アジア最大級のステージレースとして年々規模を拡大するツアー・オブ・チャイナ。17日間に渡る長いレースが中国・西安で幕を開けた。初日のチームタイムトライアルを制したのはTTスペシャリストのステファン・シューマッハー擁するクリスティーナ・ウォッチズ。愛三工業は15位、トレンガヌは20位でゴールした。

中国の広大な大地を舞台に開催されるビッグレース

3回目の開催となるツアー・オブ・チャイナ(UCI2.1)。昨年は13日間9ステージで開催されたが、今年はさらに規模を拡大し、ツアー・オブ・チャイナ1と2、途中に休息日を挟む二部構成となり、シルクロードの起点となる内陸の西安から、北京近くの港街、天津まで約3,500kmもの距離を移動する予定。17日間、11ステージで構成されるアジア最大級のステージレースとなった。

2012ツアー・オブ・チャイナのコースマップ、移動距離は約3,500km2012ツアー・オブ・チャイナのコースマップ、移動距離は約3,500km map:Tour of China 2012

9月6日~13日 ツアー・オブ・チャイナ1 西安~武漢 全6ステージ
9月18日~23日 ツアー・オブ・チャイナ2 淮南~天津 全5ステージ


スタートを待つ愛三工業レーシングチームスタートを待つ愛三工業レーシングチーム photo : Sonoko Tanaka二部構成という変則的なレーススケジュールとなっているが、基本的には1クラスのステージレースが連続して2つ開催され、そこに同じチームがエントリーする形だ。総合成績はツアー・オブ・チャイナ2が始まればリセットされ、9月下旬に開催される世界選手権との兼ね合いから、いくつかのチームは1と2で選手を入れ替えるという。

チームキャプテン福島晋一を先頭にしてゴールへと向かうトレンガヌ。20位でフィニッシュチームキャプテン福島晋一を先頭にしてゴールへと向かうトレンガヌ。20位でフィニッシュ photo : Sonoko Tanaka参加チームはチームタイプ1、チャンピオンシステム、アンダルシア、ルスヴェロ、4つのプロコンチネンタルチームを筆頭に、世界各国から21チームが西安に集まった。日本からはアジアツアーランキング1位をめざす愛三工業レーシング、マレーシア籍のトレンガヌを率いる福島晋一(チャイナ1のみ)が参戦する。


初日のチームTTを制したシューマッハーがリーダーに

今回の参加チームのなかで注目の存在と言えるのが、デンマーク籍のコンチネンタルチーム、クリスティーナ・ウォッチズ。数年前まで第一線のレースシーンで活躍していたミカエル・ラスムッセン(デンマーク)とステファン・シューマッハー(ドイツ)のビッグネームが在籍し、彼らがツアー・オブ・チャイナにも出場する。

ベストタイムでステージ優勝したクリスティーナ・ウォッチズベストタイムでステージ優勝したクリスティーナ・ウォッチズ photo : Sonoko Tanaka虚偽報告を理由に、2007年のツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着ながらもチームから解雇されたラスムッセンと、2008年にEPO陽性で出場停止処分を受けたシューマッハー。2人ともやや暗い過去をもつ選手だが、愛三工業レーシングの別府監督は「トップクラスのレースで活躍していた彼らと一緒にレースを走れるのはすごく面白い」と話す。

14秒差の2位でフィニッシュしたラボバンク・コンチネンタル14秒差の2位でフィニッシュしたラボバンク・コンチネンタル photo : Sonoko Tanakaそして、初日に開催されたチームタイムトライアルで、彼らのチーム、クリスティーナ・ウォッチズが後続を14秒引き離してステージ優勝を挙げ、シューマッハーがリーダージャージを獲得した。第3ステージに標高差700mの山岳が組み込まれるが、上りに強いラスムッセンと、スプリントに強いシューマッハーのタッグは、今後レースの格となりそうだ。

愛三工業レーシングは1分13秒差の15位、福島晋一のトレンガヌは1分49秒差の20位で初日を終えた。明日、西安市内で開催される第2ステージは10kmのコースを10周回、100kmのサーキットレースとなる。


