ラスト1kmから高低差28mを駆け上がるツール・ド・フランス第5ステージ。この緩斜面を最速で駆け上がったのは、黄色いヘルメットを被る世界王者でも全身緑色のフォレストガンプでもなく、大柄なアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)だった。

敢闘賞ゼッケンをつけて登場したユキヤ

敢闘賞ゼッケンを付ける新城幸也(日本、ユーロップカー)敢闘賞ゼッケンを付ける新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Makoto Ayanoパリ北部に広がる平野を西から東へ。ルーアンからサン・カンタンまで、カテゴリー山岳が全く含まれないフラットな196kmを駆ける。ピュアスプリンターのためにデザインされたようなこの平坦コースの先に待つのは、勾配3%ほどの緩やかな登りゴールだ。

最高気温が30度に達したこの日、敢闘賞ゼッケンをつける新城幸也(日本、ユーロップカー)を含めた195名がスタート。午後12時46分に正式なスタートフラッグが振られた。

逃げるヤン・ギセリンク(ベルギー、コフィディス)ら4名逃げるヤン・ギセリンク(ベルギー、コフィディス)ら4名 photo:Cor Vosするとすぐにマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)がファーストアタックを決める。これにジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)、パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル)、ヤン・ギセリンク(ベルギー、コフィディス)がジョイン。

タイム差が5分40秒まで広がり、最初の1時間の平均スピードが39.6km/hをマークする比較的ゆったりとしたレース序盤。ツール開幕時から胃腸のトラブルに見舞われ、左膝に故障を抱えていたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が40km地点でバイクを降りた。

109km地点の中間スプリントポイントでは、5位通過をかけた争いが勃発。マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を振り切った世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が11ポイントを獲得し、マイヨヴェールを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)とのポイント差をジワリと詰める。

敢闘賞ゼッケンを付ける新城幸也(日本、ユーロップカー)が走る敢闘賞ゼッケンを付ける新城幸也(日本、ユーロップカー)が走る photo:Makoto Ayano

粘る逃げグループ 追い上げるスプリンターチーム そして連日の落車

ロット・ベリソルやオリカ・グリーンエッジがメイン集団をコントロールロット・ベリソルやオリカ・グリーンエッジがメイン集団をコントロール photo:Cor Vos台本通り、レース後半に入るとスプリンターチームが集団先頭に上がり、逃げグループのリードを削り取る。ラスト25kmでタイム差は1分30秒まで縮まったが、ここから先頭4名がギアをかけて粘りを見せる。

ラスト15kmでタイム差は1分。オリカ・グリーンエッジ、ロット・ベリソル、ガーミン・シャープ、チームスカイ、ランプレ・ISDが束になってペースを上げるも、ラスト5kmでまだ30秒。ラスト3kmを切ってから集団前方で大落車が発生したことも影響し、逃げ切りの可能性を残したまま4人は突き進んだ。

ゴールスプリントで連勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ゴールスプリントで連勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:A.S.O.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)とトム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)の接触を切っ掛けに発生した集団落車により、マイヨヴェールのサガンやジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク・ティンコフバンク)が勝機を逃している。

短い牽制の末にギセリンクが逃げグループから飛び出し、独走のままフラムルージュ(ラスト1km)を通過。ロット・ベリソルが率いるメイン集団が後方に迫る中、出遅れた逃げメンバーも諦めずにゴールを目指す。

ルーランズと勝利を喜ぶアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ルーランズと勝利を喜ぶアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Cor Vosしかし、4時間以上を風に打たれて走った逃げメンバーは、3%ほどの勾配で徐々に失速した。我武者らにリードアウトするグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)やユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)らによって、ラスト200mで遂に逃げは吸収。その刹那、ゴスがスプリントを開始した。

位置取りに失敗したカヴェンディッシュが自脚でポジションを上げるその前で、ゴスが勝利に向かってスプリント。しかしタイミングを見てスプリントを始めたグライペルがその上を行く。筋肉隆々の上半身から繰り出されるパワフルなスプリントで、グライペルがゴスを抜く。力強いガッツポーズが2日連続で繰り出された。

ステージ2連勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)ステージ2連勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Cor Vos今大会サガンに並ぶステージ2勝目、ならびに世界最多の(こちらもサガンと並ぶ)シーズン15勝目を飾ったグライペルは「キャリアの中で最も厳しいスプリントの一つだった」とコメント。そして、この日もチームメイトの働きを讃える。「ファラーの落車で番手を下げた僕を、ヘンダーソンが引き上げてくれた。そこからロット・ベリソルトレインはパーフェクトだったよ。勝因は力を最後の最後まで温存したこと。良いスプリントだった」。

サガンは落車によってポイント獲得のチャンスを失ったが、それでも155ポイントでポイント賞ランキングトップを維持。ゴスが137ポイント、グライペルが132ポイント、そしてカヴェンディッシュが119ポイントで続いている。

ユキヤはヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)をゴール前で集団前方まで引き上げ、ステージ58位でフィニッシュ。サポートを受けたジェーヌはステージ10位に入っている。この先のステージでも、ユキヤとジェーヌのタッグがユーロップカーのスプリントを担う。

総合順位に変動は無し。総合首位を守ったカンチェラーラは、翌日のステージでマイヨジョーヌ着用日数を「27日」まで伸ばす。これは「総合優勝経験が無い選手のマイヨジョーヌ着用日数」の新記録だ。

選手コメントはレース公式サイトより。

ツール・ド・フランス2012第5ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)          4h41'28"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)
4位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)
5位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)
6位 トム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)
7位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
8位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)
58位 新城幸也(日本、ユーロップカー)

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) 20h04'02″
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)           +07"
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)   +10"
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)     +11"
6位 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)              +13"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)      +17"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)  +18"
9位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
10位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)    +19"
54位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +2'03"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞 マイヨ・ブラン・アポワ・ルージュ
ミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク)

新人賞 マイヨ・ブラン
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
チームスカイ

敢闘賞
マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano, A.S.O.
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