8月19日、ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージでアルゴス・シマノのジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が勝利した。土井雪広をはじめ、チームメイトの力を借りて好位置を確保したデゲンコルブは、登り基調のスプリントで他を撃破。早速今大会1勝目を挙げた。

逃げるハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)逃げるハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル) photo:Unipublicブエルタ第2ステージはナバラ州南部を駆ける181.4kmコース。3級山岳が一つ設定されているものの、重量級スプリンターにも問題のない難易度。ワイン畑が広がる丘陵地帯を抜け、初めてブエルタのゴールを迎え入れるビアナに向かう。

前日の第1ステージで落車し、鎖骨骨折を負ったエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)はDNS。このスプリント向き平坦コースで、レース序盤から4名が逃げた。

メイン集団をコントロールするモビスターメイン集団をコントロールするモビスター photo:Unipublicメイン集団から飛び出したのはニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)、ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)、そしてミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)。

総合で10秒遅れのテルプストラが逃げに乗ったが、チームの指示でメイン集団に戻る。こうしてチャコン、アラメンディア、イグナチエフの3名の先行が決まった。

終盤にかけて逃げるハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)とミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)終盤にかけて逃げるハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)とミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ) photo:Unipublic気温40度を超える暑さの中、先頭3名は最大4分リードを得る。アラメンディアが今大会最初の3級山岳は先頭通過したが、違反行為があったとして2位通過のチャコンが先頭通過扱いに。

モビスターがコントロールするメイン集団は落ち着いてタイム差をコントロール。ラスト50kmでタイム差は2分まで縮まる。降り始めた雨によって、危険回避のためにサクソバンク・ティンコフバンクがメイン集団を牽引すると、タイム差の縮小は加速した。

先頭からチャコンが脱落し、終盤にかけてイグナチエフとアラメンディアの2人が逃げる展開。コンタドールはゴール19km手前のスプリントポイントを集団先頭通過(3位通過)し、ボーナスタイム2秒を獲得する。

チームスカイやサクソバンクの集団牽引によって、逃げはラスト12km地点で吸収される。オリカ・グリーンエッジやBMCレーシングチーム、リクイガス・キャノンデール、オメガファーマ・クイックステップが牽引するメイン集団から、緩やかな登りでセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)がアタック。ウズベキスタンチャンピオンはしばらく独走したが、結局はラスト4kmで吸収された。

ここからはスプリンターチームによるハイスピードな主導権争い。オリカ・グリーンエッジがリードし、最終コーナーを抜けてベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が先頭でスプリントを開始する。

登り基調のスプリントを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)登り基調のスプリントを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos緩い登り勾配を突き進むスウィフトの後ろから、アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とデゲンコルブが追撃。三者横一線に並ぶ中、最後まで伸びを見せたデゲンコルブが先着した。

昨年のマルセル・キッテル(ドイツ)に続く、アルゴス・シマノのジャーマンスプリンターのブエルタ勝利。ツール・ド・フランスをパスしたデゲンコルブが、グランツールの舞台で今シーズン7勝目をマークした。

グランツール初勝利を飾ったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)グランツール初勝利を飾ったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos「今日のスプリントはラスト5kmからゴールまでとにかく速かった。リードアウトを組んだのはグリーンエッジとアルゴス・シマノ。デーヴィスとスウィフトの番手を失ってしまったけど、そこからデコルトの力を借りて前に戻った。ラスト500mのロータリーから緩やかな登り勾配。パワーが必要なコースで、完全に僕向きだった。最後はデーヴィス、スウィフト、そして僕の3人による闘いになって、僕が一番強かったんだ」。グランツール初勝利を飾った23歳はそう振り返る。

グランツール初勝利を飾ったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)グランツール初勝利を飾ったジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vosこの日のスプリントを見る限り、最も踏めているのはこのデゲンコルブ。この先のステージでも勝利が期待される。「でもスプリンターは一人で勝てるわけじゃない。最高のチームメイトなしには勝てない。アルゴス・シマノの一員としては知っていることを嬉しく思う。チームとして最低1勝という目標を掲げていたので、もう目標をクリア。プレッシャーから解き放たれたよ。明日と明後日のステージはハードだけど、乗り切って、次なるチャンスを狙いたい」。

全日本チャンピオンの土井雪広は、ラスト10kmを切ってからチームメイトを引き上げ、勝利に貢献した。「今日のプランは逃げには誰も送り込まず、最後に備えること。ラスト5キロで僕が先頭でトレインを引き連れて集団15番手ほどまで引き上げ、そこからラスト4キロまでチェリー(ウポン)が粘り、そこからヨハネス(フレーリンガー)がラスト2キロ過ぎまで我慢し、そこからトム(ドゥムラン)の牽引でラスト1キロへ。最後はクーン(デコルト)がエースのジョンをリードアウト。ジョンが力を発揮して優勝した。僕らは必要なときに1回で位置取りをした。他チームは先頭をキープするのに力を使い、最後はばらばらになっていた」。

アルゴス・シマノは今後もデゲンコルブのスプリントにフォーカスする。土井は「明日明後日は、僕は集団内でお休みです。アタックはしません。次のスプリンターステージのために温存します」と語った。

選手コメントはレース公式サイトや選手ブログより。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第2ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)          4h38'40"
2位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)       +01"
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)
6位 ビセンテ・レイネス(スペイン、ロット・ベリソル)
7位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・ISD)
8位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 マヌエル・カルドソ(ポルトガル、カハルーラル)
10位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
187位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ)                 +1'32"

敢闘賞
ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)          4h57'31"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
3位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター)               +04"
7位 デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンク)            +10"
8位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ケヴィン・デウェールト(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
163位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ)                 +2'31"

ポイント賞(プントス)
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)            25pts
2位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      20pts
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)               16pts

山岳賞(モンターニャ)
1位 ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)              3pts
2位 ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)           2pts
3位 ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)             1pt

複合賞(コンビナーダ)
1位 ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)              118pts
2位 ハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)           184pts
3位 ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)             206pts

チーム総合成績
1位 モビスター                              14h14'51"
2位 オメガファーマ・クイックステップ                      +10"
3位 ラボバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic

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