UCIポイント獲得が愛三工業レーシングの最大のミッション

23秒差の3位でゴールしたチームタイプ123秒差の3位でゴールしたチームタイプ1 photo : Sonoko Tanaka2011~2012シーズンのアジアツアーランキングは9月末で切り替わるため、ツアー・オブ・チャイナはランキングに反映される今季最後の大会となる。

UCIアジアツアー チームランキング(8/26日更新)
1位 トレンガヌ(マレーシア) 466ポイント
2位 アンドローニ・ジョカトーリ (イタリア) 374ポイント
3位 チームNIPPO(日本) 352ポイント
4位 チャンピオンシステム(中国) 352ポイント
5位 ダブリーズ・ペトロケミカル(イラン) 335ポイント
6位 愛三工業レーシング(日本) 330ポイント


1分21秒差の15位でフィニッシュした愛三工業レーシングチーム1分21秒差の15位でフィニッシュした愛三工業レーシングチーム photo : Sonoko Tanaka愛三工業レーシングの最優先事項は、UCIポイントをできるだけ稼ぎ、チームの目標であるチームランキング首位をめざすこと。そのため難しい選択だったと言うが、エーススプリンターの西谷泰治は、世界選手権の代表に選ばれたものの、出場を辞退し、ツアー・オブ・チャイナに出場する道を選んだ。そのエピソードが物語るとおり、愛三工業レーシングは1つの目標に向かって一致団結し、スタートラインに立った。

チームランキングだけでなく、西谷は個人ランキングで首位と32ポイント差の4位に付けている。ステージ優勝をするごとに16ポイントが加算されるため、逆転首位の可能性は大きく残されている。

ステージ優勝を挙げたステファン・ウォッチズステージ優勝を挙げたステファン・ウォッチズ photo : Sonoko Tanaka西谷泰治は言う。「アジアツアーで1番になるという目標のもと、ここに来ました。多くのステージがゴールスプリントの展開になると思うので、できるだけ多くステージ優勝を挙げること、また山岳が少なく、総合を狙える可能性も高いので、総合順位を視野に入れながら挑みたいと思っています。

ランキング上位のチームもいくつか参戦していますが、まずは前半で存在感をアピールし、自分たちが主導権を握り、ポイントを、チーム一丸となり積極的に取りにいきたいと思います。じつは先週まで調子が上がりませんでしたが、できるだけのケアをしてから来ました。今は調子が上向いている実感があるので、レースを走るにつれて、さらに良くなりそうです」



ブルージャージに袖を通すミカエル・ラスムッセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)ブルージャージに袖を通すミカエル・ラスムッセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanaka表彰を待つステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)表彰を待つステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanaka

総合リーダーの証、イエロージャージを着用するステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)総合リーダーの証、イエロージャージを着用するステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanaka2012ツアー・オブ・チャイナ1 第1ステージ結果
1位 クリスティーナ・ウォッチズ(デンマーク) 23:23
2位 ラボバンク・コンチネンタル(オランダ)  +14
3位 チームタイプ1(アメリカ)  +23
4位 アスタナ・コンチネンタル(カザフスタン) +24
5位 チャンピオンシステム(中国) +32
6位 ISD・ランプレ・コンチネンタル(ウクライナ) +37
15位 愛三工業レーシング(日本) +1:13
20位 トレンガヌ(マレーシア) +1:49

個人総合成績
1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ) 23:23
2位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
3位 フレイ・トーマス(スイス、クリスティーナ・ウォッチズ)
4位 ダニエル・フォダー(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
5位 アンジェロ・フーラン(イタリア、クリスティーナ・ウォッチズ)
6位 マーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
72位 綾部勇成(愛三工業レーシング)+1:13
73位 西谷泰治(愛三工業レーシング)
74位 中島康晴(愛三工業レーシング)
75位 盛一大(愛三工業レーシング)
76位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)
106位 福島晋一(トレンガヌ)+1:49
106位 福田真平(愛三工業レーシング)+3:23

ポイント賞
ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)

チーム総合成績
クリスティーナ・ウォッチズ(デンマーク)



photo & text : Sonoko Tanaka

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