横風区間と最後の3級山岳で集団が分裂するなど波乱含みだった第13ステージ。残り1kmではマイヨ・ジョーヌがチームメイトを牽引する珍しい光景も見られた。最終的にはグライペルが僅差でサガンを下し、今大会通算3勝目を飾った。

笑顔で表彰台に上がったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)笑顔で表彰台に上がったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Cor Vosステージ優勝のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

ゴールまではとても狭かった。(最後の3級山岳モンサンクレールの)登りで遅れたけど、全力で登って山頂に着いたらすぐにスパートをかけて小集団に合流する必要があった。ラルスイティング・バクのおかげで集団に戻って、そこからチームでヴィノクロフとアルバジーニを追った。そのときルイスレオン・サンチェスがアタックしたので「今日はこれで終わりだ……」と思った。でも、嬉しいことにスカイがその場にいて、僕はしっかり働いて、このステージの勝利を掴めた。僕たちのチームは、この勝利に値すると思う。

これはチームでの素晴らしい勝利だと思う。ユルゲン・ファンデンブロックが牽引していたからヴィノクロフを捉えられた。このチームと一緒にいられて幸せだと思う。

ボアッソンハーゲンの後ろに付くことにしたが、最終コーナーでは常軌を逸したスプリントになった。でも、運のいいことに先頭に留まれた。少し向かい風があったけど、サガンは本当に速い選手だった。だから彼がマイヨ・ヴェールを着ている。しかし、僕たちのチームはこの勝利に値すると思う。それに見合うように、僕たちは本当にハードに働いたのだから。


集団内でモンサンクレールを上るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)集団内でモンサンクレールを上るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) (c)Makoto.AYANOボアッソンハーゲンを牽引した総合1位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)

ああいうケースではたいていの場合、ゴールのときに集団前方だろうと20番目や30番目にいようと労力は変わらない。あんな感じに風の影響があればね。リードアウトはムダな労力ではなかった。エディ(ボアッソンハーゲン)を単に助けるつもりだった。彼は文句なしの紳士だから、なんらかの形で恩返ししたかった。でも、グライペルは自分が最速であることを再び見事に証明した。

ゴール地点でああいう登りがある場合は、たいていは難しくて、ときおり役立つこともある。(集団の)人数を減らせるからだ。終盤の風は、実はあまり難しくはなかった。今日最も難しかったのは、登りに入るときの位置取りだった。あの登りでは選手たちが、まだまだ多かったんだ。でも、こういう困難もまたパリに近づくための一歩だ。

登り終わると、かなり楽になった。僕たちの集団にはあまり選手は多くなかった。だけど、今日は気を抜かずに集中し続ける必要がある日だった。

カヴ(カヴェンディッシュ)の状況を訊くと、ショーン(イェーツ監督)はカヴが集団に復帰していないと答えた。それで僕たちはエドヴァルド(ボアッソンハーゲン)を全力で助けることに注力した。いいステージになった。

明日のコースプロフィールを見ると、手に負えない事態にはならいだろう。でも、また逃げが先行するステージになると思う。僕たちは最後の登りでいろいろと仕切ることになるだろう。でも、その登りからゴールまでは、かなり長い距離がある。


ハンドルを投げてゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ハンドルを投げてゴールするペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Cor Vosポイント賞・ステージ2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

今日勝つには、もう少し早い段階でスプリントを仕掛けるべきだったのかも知れない。負けた原因は単にゴールに突っ込めたかどうかだ。それにロットは本当に強力なチームだ。彼らはグライペルのために最後の20kmで素晴らしい働きをしていた。だからグライペルが勝つのも納得だ。グライペルが僕より強いとは思わないけど、これがスプリント勝負だ——彼が勝つことがあれば、僕が勝つこともある……。


敢闘賞のミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)

(残り64kmで逃げ集団から飛び出して)単独になったときから、僕は全力で走り続けた。持てる力を出し尽くした。身体の隅々から力を絞り出した。だから登りに入ったときは困り果てた。だけど僕は頑張って、なんとか先頭集団についていこうとした……残念ながら数秒ほど足りなかったけど。

先頭でモンサンクレールの登りにかかるミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)先頭でモンサンクレールの登りにかかるミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ) (c)Makoto.AYANOいろいろな感情を胸に秘めて走っていた。実は今日は父が死んで5年目にあたる。父がいたから僕は自転車競技を始めた——僕にきっかけをくれたんだ。そして、僕が今トッププロたちの一員になっていることを家族に知らせたい。僕は今ツール・ド・フランスに出場している。父は誇りに思ってくれるだろう。今日は勝利を手にするため、本当に一生懸命に戦った。

スポーツをやる人ならわかると思うけど、特別な気持ちを持てば——本当に特別な力を発揮したいと望めば、渾身の思いで両脚から本当の力を引き出せる。僕は今日それをやった。単独で走っているときは本当に気持ちよかった。

登り口では身を削りつつ、できるだけ時間を稼いだ。坂に入って、僕は自爆覚悟で戦った。でも、残念ながら力が及ばなかった。


残り1kmで吸収されたルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)

アタックが成功しなかったのは残念だ。でも、それにこだわり続けることはない。今日のことからも学びたい。今日は自分の力に驚いた。まだ行けそうだったから「トライしてみよう。賭けてみよう」と思った。しばらくのあいだは本当に成功しているように思えた。でも、マイヨ・ジョーヌ(ウィギンズ)が追走したときに、ほぼ不可能なことになってしまった。残念だ。次は別の方法で挑戦するつもりだ。

(吸収時にウィギンズに怒りを示したことについて)ウィギンズに謝罪する。彼はこのレースの総合リーダーだ。だから、彼と彼のチームには思い通りに行動する権利がある。


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。


text: Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI