2012年1月22日、ツアー・ダウンアンダー第6ステージがアデレード市街地サーキットで行なわれ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が無敵の3勝目をマーク。サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)が総合優勝に輝いた。

スタートラインの最前列に並ぶロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スタートラインの最前列に並ぶロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiツアー・ダウンアンダー最終日は、恒例のアデレード市街地サーキットで行なわれるクリテリウムレース。街の中心部に敷設された4.5kmの周回コースを20周する。

途中、8周目と12周目にスプリントポイント、10周目と15周目に3級のKOM(カテゴリー山岳)が設定されており、レース展開にスパイスを与える。

常に集団前方で積極的に動くネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)常に集団前方で積極的に動くネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ) photo:Kei Tsujiタイム差無しの総合争いを繰り広げているジェランスとアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)の運命は、スプリントポイントとゴール地点のボーナスタイムが握っている。

太陽が燦々と照りつけ、最高気温37度の暑さの中、スタート直後のルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)のファーストアタックでレースは幕明ける。バルベルデのボーナスタイム獲得を阻止するため、リーダージャージ擁するグリーンエッジが逃げで積極的にレースを動かす。

アタックして飛び出す宮澤崇史(チームサクソバンク)アタックして飛び出す宮澤崇史(チームサクソバンク) photo:Kei Tsujiアタックと吸収を繰り返しながら集団はハイスピードを維持。一時的にイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)を含む10数名の逃げグループが形成されるものの、ボーナスタイムに興味を示すチームがこれを封じていく。

結局2つのスプリントポイントは、いずれも逃げた選手が獲得。宮澤崇史(チームサクソバンク)もレース中盤にアタックするなど動きを見せた。

この日最も長い時間逃げたのはキャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)、ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)の3名。しかしタイム差は常に30秒以下に抑えられ、最後まで逃げたディフェンディングチャンピオンのマイヤーも最終周回で吸収。大集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。

ゴール地点のスプリントポイントに向かうメイン集団ゴール地点のスプリントポイントに向かうメイン集団 photo:Kei Tsuji

逃げるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)、ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)逃げるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)、ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル) photo:Kei Tsujiゴール前で主導権を握ったのはロット・ベリソル。ハンセン、シーベルグ、ヘンダーソンがトレインを組み、グライペルのポジションをキープする。グライペルは先に仕掛けたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)の動きをチェックし、自分のタイミングでスプリントを開始する。

追いすがるマーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)やアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)を振り切ったグライペルが勝利。先に手を挙げるリードアウト役の選手たちに見守られながら、グライペルが両手を広げてゴールした。

リーダージャージを着て走るサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)リーダージャージを着て走るサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiグライペルは今大会3勝目。ダウンアンダー・クラシックを合わせると4勝目。総合争いからは早々に脱落したが、大集団でのスプリントでは必ず勝利している。

ツアー・ダウンアンダーでステージ通算11勝目(総合優勝を合わせると13勝目)を飾ったグライペルは「何と言えばいいんだろう?ロット・ベリソルは完璧なリードアウトで僕を勝利に導いてくれた。寒いヨーロッパでトレーニングを積むより、このサウスオーストラリアでシーズンをスタートさせるのが好きなんだ」と語る。

単独で逃げ続けるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)単独で逃げ続けるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiそして、総合優勝は、最後までバルベルデの動きを逐一チェックしながらゴールしたジェランスの手に。この日はバルベルデがステージ25位、ジェランスがステージ27位。ステージ順位の積算による逆転は起こらず、ジェランスが首位を守り抜いた。

グリーンエッジは若手を中心にアタックを繰り返し、チーム一丸となって集団をコントロール。モビスター勢に付け入る隙を与えなかった。ジェランスはチームメイトへの感謝の言葉を繰り返す。「何てファンタスティックな勝利なんだろう。グリーンエッジのみんなには感謝してもしきれないよ。2006年の初優勝よりも格別。グリーンエッジにとってこんなに最高なスタートは他にないと思う」。

最終スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)最終スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji大きな期待を背負ってこのツアー・ダウンアンダーでデビューしたグリーンエッジは、結果的にステージ0勝に終わった。しかし狙い通りの走りで総合優勝を射止めることに成功。最高の船出を迎えたグリーンエッジに、アデレードの大観衆は暖かい歓声を送った。

レース中盤にアタックを試み、最後はエーススプリンターのジョナサン・キャントウェル(オーストラリア)のポジションキープに尽力した宮澤は105位でゴール。UCIプロチームライダーとして、そして大会初の日本人選手として走ったツアー・ダウンアンダーを闘い終えた。コメントは後ほど現地レポートでお伝えします。

スプリント3勝で締めくくったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)スプリント3勝で締めくくったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji2度目の総合優勝に輝いたサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)2度目の総合優勝に輝いたサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji


レースの模様はフォトギャラリーにて!

ツアー・ダウンアンダー2012第5ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)         1h56'48"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
8位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、チームサクソバンク)
9位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
105位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)                +1'02"

個人総合成績
1位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)      20h46'12"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン)      +08"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)          +14"
5位 ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
6位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)        +16"
7位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)      +18"
8位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)               +23"
9位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)           +29"
10位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)           +32"
116位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)               +39'55"

山岳賞
ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)

新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia

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