リエージュを舞台とするクラシックさながらのコースとなった第1ステージ。「ツールの勝利は特別。興奮して自分を見失わないようにしないといけない」。ゴール勝負を制したペーター・サガンは落ち着いた口調で喜びを噛み締めた。

圧倒的なスプリントを見せたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が先頭へ抜け出る圧倒的なスプリントを見せたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が先頭へ抜け出る photo:Makoto.Ayanoステージ優勝したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

チャンスが来たというのはわかった。でも、ツール・ド・フランスで、絶好のコンディションのトップライダーたちと戦う必要があるんだ。

(レースが)スタートしたときはあまり調子がよくなかった。走っているうちに調子が上がってきて、勝利を狙うチャンスがあるかもしれないと思った。

ガッツポーズを繰り出すペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ガッツポーズを繰り出すペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Makoto.Ayanoチーム全体にも感謝したい。ゴール間際まで、ぼくを集団前方で走らせてくれた。あの状況だと、簡単な仕事じゃなかったと思う。

最後の登りをひとりで登ることになったので、カンチェラーラをマークすることに決めたんだ。監督のザナッタとシレアが今朝のミーティングでのアドバイスしてくれたのは、カンチェラーラがアタックする可能性があるときは彼に付いていくようにということだった。

ステージ優勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ステージ優勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Makoto.Ayanoとても満足している。昨日のプロローグでかなりガッカリしたからね。もっと上位を期待していたんだよ。今日の勝利は困難なものだったけど、ツールが他のレースと比べて、どれだけ特別なものかが理解できた。

多くの観客が沿道に立って選手を応援している。世界中からジャーナリストがやって来て選手の動向を見ている。ハイテンポで進行するレースで集中力を失わってもいけない…。

簡単にいうと、すべてが違っているんだ。興奮しすぎて自分を見失わないようにしないとね。

いつかツールに出てレースをしたいとずっと思っていた。パリに着くまでレースを続けたいと思う。マイヨヴェール? 夢だよ。実現すると思う?



スペシャルバイクを持ち上げるファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)スペシャルバイクを持ち上げるファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Kei Tsujiステージ2位・総合1位・ポイント賞のファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)

今日は、昨日より自信を深めることができた。今日のようなゴールは終盤が混戦模様で登坂があって、ポーカーのような駆け引きの要素もあって、ぼくに有利じゃなかったかもしれない。でも、この順位だ。幸先はいい。

集団前方を走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)集団前方を走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto.Ayanoチームは一日を通していい仕事をしていた。彼らが最後までいい仕事をしたので、ぼくが仕上げに「攻撃は最大の防御」と頑張ったんだ。ゴールがああいう風になるなんてわからなかったけど、今日のステージはうまく終えられたと思う。明日はスプリンター向けの日になるだろうね。

マイヨジョーヌをキープしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)マイヨジョーヌをキープしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto.Ayanoアタックしたときにもう少しアシストがあったら結果は変わったかもしれない。ミラノ〜サンレモで同じ状況になったときは、アタックするつもりがなくて牽制に入ったので、結局は後ろに付くかたちになってしまった。ぼくのスタイルじゃないんだよね。

ぼくは行くときは行くんだ。ハンマーを振り上げたら、最後まで振り下ろすんだ。そういう流儀なんだよ。今日はポーカーのような駆け引きには負けたけど、勝てる日もあるだろう。

今日のゴールを見たのがほんの24時間前の選手なんて、ぼくくらいじゃないかと思う。プロローグとその後の全部の仕事が終わってからだったからね。記者会見もあったし、ドーピングコントロールもあった。

僕たちはスポーツディレクターと、この(今日のステージの)ゴールを見に来た。石畳区間が数メートルあったのでうれしくなったけど、不安にもなったよ。新聞では、強い選手がたくさんいると書かれていたからね。

チームは今日一日ずっと牽き続けた。彼らの仕事ぶりはすごいよ。最後は、ぼくとペーター、ボアッソンハーゲンが残った。集団を待つつもりはなかった。

かなり自信がついたよ。昨日より満足しているとは言わないけど、今日の達成感は、これからのステージに向けて大切なものになる。

これまでにも今日のようなステージで負けてきた。でも、次はうまく行くと思う—ジョーカーを出すのが早過ぎたり、エースを捨てたりはしないよ。ミラノ〜サンレモと同じような負け方だったけど、あれとは違うよ。これからの8年間、今回と同じような状況でペーターと勝負しようと思う選手はいないだろうね。


山岳賞を獲得したミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)

山岳ジャージを受け取るミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ)山岳ジャージを受け取るミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソバンク・ティンコフ) photo:Makoto.Ayano世界最大のレースで表彰台に立てたのは大きな経験になったし、そうできたことを心から誇りに思う。山岳賞を取るにはレースの序盤からアタックする必要があるのはわかっていたし、運と忍耐も必要だ。レースの最中はポイントを取るスプリントはコントロールできると感じていた。

2番めの山岳ではミスしたけど、その後の2つの登りでは運に任せるまでもなかった。明日は平坦ステージだから、チームとしてJJ(アエド)のスプリントをサポートすることになると思う。明後日は、このジャージを守るために全力を尽くすよ。


新人賞のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

新人賞をキープしたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)新人賞をキープしたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Makoto.Ayano実は、最後の登りの手前で混雑に巻き込まれてしまったんだ。だから、とりあえず前に出ることにして、カデル(エヴァンス)をアシストしようとしたんだ。前方に彼を見つけたときに「しまった。カデルのためにあそこで位置取りすべきだった」と思ったんだ。僕がいたのはかなりの後ろのほうだったんだ。

ツールの賞ジャージを着るのは、とてもうれしい。心から堪能しているよ。このジャージを着て走るのはすごいことだし、楽しい経験だった。ボアッソンハーゲンが少し怖いね。最後には彼も狙ってくるだろうし。でも、明日もこの白いジャージで集団に走れることは満足だよ。


息子を乗せて登場したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)息子を乗せて登場したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiステージ4位・優勝候補者だったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)

残り23キロで、誰かがホイールに接触して落車しそうになった。なんとかこらえたけど、位置取りが悪くなってしまった。それで、残りの2キロでは集団をかき分けて復帰して、最後の下りでは危険を冒すことになった。集団スプリントでは勝てたけど、優勝できなかったのは少し残念だ。


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。


text: Taiko.YAMASAKI,Seiya.YAMASAKI
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji