2012モデルでは大幅な変更が行われたマドンシリーズ。今回はシマノ105を装備した、プレミアムエントリーモデルとも言うべきマドン4.5のインプレッションをお届けする。

トレック MADONE 4.5トレック MADONE 4.5 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

マドンシリーズの中では、シュレク兄弟や、ファビアン・カンチェラーらといったレディオシャック・ニッサン・トレックのライダーが乗るトップモデルのマドン6.9SSLに注目が集まりがちだ。しかし、これまで上級グレードだけに採用されていたOCLVカーボンを全グレードに採用したことによるエントリーグレードの性能の底上げも見逃せないポイントだろう。その中でもマドンシリーズにおいて初級者から中級者までをターゲットとしたのがマドン4シリーズだ。

ここで、マドンシリーズのラインナップをおさらいしておこう。2012モデルにおいてのラインナップは大きく分けて6シリーズから3シリーズまでの4種類を展開している。いずれもレースパフォーマンスというカテゴリーに収まる。

新型のボントラガーRLフォークを採用する新型のボントラガーRLフォークを採用する ヘッドチューブを3cm延長したH2 fitジオメトリーを採用。長めに設定されたコラム長からも、このバイクの懐の広さが感じられるヘッドチューブを3cm延長したH2 fitジオメトリーを採用。長めに設定されたコラム長からも、このバイクの懐の広さが感じられる ロングライドにも対応した振動吸収性を生み出すバックステーロングライドにも対応した振動吸収性を生み出すバックステー


6シリーズはトップカテゴリーのプロスペックで、5シリーズは6シリーズに準じたハイスペックバイクだ。

もっともリーズナブルなOCLV採用モデルとしてはマドン3シリーズを展開しているが、マドン4シリーズはトップモデルからフィードバックしたテクノロジーをより多く採用したプレミアムエントリーモデルとしての位置づけがなされている。これまでもベストセラーモデルとして人気を博しているが、2012年モデルはフルモデルチェンジを果たしている。

マドン4.5のマテリアルは、トレックが長きにわたり培ってきたOCLV(Optimum Compaction, Low Void/オプティマム・コンパクション、ロー・ボイド=カーボン繊維シートを積層して作られるフレームで強度低下の要因となるシート間の空隙を超高密度圧縮により排除する)技術を採用。400シリーズOCLVは、ランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇をはじめとした数々の栄光を演出してきた技術だ。

かつてはハイエンドのみに採用されていたOCLVがエントリーモデルにも使用されたことは、マドンシリーズ全体でスペックの底上げが図られているということを意味する。

テーパードヘッドを採用するが、中間部分はシェイプされ空気抵抗を低減するテーパードヘッドを採用するが、中間部分はシェイプされ空気抵抗を低減する ヘッドチューブ下ワンを1-1/2としたテーパードヘッド、E2ヘッドチューブを採用するヘッドチューブ下ワンを1-1/2としたテーパードヘッド、E2ヘッドチューブを採用する


スムースに成型されるフレームからは、このバイクが20万円台前半であることは感じられない高級感があるスムースに成型されるフレームからは、このバイクが20万円台前半であることは感じられない高級感がある 高出力のペダリングにも対応するBB90採用のハンガー部高出力のペダリングにも対応するBB90採用のハンガー部


マドン4シリーズはOCLVの採用により、これまでトレックが生産したエントリーモデルのなかで最軽量のフレーム重量約1100gを実現した。フロントフォークも新型のボントレガーRLフォークをアッセンブル。さらに後述する技術の恩恵も受けることで前年比120パーセントの剛性を獲得し、重量は150gの軽量化に成功している。

多くの技術が上位モデルからフィードバックされたマドン4.5。これまでスタンダード規格を採用していたボトムブラケットを幅広のBB90規格とすることで、ハンガー部に接続される各チューブの横幅を拡大し、剛性の向上に貢献している。

ヘッドチューブ下ワンを1-1/2”に大径化し、フロント周りの剛性も向上させるE2ヘッドチューブと相まってこれによりコーナリングでの安定性、負荷を分散させることで耐久性も向上している。

