EMX-5は、2008年のラスベガス・インターバイクショーでベールを脱いだ、新世代のエディ・メルクス、レーシングフレームのフラッグシップモデルだ。

エディ・メルクス EMX-5エディ・メルクス EMX-5 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
エディ・メルクスは09モデルからこれまでのデザインを捨て、ロゴやデカールデザインから刷新された。造形美にあふれたフレーム形状が斬新なグラフィックデザインとともに新しいメルクスの魅力を放つ。

新ヘッドマークは星にXがあしらわれたようなシャープなもの新ヘッドマークは星にXがあしらわれたようなシャープなもの
ダウンチューブは台形状デザインだダウンチューブは台形状デザインだ
モノコックフレーム&フォークのEMX-5のマッシブな造形は、走行中のフレームにかかる応力をコンピューター解析によって計算された故のものだ。

素材には剛性アップと軽量化に最適なバランスを持つ、引っ張り強度46トンのHM3Kカーボンを使用。
フレーム単体重量はサイズによって1000~1100gに収まるという。超軽量というわけでなく、ある程度無難な重量にまとめているのは「理想的な剛性と乗車クオリティーを持ったプロフェッショナルレーシングフレーム」というコンセプトゆえのことだろう。
フォークはフィンのあるエアロ形状だフォークはフィンのあるエアロ形状だ
「イタリアンなデザインになった」と言われるが、生産国のベルギーらしく、重量はいたずらに軽量を求めず、バランスや安全性、走ったときの軽さを求めているのは従来どおりのこだわりだろう。
シャープなエッジが立つデザインのシートステーシャープなエッジが立つデザインのシートステー
EMXはセカンドグレードとして同形状のEMX-3も同時リリース。形は全く同じで、カーボン素材のグレードを変えて2モデル展開となっている。

「剛性感が強く、パワーロスがゼロに近い」(鈴木佑一)「剛性感が強く、パワーロスがゼロに近い」(鈴木佑一)

インプレッション



剛性感の塊 パワー系ライダーにおすすめのレーシングバイク


鈴木佑一(RiseRide)

剛性感がかなり強く、まったくパワーロスがゼロという印象を受けました。とにかく凄い剛性で、個性的なバイクだ。走るほどにカンカンという硬い感じが響く。

また、これは以前からのエディ・メルクスの特徴だとは思うのですが、ハンドリングの特性に関して、直進性が高く”もたつく”ようなイメージがある。それは聞こえの悪いようなイメージを与えるかもしれないが、まっすぐ走るということに関していえば、多少の衝撃を受けてもブレない安定感・安心感が強いと言えます。

イメージするならば、そう、実際に僕もベルギーで走っていたことがあるのですが、悪い路面に対してでも、まっすぐ走ることがかなり得意な特性をもっているのだと思う。それに影響して、例えばコーナリングが”もたつく”印象や”遅れる”印象を持ちました。

そして、バイク自体の重心の位置がかなり低いので、軽快にシャキシャキ進むというよりは、ノッシノッシ&どっしりと進むという印象があります。

加速感に関しては、パワーロスが限りなくゼロに近く、パワーが強い、もしくは体重が重いライダーであれば、加速に関しては問題ないと思う。ですが、ケイデンスをあげて加速していきたいと思うと、若干鈍いような感じもする。それは多分剛性の高さゆえのことだろう。

例えば、パワーメーターで計測して400Wくらいの脚力を持っている人であれば、グワッと加速するようないい感じを受けるだろう。だが出力300W程度の人だと、ちょっと跳ね返されるような印象を感じるかもしれない。

振動吸収性に関しては、乗った感じの印象からは、カーボンフレームにしては振動をカットしてくれるような働きをあまり感じなかった。

ただ、自分は体重が軽く、パワー系ではないので、もっと大柄な人やパワーが出せる人であれば意見は好印象にかわってくるのではないかと推測します。まとめると、この新メルクスはパワーや力強さをライダーに求めるバイクでありながら、直進安定性が高いため、とても安心して乗れるバイクと言えるでしょう。


「どんなシチュエーションでも対応するバランスの高さ」(浅見和洋)「どんなシチュエーションでも対応するバランスの高さ」(浅見和洋)

すべてにおいて高バランスなベルギー産バイク


浅見和洋(なるしまフレンド)

一言で言うならば”どんなシチュエーションでも対応するバランス重視のバイク”だ。

僕は鈴木さんとはまったく違うイメージを持ったのですが、おそらくそのあたりは乗り手のスタイルやタイプの違いだと思うので、僕のイメージでお話しましょう。

まずは剛性感に関して。印象はがっちりとしているが、決して高すぎるレベルではなく、ロードレースをするうえで、またいろいろな使用状況を考えると、レースバイクとしてはちょうど良いレベルだと感じました。

またハンドリングもバランスがよく、不満はありません。コーナーリングも、フロント周りがとてもしっかり作られているので、安定していてふらつくことなく、身体と一体となってコーナーを攻めることができる。

加速感は高いレベルとはいえないが、ゼロ発進がほとんど無いロードレースでは、十分なレベルだと思う。ロードレースに出て、スプリントで勝つことを目的としなければまったく問題ないレベルだと思います。

振動吸収性に関しては、突き上げはかなり強めに感じましたが、そこまでひどいわけではないので、身体で十分カバーできるレベルに収まっています。

また、気になった部分なのですが、自分が従来イメージするメルクスの”硬派”なイメージからかけ離れてしまったかと思います。
デザインも一新され、僕のような「メルクス=硬派」という、崇高な憧れのイメージを持つ人は、今回のデザインチェンジに若干の戸惑いを感じるかと思う。しかし流行に乗ったともいえるので、新しいユーザーにとっては好みの問題になるのだろう。

最後に全体の感想としては、EMX-5は「特に突出した部分を持たないバイク」だと感じた。
その分、癖も少ないので、初心者の方でも予算と使用目的が合えば、十分楽しめるバイクだと思います。

エディ・メルクス EMX-5エディ・メルクス EMX-5

エディ・メルクス EMX-5


フレームセット価格 \420,000(税込、ヘッドパーツ・カーボンピラー付)
サイズ 440, 500, 520, 540, 550mm (C-C)
カラー ホワイト、レッド、ブラック
重量 フレーム:1,170g


鈴木祐一(Rise Ride)鈴木祐一(Rise Ride)

インプレライダーのプロフィール


鈴木祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。
2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


浅見和洋(なるしまフレンド)浅見和洋(なるしまフレンド) 浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド



ウェア協力:ゴールドウィン


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