創立100年以上を数えるイタリアきっての老舗ブランド ウィリエールが送り出したブランニューマシンがこのZero7(ゼロセッテ)だ。フレーム単体でわずか750gという超軽量を達成したスペシャルマシンをクローズアップしていこう。

ウィリエール Zero 7ゼロセッテウィリエール Zero 7ゼロセッテ (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

現在北イタリアのロッサーノ・ベネトに社屋を構えるウィリエール・トリエスティーナ社のルーツは、1906年、日本の表記にすると明治39年にまで遡る。2つの世界大戦を乗り越えた後、イタリアの復興再建とともに大きく成長したウィリエールだが、モーターバイクの躍進によるイタリア国内の自転車需要低下に伴い工場の閉鎖を余儀なくされる。

しかし地元に根付いていた同社は、17年のブランクを経て1969年に復活を遂げ現在に至るまで成長を重ねてきた。イタリアの自転車界の歴史と言っても過言ではないウィリエールだが、決してその魅力はノスタルジーのみに留まらない。長い歴史の中、常にトップチームへ機材を供給し、そのデータをもって時代の最先端マシンを造り上げることに定評がある。

複雑なラインによって成形されるヘッドチューブ周り複雑なラインによって成形されるヘッドチューブ周り 上1-1/8、下1-1/4サイズのテーパードヘッドチューブを採用する上1-1/8、下1-1/4サイズのテーパードヘッドチューブを採用する 重量360gのオリジナルフロントフォーク重量360gのオリジナルフロントフォーク


近年ではランプレに供給し、ダミアーノ・クネゴやアレッサンドロ・ペタッキの活躍も目新しいところだ。そんななか2012年後期モデルとして華々しくデビューを飾ったのが、今回取り上げる「ゼロセッテ」である。フレームの強度と安定性を損なわずに、歴代モデルのどれよりも軽いフレームを目指して作り上げられたゼロセッテには、ウィリエールのもつ最新テクノロジーが結集される。「ゼロセッテ」は700gを目指して開発されたことから名付けられている。

ゼロセッテに採用されるカーボン素材は高弾性の60トンカーボンだ。剛性と軽量性を高めるための選択は、しかしそのままでは単に硬く、乗りこなすためには脚力とスキルが必要とされる。そして何よりも長距離を走行した際に疲労が蓄積しやすく、脚の「売り切れ」状態になるタイミングが早められてしまう。

ヘッドチューブ上面には搭載されるテクノロジーが誇らしげに表記されるヘッドチューブ上面には搭載されるテクノロジーが誇らしげに表記される マットとグロスを使い分けた落ち着きのあるカラーリングマットとグロスを使い分けた落ち着きのあるカラーリング


FSAのカスタムパーツを使用し、統一感を演出FSAのカスタムパーツを使用し、統一感を演出 トップチューブからシートステーへ流れるように続くアッパーライントップチューブからシートステーへ流れるように続くアッパーライン


そこでウィリエールが用いるのが、"S.E.I. フィルム"と呼ばれる特殊な素材。航空産業界で採用実績のあるS.E.I. (Special Elastic Integrated/特殊弾性内蔵) フィルムは、カーボンと同じく炭素繊維を主原材料とし、耐衝撃性とショック吸収機能をもたせた素材のこと。これをカーボン繊維を積層する際間に挟みこむことによって、60トンカーボンの高い剛性を生かしながら、フレーム自体の衝撃吸収性を増した。

具体的にはS.E.I.フィルムを使用しない場合に対して耐衝撃性を35%、カーボン繊維の耐剥離率を18%、耐クラック性を12%それぞれ増加させることに成功。そして繊維方向を最適化することで、衝撃吸収システムが縦方向のみに働き、横方向のしなり、すなわちロスが発生しないよう工夫が凝らされているのだ。

チェーンステーは角型断面の迫力ある構造チェーンステーは角型断面の迫力ある構造 ウィリエールが提唱するBB386EVO規格を採用するBBシェルウィリエールが提唱するBB386EVO規格を採用するBBシェル


BB30に始まり、各ブランドがオリジナルのボトムブラケット規格を乱立させる中、ウィリエールが提唱するのがBB386EVOだ。BB30の68mmBBシェルでは求める横剛性が生み出せないと判断した開発チームは、クランク制作を担当するFSA社と共同開発し、その部分を86.5mmにまで増大。プレスフィットBB30と組み合わせることで、汎用性を確保しながらより強大な剛性を手に入れることに成功した。

ヘッドチューブは上1-1/8、下1-1/4サイズのテーパードヘッドチューブ。ベアリング径の差異はわずかであるものの、フレーム自体の剛性が高いために径を縮小でき軽量化へと繋げている。その他多くの技術がつぎ込まれた結果ゼロセッテのフレーム単体重量は、Mサイズ・塗装済みで750gをマークするに至った。

シートステーは丸から四角断面へ途中で変化しているシートステーは丸から四角断面へ途中で変化している ブレーキアーチ周辺の造作ブレーキアーチ周辺の造作 フロントディレーラーは直付け式だフロントディレーラーは直付け式だ


高い剛性と衝撃吸収性、そして耐クラック性能までをも軽量化と同時にこだわったゼロセッテ。この軽量イタリアンマシンをテストライダー両氏はどのように評価したのか興味は尽きない。早速インプレッションをお届けしよう。





―インプレッション

「軽さを活かすヒルクライムにうってつけな性能が味わえる」鈴木祐一(Rise Ride)