メンテナンス性を重視してケーブルはフレーム外側にルーティングされるメンテナンス性を重視してケーブルはフレーム外側にルーティングされる チェーンステー左側にはANT+規格に対応したデュオトラップセンサーを装備チェーンステー左側にはANT+規格に対応したデュオトラップセンサーを装備


フロントディレイラーのケーブルはフレームを貫通し導かれるフロントディレイラーのケーブルはフレームを貫通し導かれる ドライブトレインはシマノ・105にコンパクトドライブを採用するドライブトレインはシマノ・105にコンパクトドライブを採用する


これらのフィードバックは細部にも見ることができる。左側のチェーンステーにはさまざまなメーター類に対応するANT+センサーをフレームに内蔵したデュオトラップを装備。フロントディレイラーもダイレクトマウント方式とすることで、軽量かつ正確なシフトアクションを可能にしている。

マドン4.5のジオメトリーはリアルレーシングモデルのH1と同様の走行フィールながら、ヘッドチューブを3cm長く設定したH2 fitとなる。アップライトなポジションを取りやすいジオメトリーの採用は、このバイクが多様なレベルのライダーに対応していることを表している。

上級レーサーが好むポジションは高度なテクニックと積み重ねた経験に裏打ちされたものであり、初級者をはじめとしたライダーには前傾がきつく、ときに快適なライディングの足かせとなってしまうものだ。H2 fitの採用は幅広いユーザーに向けた賢明な選択といえる。

マドンの特徴といえる幅広のモノステーはエントリーモデルでも健在だマドンの特徴といえる幅広のモノステーはエントリーモデルでも健在だ 幅広のBB90規格の採用で各チューブはワイド化され、フレーム剛性を向上させている幅広のBB90規格の採用で各チューブはワイド化され、フレーム剛性を向上させている マドン5シリーズ以上はライトチューンドシートマストを採用するが、4シリーズにおいては汎用性を重視した通常のシートポストを使用するマドン5シリーズ以上はライトチューンドシートマストを採用するが、4シリーズにおいては汎用性を重視した通常のシートポストを使用する


この優れた性能は、日々のライディングから週末のレース、さらにはロングライドまでこなすことができる。充実したロードバイクライフを堪能する多くのライダーへ提案できるバイクへと仕上げられている。

上級グレードからのフィードバックをふんだんに採り入れながら、幅広いターゲットユーザーに最適化されたマドン4.5をテスターの両氏はどう評価するのだろうか? エントリーユーザーの目線も考慮したインプレッションをお届けしよう。




―インプレッション


「ストライクゾーンが広く、幅広いレベルのライダーに対応する死角のなさが魅力」 鈴木祐一(RiseRide)


「性能全般に死角がなく、必要としている性能がすべて詰まっている」「性能全般に死角がなく、必要としている性能がすべて詰まっている」 シマノ105がメインコンポーネントで、デュラエースやスラム・レッドといった最高級パーツが着いているようなモデルではないが、ライディングフィールには上質な雰囲気がある。

正直、ズルいバイクだと思う。そう感じさせられた部分はどこかというと、トレック独自の設計である。性能全般に死角がなく、必要としている性能がすべて詰まっており、理想的なパフォーマンスをこの価格帯で完成させてしまったからだ。

具体的になにが良いのかというと、ライディングに関して不安がまったく感じられない部分だ。安定性が高くバイクのコントロールもしやすい。ステアリングフィールやスタビリティ(安定感)、コーナリング性能などライディングフィールに関してはすべてが高レベルで結実している。

カーボンのグレードこそ異なるが、外観は上級フレームとほぼ同様のフォルムだ。違いといえば車体重量くらいしかないのでは? と思えるほどのハイクォリティを実現している、そう断言してもよいくらいのバランスの良さを感じ取れた。この点は幅広い層のライダーに受け入れられるのではないだろうか。ストライクゾーンが広く、ターゲットとなる層の広さがマドン4.5の最大の特長といえるだろう。

初めてロードバイクを購入するような人でも、ロードレーサーとしての楽しさが伝わるはずだ。私のように何台も乗り継いできたような人でも「ずるいな!」と思わせるような懐の深さがある。標準的なメーカーのラインナップは大きく分けて初心者向け、中級者向け、レーサー向けというカテゴリーに分類されるが、マドン4.5ならレーサーも満足させるし、初心者も満足させられるようなキャパシティがある。

