マドリードの周回コースで最終日を迎えたブエルタ・ア・エスパーニャ2012第21ステージ。スプリンターを抱える各チームが最終日のゴールに向けて意欲を見せる最終周。アルゴス・シマノもしっかりトレインを組み、デゲンコルブを発射してステージ5勝目を果たした。ステージ6位に入ったバルベルデがポイント賞・複合賞も獲得した。

ステージ優勝5勝目を遂げたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)

チームメイトと5勝目を喜ぶジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)チームメイトと5勝目を喜ぶジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Unipublic(ステージ5勝目について)とてもうれしい。たった1回のブエルタでステージ5勝できたなんて信じられない。この3週間のあいだ、チームとぼくは一心同体だった。ぼくたちは同じ山岳で苦しみ、マドリードの最終ステージのことを心に抱き続けていた。ぼくたちはこの日に100%を集中した。最後の500mでは、自分の前にフレッシュな選手が2名いた。残り450mでクーン・デコルトがサイモン・ゲスクから引き継いで、ぼくを残り200mまで引いてくれた。そして全力で走った。本当に満足している。

(ステージ2位のエリア・ヴィヴィアーニと僅差だったことについて) これまで彼に対抗できていた。だから自信はあった。たぶん誰もが疲れていたと思う。頭ひとつの差はそこだと思う。

(ツール・ド・フランスについて) 自分のキャリアは一歩ずつ着実にツール・ド・フランスに向かっている。でも、自分には改善すべき点も多い。アルゴス・シマノというチームは2013年も強力だろうし、これからも戦い続けて、ぼくの勝利のアシストもしてくれるはずだ。マルセル・キッテルも含めて、ぼくたちは一緒にレースをして、一緒に勝利していくつもりだ。

(今年の残りのスケジュールについて) 2・3日ほど休息したら、来週はフランスのGPディスベルク(9月16日)で走って、それから世界選手権(9月23日)で走る予定だ。(世界選手権の)ヴァルケンブルグではドイツチームの素晴らしい仕事を期待している。それから次の3つのワンデイレース、バンシュ~トゥルネ~バンシュ(10月2日)、パリ~ブルージュ(10月4日)、パリ~トゥール(10月7日)で今シーズンを締めくくる予定だ。


総合2位・ポイント賞・複合賞のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

チーム総合成績トップに輝いたモビスターチーム総合成績トップに輝いたモビスター photo:Unipublic総合2位の成績に満足している。あの落車(第4ステージのバルデスカライ)で失ったタイムを差し引くとコンタドールとはたった20秒差だった。でも、そのことは考えないことにするよ。今年のブエルタは自分にとって素晴らしかったから。
仮に接戦になっていれば、戦い方も異なっていただろうから、全体として見れば不満を言うべきではない。チームの今回のブエルタでの目標は、ぼくの総合上位ではなかったけど、結果として総合2位になった。だから本当に満足している。この3週間、チームメイトたちは完璧だった。初日から最終日まで本当によくやってくれた。彼らがいなければ、この表彰台に立つことはできなかったろう。

子どもと一緒に表彰台に登った総合2位・ポイント賞・複合賞のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)子どもと一緒に表彰台に登った総合2位・ポイント賞・複合賞のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVosとてもスペクタクルなブエルタだった。たくさんの観客がいて、選手はみんな喜んでいた。トップ3の争いはとても熾烈だった。対戦相手となったライバルたちは、ひとりはグランツールで世界最強の選手で、もうひとりは今年のジロ・デ・イタリアで総合優勝一歩手前までいった選手だ。彼らを相手に総合2位になれたことは、とても重要だ。それだけではなく、このブエルタをさらに大きな意欲を持って終えることができた。つまり、世界選手権が楽しみになってきた。
このハードのステージレースの後だけど、やる気に満ちているし、頑張れそうだと思っている。優勝は難しいだろうけど、ぼくの脚は今年の世界戦向きだ。来週は体力の全回復にほぼ終始するつもりだ。ここで追い込むよりは、しっかり休むほうが自分には向いている。その後で、みっちりと世界選手権に向けてトレーニングをするつもりだ。

スペイン人選手によって占められた総合表彰台スペイン人選手によって占められた総合表彰台 photo:Unipublic

総合3位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

スタート前に仲良くスポーツ新聞をチェックするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)スタート前に仲良くスポーツ新聞をチェックするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) (c)CorVos自分の結果には満足している。自分にとっては素晴らしいブエルタだった。チームやスタッフ全員が、ぼくをサポートしてくれた。メインスポンサーであるイテラに感謝したい。それから、RGCP(ロシアン・グローバル・サイクリング・プロジェクト)の代表イゴール・マカロフにも。彼は、ぼくがこの世界最強のチームのリーダーとして、この重要な大会に挑むことを許可してくれた。
この最終日のステージで、2つのジャージ(ポイント賞と複合賞)を失って、少し落ち込んでいる。しかし、現実には向き合うべきだろう。コンタドールとバルベルデは、かなり強力な選手だった。ともかく、チームとして、今年のブエルタでの成果に満足すべきだ。最終日の表彰台の位置に入れたし、4回のステージ優勝を遂げ、そして13日間も総合ジャージを維持できて、ずっとブエルタの主役だったからだ。いまは世界選手権のことを楽しみにしている。できるだけ最高の成果を出すつもりだ。