第一印象ですが、持って軽く、乗ってもその軽さが際立つバイクですね。軽さを活かす力強さや、剛性の高さを感じました。前、そして上方向へと良く進んでくれて、ヒルクライムを意識した設計が施されているということが、ごく自然にイメージできるマシンです。

重量のメリット活かすためにはロスがあってはなりません。そのためこのフレームもヒルクライムの巡航に必要なパワーに対しては全く負けないポジティブな力強さが味付けされていると感じました。

ヒルクライムと一概に言いますが、このゼロセッテは長い距離をメインフィールドとするマシンと言って良いかもしれません。特別にダンシングでの車体の振りが軽いわけではありませんが、上りでの安定感がありますね。20km/h以下の低速域で自転車がしっかりと安定し、これは長い距離のヒルクライムでより生きてくると思います。

「軽さを活かす、ヒルクライムにうってつけな性能が味わえる」鈴木祐一(Rise Ride)「軽さを活かす、ヒルクライムにうってつけな性能が味わえる」鈴木祐一(Rise Ride)

低~中速域に照準を合わせているせいか、高速で荒れた路面に突っ込んだ際には多少の突き上げがあります。ただ不思議な事に低速走行中に拾う衝撃に関しては、そのショックをマイルドにしてくれる性格があるようです。30km/hほどの中速域でも安定感は強いですね。

衝撃吸収性を高めていくと何らかロスになってしまう部分がありますが、低~中速ではそのロスが無く、しっかりと推進力となってくれる印象を受けました。高速域では走ってくれないという意味ではなく、その下のスピード域でより活かされるフレームと感じます。

ペダリングした時のパワーの伝わり方も、平地やヒルクライムにおいて一定で踏み込んでいった時にグッと伸びる、巡航を意識したものになっていますね。大きな入力に対しての"かかり"の良さは目立ちませんが、それを求めるのならばチェントウノシリーズという純レーシングマシンがあります。それぞれ性格がはっきりとしていて、ユーザー側としてもチョイスがしやすいですし、そうした個々に分けた設計ができるウィリエールの開発能力の高さもとても評価できるポイントです。

上りが好きな方でしたら、この軽さはきっと気に入るだろうと思いますし、それを殺さずにしっかりと活かす性能を持ち合わせているスペシャルなマシンだと思います。完成車としてみた際、様々なパーツに専用デザインが施されていることも完成度を上げている一つの要因となっていますね。落ち着いたまとまりのある、上質なバイクです。


「硬さの中にしなりがある、奥深い上質な乗り味を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

ウィリエールらしさのある落ち着いたヨーロピアンスタイルのバイクですね。人と違うものを求める方にとってはすごく好印象に映ると思います。インプレッションとしては、重量面のメリットを上りで活かすことのできる乗り味が備え付けられていますね。

ウィリエールは伝統的にバネ感のあるバイクを作ってくるブランドです。決して踏み込んだ時に決して鋭い反応やクイックなレスポンスがあるわけでは無いのですが、猫足的と言いますか、どのスピード域でもしなりを推進力へと上手に変換します。このゼロセッテは軽量バイクと聞いて、その"味"が消えてしまったかと思いましたが、実際はそんなことはありませんでした。しっかりとした剛性感がありながらも、その中で上手くしならせている感じを受けます。

重量が軽いということは、絶対的に上りで有利になれるキーワードです。その反面剛性が不足してしまうバイクもある中、ゼロセッテはしっかりとしたフレームワークをしています。高速で不快な振動が発生することも無く、ハイスピードの下りでも安定しています。荒れた路面でバイクが暴れることもありませんでした。

「硬さの中にしなりがある、奥深い上質な乗り味を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)「硬さの中にしなりがある、奥深い上質な乗り味を持っている」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

ハンドリングに関しては若干クイックめで、若干フォークアングルが立っているような雰囲気を感じます。バイク自体に硬めながらしなりがあって落ち着いている性格ですので、その辺りで軽快さを出しているのではないでしょうか。パワー系のライダーがガッチリ踏んだ際には、若干物足りなく感じてしまうことろが性格上あるのかもしれません。しかし奥深い上質な乗り味を持っていますので、一般ライダーであれば性能に不満が出ることは無いはずです。振動吸収性も優秀ですよ。

上りではかなりよく進んでくれるバイクですね。どんな漕ぎ方をしてもバイクの許容範囲が広いためにしっかり登ってくれますが、高回転でクランクを回していくよりかは、ある程度の負荷を一定でかけていった時により性能を生かせるかと思いました。

マシンのシルエットそのものはオーソドックスですが、つやありとつやなし2種類のブラックを使い分けていたり、パーツにしてもオリジナルペイントが施されていたりと、完成車としてみた時に雰囲気があって格好良いと思います。所有欲も満たしてくれそうですね。

何台かロードバイクを乗り継いできた方、本当に上質なロードバイクを求める方には、ルックスと乗り味ともにマッチするバイクだと思いますよ。いろいろな要素を濃密に感じられる素敵な一台です。

ウィリエール Zero 7ゼロセッテウィリエール Zero 7ゼロセッテ (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ウィリエール ゼロセッテ完成車
フレーム:カーボンモノコック
カラー:マットブラック
フォーク:カスタムウィリエールモノコック
フォーク重量:360g
BB:BB386EVO
サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
コンポーネント:カンパニョーロ・スーパーレコード
ホイール:カンパニョーロ・ボーラゼロセッテカスタム
パーツ:FSA
価 格:1,176,000円



インプレライダーのプロフィール


戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート


鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


ウェア協力:PISSEI

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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