ロンド・ファン・フラーンデレンの優勝候補に挙げられながら、補給ポイントで落車し、鎖骨骨折によってリタイアしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)が、4月2日、地元スイスで記者会見を開いた。手術を受けたカンチェラーラは、5月のレース復帰を目指す。目標はロンドンオリンピックだ。

4つに折れたファビアン・カンチェラーラ(スイス)の右鎖骨4つに折れたファビアン・カンチェラーラ(スイス)の右鎖骨 photo:RadioShack Nissan Trek落車後、右鎖骨骨折を負ったカンチェラーラはロンド・ファン・フラーンデレンのゴール地点オウデナールデの病院に搬送。その後、スイス・バーゼルのクロスクリニックに移ったカンチェラーラは、4月1日に鎖骨の手術を受けた。

当初は鎖骨が3分割されていると伝えられていたが、手術により、4分割されていることが判明。早期のリカバリーを図るため、特殊なピンによる接合法が用いられた。

ピンによって接合されたファビアン・カンチェラーラ(スイス)の右鎖骨ピンによって接合されたファビアン・カンチェラーラ(スイス)の右鎖骨 photo:RadioShack Nissan Trekレディオシャック・ニッサンのチームドクターを務めるアンドレアス・グーゼル医師は「鎖骨の接合にあたり、鎖骨ピンが用いられた。プレートや多数のネジを使用する方法とは異なり、より自然の状態に近く、機具除去後の骨の強度に影響しない方法である。骨折部分が完全に癒えた後、早く見積もって今から6週間後に、簡単な手術を行なってピンを除去する」と話している。

“医学的な見地”からすると、カンチェラーラはすでに室内ローラー台でのトレーニングが可能な状態にある。しかし肉体的な痛みが残っているため、トレーニングの再開は少し先になると見られる。「手術の成功を嬉しく思う。だけどまだ身体に痛みが残っている。あと数日、もしくはあと1週間ほど休んで、トレーニングを再開したい」と、カンチェラーラ。

ロンドでの落車をカンチェラーラはこう振り返る。「落車はロードレースの一部。人生の一部であるとも言える。目標に掲げるレースに最高のコンディションで挑むため、この約4ヶ月はトレーニングに打ち込んできた。落車さえなければ良い走りが出来ていたに違いない。でも被害が鎖骨骨折だけで済んだことは喜ぶべきこと。僕は必ず戻ってくる」。

ロンドとパリ〜ルーベを目標に掲げていたカンチェラーラにとって、この時期の戦線離脱はシーズン前半の目標を棒に振ることを意味する。カンチェラーラはすでに先の目標に目を移している。「今シーズンは、2つの大きな目標を立てていた。クラシックレースとオリンピックだ。春のクラシックキャンペーンは残念ながらこれで終わり。でもロンドンに向けた調整に変更は無い。予定としては、早くて5月のレースに復帰する。可能性としては(5月23〜27日の)バイエルン一周レースだ」。

カンチェラーラを欠くレディオシャック・ニッサンは、昨年パリ〜ルーベで4位に入ったグレゴリー・ラスト(スイス)を中心に日曜日の「北の地獄」を闘う。記者会見でカンチェラーラは「ベルギーで闘っているメンバーと積極的にメッセージを交換している。彼らには、めげずに前を向いて、石畳の闘いに備えるように伝えたよ」と語った。

会見内容はレディオシャック・ニッサンのプレスリリースより。

text:Kei Tsuji