーム・アヴェル)+01秒
4位 奥村将徳(岩井商会レーシングチーム)
5位 小石祐馬(ユーラシア)
6位 中田尚志(Tacurino.net)+11秒

全日本学生選手権クリテリウム 46km
1位 吉岡直哉(京都産業大)19点
2位 黒枝士揮(鹿屋体育大)18点
3位 和田力(日本大)15点(58分03秒47)
4位 高宮正嗣(鹿屋体育大)15点
5位 中根英登(中京大)12点
6位 渡辺洋平(立教大)8点
7位 榊原健一(中京大)8点
8位 住吉宏太(日本大)7点
9位 前園浩平(立命館大)6点
10位 志野安樹(同志社大)2点

学生&登録女子 23km
1位 上野みなみ(鹿屋体育大)
2位 塚越さくら(鹿屋体育大)
3位 木村亜美(鹿屋体育大)


photo&text:高木秀彰