まさに優等生的なバイクで、ネガティブな部分を探したくなるくらいの自転車だった。強いてネガティブな部分を挙げるなら、さらにコアなユーザーでレースを楽しむ人には、もう少しカーボン素材の剛性が高いほうがケイデンスは上げやすいのではないかと思うこと。カーボンのグレードを抑えたことによって反応性は適度なレベルに留まっているからだ。

80回転で走れば不安がないレベルだが、例えばアタックなどによってスピードの緩急が生じたときの対応から、レーシング性能に特化しているフレームではないと思われる。むしろこの性能を抑えることでより万能な優等生的な性能を獲得しているのだろうし、これで何もできないということではなくて、いろいろなことが万能にこなせるというのがMADONE4.5の持ち味だ。


「堅実な走りが信条のエントリーカーボンバイク」 山本健一(ロードバイクジャーナリスト)


最近のレーシングバイクは反応の良さや軽快さを求めるあまり過剛性となり、神経質な乗り心地になってしまうことがある。それでも乗りこなす楽しみはあるもの。

しかしすべてのライダーがそのようなバイクを求めているとは思えない。穏やかな気分でロードバイクの爽快感を楽しみたい。そんなイメージを具現化したのがマドン4シリーズだろう。ほどよい重量感と、踏み心地。バイクにまたがった瞬間から安心感を覚えるような優しい印象のバイクだ。

不安を感じさせる要素をできるだけ排除しつつも、ロードバイクに必要な性能はしっかりと抑えている。過剰な剛性や、安定を欠くような無意味な軽さを排除している。これが上質なライディングフィールに繋がっている。スタビリティは高く、バイクコントロールがうまくなったような気にさせてくれる。

ペダリングのしやすさを追求したようなフレームの質感と、熟慮してセレクトされたパーツによって、セーフティマージンをしっかりとキープしている。堅実な走りをもたらしてくれるので、より長い距離への挑戦を促してくれる。コンポーネントはシマノ・105で、ホイールも重さを感じるもののリスクの少なく信頼性が高い。フレームの軽さが活かせるようなパーツアッセンブル次第で、レース用バイクとしても十分に活用できそうだ。

「設定されているグレード以上に上質なバイク」「設定されているグレード以上に上質なバイク」

歯に衣着せぬ表現をするなら、「安全パイをもつバイク」といえる。完成車としての印象は述べた通りだが、フレームに秘められたレーシング性能はかなり高いと想像できる。上位モデルと同様のフレーム設計によってその形状から繰り出される高い剛性レベルは、エントリーモデルとしてのレベルを軽くクリアしているだろう。

設定されているグレード以上に上質なバイクといえる。まさに優等生というイメージがぴったりである。フレームのグラフィックにもこだわりを感じ、ワンランク上の質感を演出している。しなやかかつウィップが心地よいフレームもさることながら、フロントフォークも適度な剛性でパワフル。アルミステアリングコラムであることもセーフティマージンに寄与していると考えられる。

このアッセンブルではショック吸収性は高く設定してあるだろう。バイク全体で快適性を発揮している印象だ。ロングライドやエンデューロなどのイベントでも活躍が期待できる。最初の1台のロードとしては十分すぎるパフォーマンスだろう。

フレームの素性もよく、パーツを載せ換えてしばらくその運動性能を楽しむこともできるようなタフネスさも感じられる。ロングライフも期待でき、お買い得モデルと断言できる。

トレック MADONE 4.5トレック MADONE 4.5 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
TREK MADONE4.5
カラー:クリスタルパールホワイト/プラチナム
チューブ:400シリーズOCLVカーボン、E2、BB90、デュオトラップコンパチブル
サイズ:50、52、54、56、58、60 mm
重量:1100g(フレーム単体)
カーボンフォーク:ボントレガー・レースライトw/E2 アルミニウムステアラー、カーボンレッグス
価格:229,000円(税込み)




インプレライダーのプロフィール


鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


山本健一(バイクジャーナリスト)山本健一(バイクジャーナリスト) 山本健一(バイクジャーナリスト)

身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。


ウェア協力:ビエンメB+(フォーチュン)


text:Kenichi.YAMAMOTO
photo:Makoto AYANO
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