暑いイタリアで熱い闘いが繰り広げられているジロ・デ・イタリア。4つの山岳ポイントを越える第15ステージは、またもプロコンチネンタルチームの逃げ切りが決まった!最高気温36度のファエンツァに単独でやってきたのは31歳のレオナルド・ベルタニョッリ(イタリア、ディキジョヴァンニ)だ。

真夏のフォルリをスタート

あまりの暑さに犬も影に避難。よく見るとIDカードをぶら下げているあまりの暑さに犬も影に避難。よく見るとIDカードをぶら下げている photo:Kei Tsuji今日のスタート地点フォルリは、昨日のゴール地点ボローニャから東に約60km。広大なポー平原南端をアドリア海に向かって進み、2006年までF1サンマリノGPが開催されていたイモラを通り過ぎるとフォルリに着く。

F1と言えば同日開催されていたモナコGPの結果にイタリアのジャーナリストは釘付け。フェラーリ(ナショナルチーム的な存在!)の3位&4位という結果に、ため息がこぼれていた。

店のショーウィンドウにバイクが突っ込んでる!店のショーウィンドウにバイクが突っ込んでる! photo:Kei Tsujiフォルリがジロのスタートを迎えるのは2年連続。昨年はド平坦なステージで、カヴェンディッシュを破ったダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)が優勝している。

今日でジロも16日目。第15ステージを迎えたのは今日も雲一つない晴天だ。街中の温度計は午前10時の時点で気温32度を指す。まさに真夏の陽気。選手たちも暑さを嫌って、なかなかチームバスから出てこない。スタート地点のヴィラッジョで配られていた水も底をついていたので、思わず観光地価格の店でペットボトルを買ってしまった。


アペニン山脈でバッソが攻撃に出る

ベンチに腰掛けて選手たちを待つベンチに腰掛けて選手たちを待つ photo:Kei Tsuji第15ステージはイタリア半島の背骨、アペニン山脈に分け入っていく。アペニンはアルプスやドロミテのような荒々しさはなく、大部分は標高1500m未満。見た目には、どちらかといえば“日本的な”比較的なだらかな山々が多い。

「翌日に重要な山岳ステージが控えているので総合上位陣は動かないだろう」「序盤に飛び出した16名のグループがステージ優勝争いを繰り広げるだろう」という周囲の予想をよそに、3つ目の3級山岳、カザーレ峠でレースは動いた。前日にディルーカに「そういえば彼らはどこにいたんだ?」と言われていたリクイガスが攻撃に打って出たのだ。

集団前方でエレモ峠を進むイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)集団前方でエレモ峠を進むイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Kei Tsujiここまでの山岳で存在感の薄かったイヴァン・バッソ(イタリア)がカザーレ峠でアタック。総合で3分以上遅れ、起死回生の一撃をメンショフに与えたいバッソは、マリアヴェルデのステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)とともに1分のリードを築き上げた。

続く2級山岳モンテ・トレッビオでマリアチクラミーノのダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)が攻撃を仕掛けたが、これにはマリアローザがしっかりと反応。やがてバッソの攻撃もマリアローザグループに吸収された。


翌日は最難関山岳ステージ!

シャンパンを開けるマリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)シャンパンを開けるマリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) photo:Kei Tsuji慌ただしい展開を見せた総合争いだったが、結局成績は動かなかった。これまでディルーカやサストレに警戒感を抱いていたメンショフは「バッソも警戒しないといけないことが今日ハッキリとした」と記者会見でコメント。ちなみにメンショフの記者会見は、記者のイタリア語の質問に通訳無しでスペイン語で答える少し変わった形態だ。

明日は今大会4つ目の頂上ゴールが設定された237kmの難関山岳ステージ。平均勾配が8%に達する1級山岳のモンテ・ネローネとモンテ・カトリアを越え、最後は総合狙いの選手が口々に「勝負ポイントになる」と語るモンテ・ペトラーノを駆け上がる。

連続する山岳では、マリアローザのメンショフ目がけてライバルが集中砲火を繰り出すだろう。ジロ100周年大会のマリアローザ争いはこのペトラーノで大勢が決まると見られる。