超級・1級の山岳が連続する過酷な第16ステージ。新城を含む38名の逃げ集団が序盤に形成されるが徐々に数を減らし、ヴォクレールとフェイユーの2名がやや先行する形でレースは進む。残り20kmで飛び出したヴォクレールがステージ優勝と山岳賞・敢闘賞を獲得。エヴァンスは大きくタイムを失い、総合優勝の見込みはなくなった。

今大会2勝目・山岳賞・敢闘賞のトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

独走で1級山岳ペイルスルド峠を駆け上がるトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)独走で1級山岳ペイルスルド峠を駆け上がるトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Makoto Ayano今朝スタート地点で、今日のステージ全体の山の数のことを考えていたときは、自分が山岳賞ジャージを獲得するのに最も相応しい選手だとは言えなかった。同じような順位の選手の数は最低でも1ダースを越えていたからだ。38名での逃げ集団が成立したとき、実際に脚が充分に残っていると感じた。しかし、とにかく今日のステージは山頂ゴールの4つのレースをこなす気分で取り組んだ。

今大会2勝目を飾ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)今大会2勝目を飾ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vosトゥールマレーへの登りで「ペースを上げる必要がある」と口に出した。メイン集団との差はまだ充分だと思えなかったからだ。僕はユキヤと一緒に仕掛けた。彼が一日中ずっと伴走したベルガルド・シュル・ヴァルスリーヌのステージでは勝利したこともある。その後は(ブリース)フェイユと一緒にいて、(クリスアンケル)セレンセンとヴィノクロフとの差はわずか30秒だった。あそこでアタックしたのは、彼らと一緒に山頂まで到達できるか確信できなかったからだ。でも、ペイルスルド峠の山頂を1分半の差を付けて通過すると、今日の成果をありがたく思い始めた。僕は下りが得意だから、その段階でステージ優勝が最優先事項に変わった。

今日の成果がとても誇らしい。子どもの頃にテレビで見たシーンに似ているからだ。僕はいま新たな世界にいる。僕が実践したいと考える自転車競技の世界だ。今度は山岳賞ジャージの防衛が優先課題になった。順当に行けば、明日のステージを終えれば、僕のツールは事実上終わりになるだろう。

総合1位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)

1級山岳ペイルスルド峠を駆けるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら1級山岳ペイルスルド峠を駆けるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら photo:Cor Vos今日のツールは暑かった。今回のツールで最も暑かったと思う。休息日の翌日で、選手それぞれで様子が異なる。チームとしては今日も課題をこなせたと思う。チーム全員が今日もまた素晴らしい走りができたし、理想的なシナリオが描けた。カデル・エヴァンスにさらにタイム差を付けることができたのだから。とはいえ、ニーバリを追い落とせなかった——彼はとても強い。でも、今日は充実した日だった。

ニーバリは一流の自転車選手だ。ブエルタで総合優勝しているし、ジロでも表彰台に乗った……彼を過小評価してはいけない。彼とタイム差なしでゴールできてよかった。

他の選手たちが僕との勝負の手を緩めて、表彰台の総合優勝以外の座を狙い始めたとは思わない。まだ早い。彼らは今日の登りでは僕らにサービスしてくれたが、明日はまた別の日で別の課題がある。誰もがタイムトライアルのことも考え始めていると思う。明日は正真正銘の山岳ステージだ。要チェックすべきステージで、明日は(今日とは)まったく違う日になる。

山岳ステージの最終日に向けての充分な出来のシナリオになった。しかし、これからすべきことがある。休息を取って、たくさん飲食して、ただちに準備する……ウォームダウンしてから、明日のことを考えたい。

22分遅れでゴールしたポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

(ニーバリのことを質問されて)僕にはわからない。彼に訊くべきだよ。僕は今ゴールに着いたばかりで、何が起きたかさえわからない。僕は、ツール・ド・フランスの今大会の展開に満足しているし、僕のチームにも感謝している。明日と、その後のタイムトライアルで結果は明らかになるだろう。でも、僕はヴィンチェンツォ(ニーバリ)はまだ終わってないと思う。彼にやる気があるかは明日わかることになる。

2分23秒差で総合3位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

1級山岳ペイルスルド峠でアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)1級山岳ペイルスルド峠でアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos本当に過酷なステージだった。登りと暑さの両方ともが過酷だった。アタックしてウィギンズとフルームに仕掛けるチャンスは3回あったけど、あの下りはアタックに向いてなかったので体力を温存することに決めた。スタート時点ではステージ優勝も視野に入れていたけど、逃げ集団が差を埋められないほど有利になってしまった。総合3位と今日の成績には満足しているけど、いつももっと上に行くことを模索している。

イヴァン・バッソは素晴らしいスーパードメスティーク(アシスト)だ。本当に素晴らしい。他のチームメイトも同様に素晴らしい。チームスカイを消耗させたかったけど、僕たちが選んだ方法は考えていた以上に過酷だった。

明日のステージは今日のように過酷になるはずだ。でも、日を追うごとにフルームとウィギンズを倒すのは難しくなる。明日はステージ優勝を狙える最後のチャンスでもある。素晴らしいツールに花を添えたい。

フランク・シュレクを心配するイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)

1級山岳ペイルスルド峠を6番手で通過するイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)1級山岳ペイルスルド峠を6番手で通過するイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto Ayano今日はフランク(シュレク)のことをずっと考えた。真相が明らかになることと、事態についての説明があることを望んでいる。正直なところ、彼は僕の友人だから客観的にはなれない。客観的になるべきなんだろうけど。でも、彼には僕のサポートがある。彼は僕の友人だから。

この10日ほどのあいだ、僕たちはチーム総合をパリまで維持するという目標を持っていた。実現すれば、とても素晴らしい。チームの誰もがパリに入ったときに、シャンゼリゼを背景に表彰台に立てるのだから。とても美しい光景だし、チームとして——選手もメカニックもマッサーも監督もスタッフ全員で達成すべきことだと思う。とても重要な目標だ。ストレスに満ちた休息日とストレスに満ちた朝を過ごした後、僕たちは諦めるか戦い続けるかを自問しなければならなかった。僕は諦めるタイプではない。僕たちは、この長いあいだ、2週間ものあいだ、ずっと頑張ってきた。

個人的には今日のステージは少し苦手だ。1998年にはオービスク峠で2回落車したから、あの下りは嫌いなんだ。でも、今日は無事に(オービスク峠の下りを)乗り切った。それから、ペイルスルドの下りでもタイヤがバーストしたことが一回あって、そのときはひどい落車事故になって肋骨を骨折した。だから、今日は自分の運命を乗り越えて、変えようと思った。

コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。

text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI
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