総合4位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

成果をあまり持ち帰ることができないことを残念に思っている。今回は大きな意欲をもってブエルタに参加したはずだった。そうは言っても、チームや自分の走りについては残念には思っていない。ぼくは全力を出したし、チームも万全の体制で、ぼくのケアやサポートをしてくれた。その意味では、まったく悔いるところはない。

今回は学ぶべきことが多かった。このレースからは非常に多くのノウハウを得られると思う。個人的には、自分は2つのグランツールを連続して走るのに限界があることがわかった。また、今年のツール・ド・フランスとは異なるタイプのレースの展開があることを数多く学んだ。これは来年以降のツールや他のレースで役立つと思う。自分にとっては、初めてチームのリーダというポジションで参加することになった。周囲にいるアシストの選手たちに、自分がレースで最善の結果を出すためのニーズを伝えることの大切さも学んだ。

これでやっと休むことができる! 2・3日は脚をしっかり休ませて、大丈夫なようだったら世界選手権に出場する。明日からの2?3日で重視しているのは、完全休息してリラックスすることだ。


山岳賞のサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞を獲得し、「Call Me Maybe」のポーズで表彰台に立つサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)山岳賞を獲得し、「Call Me Maybe」のポーズで表彰台に立つサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) (c)CorVos昨日も言ったように、ぼくは単なるご都合主義者で、この3週間のあいだに都合よく回ってきた4回のチャンスを獲得しただけだ。ぼくはちょっと運が良かっただけで、そのご褒美としてこの山岳賞ジャージを手に入れた。
オリカ・グリーンエッジがずっと目標にしてきたのは、グランツールで結果を出すこと。つまり、なにかの賞のジャージを獲得するという形で結果を示すことだった。正直にいうと、緑色のポイント賞ジャージのほうが望ましかった。ぼくたちはスプリンターがメインのチームだから。サイモン・ジェランスは先日、ミラノ~サンレモに続いてカナダでのUCIワールドツアーのレースで優勝している。一方で、ぼくはこの水玉ジャージを獲得しようとしていた。おもしろいよね。
初めてのグランツールで、このジャージを着てマドリードの表彰台に立った感触は、きっとツール・ド・フランスのシャンゼリゼの表彰台でもこんな気分になるんだろうと思わせてくれた。自転車競技は、多くの人々の目の前で展開する本当に素晴らしいスポーツだ!


総合67位に終わった前年度優勝者のファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター)

沿道にいたマッサーの言葉は聞こえなかったけど、今日のレースでは集団前方にいるべきだというのは自分で理解した。しかし、あまり関係なかった。個人的には昨年ほどの輝きを見せることはできなかった。しかし、最後の最後に、今年のブエルタに満足できた。チームとしてステージ2勝を果たしたし、チーム総合優勝も達成した。さらにアレハンドロ・バルベルデが総合2位になった。

今年の三大グランツールをすべて走りきったアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)

レースで勝つために生まれてきた選手もいる。そのような選手ではない場合でも、ぼくのようにドメスティーク(アシスト)の仕事を楽しんでいる選手もいる。自分にとっては今年のジロ、ツール、そしてブエルタの3つを完走したことこそ勝利だ。大きな喜びだ。でも、すぐに休むなんて問題外。まだ2~3のレースが残っている。世界選手権もあるし、ツアー・オブ・北京もある……で、クロコダイルトロフィー(オーストラリアで開催されるMTBの過酷なステージレース)っていつだっけ?


2年連続ブエルタ完走 最終日もしっかりアシストし5勝目に貢献した土井雪広(アルゴス・シマノ)

土井雪広(アルゴス・シマノ)も集団ローテーションに加わる土井雪広(アルゴス・シマノ)も集団ローテーションに加わる photo:Unipublicヘットラインはジョン!!それ以外無し!今日は絶対勝つ!とバスの中でエンジンをくんだのは言うまでも無いですが。ついにやりました!5勝目。もう疲労もピークに迎えた21日目。
僕はいったい何キロ先頭を引いたんだろう? でもエースはやってくれる。僕は力尽きても前を引く。他チームにプレシャーを与えながら進んだ21ステージ。完璧なコントロールで我慢できずに前に出てきたスカイ。戦略通りでした。もちろん彼らもすばらしい。
でも今はすべてがハッピーだ。本当に嬉しい。マドリードでの勝利。半端ない感動でした。マジで泣きました。グランツールステージ5勝という歴史を作ったジョンのアシストとして連日先頭を引けたことに本当に喜びを感じる。

もう何を書いたら良いかわからない。とにかく日本のサイクリングファンの方にはお礼を言いたい。3週間応援してくれてありがとう!!


(土井雪広のブログより抜粋)


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより全文および一部抜粋。

コンタドールの勝利記者会見のコメントは追ってお伝えします。

text: Seiya.YAMASAKI
photo: kei.Tsuji, CorVos, Unipblic