2012年1月20日、ツアー・ダウンアンダー第4ステージは終盤の1級山岳メングラーズヒルで小集団が飛び出す展開に。49名によるスプリントでオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)が勝利。8分近く遅れたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は再びリーダージャージを失った。

リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がインタビューを受けるリーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がインタビューを受ける photo:Kei Tsujiダウンアンダー第4ステージは、アデレード市内のノーウッドから郊外のタヌンダまでの130km。

丘陵地帯を走るコースはアップダウンの連続で、30.8km地点で2級山岳スミスヒル、107.4km地点で1級山岳メングラーズヒルを越える。ゴールの22km手前に位置するメングラーズヒル(標高差200m)が勝負の鍵を握った。

バイクをターマックSL4に乗り換えて登場した宮澤崇史(チームサクソバンク)バイクをターマックSL4に乗り換えて登場した宮澤崇史(チームサクソバンク) photo:Kei Tsujiレースは開始直後に始まる登りでアタック合戦が勃発。しかし25.3km地点に設定された1つ目のスプリントポイントでボーナスタイム獲得を狙うスプリンターチームが、ことごとくアタックを封じ込める。ハイペースで登りを進むメイン集団からは、宮澤崇史(チームサクソバンク)らが脱落した。

1つ目のスプリントポイントは、リーダージャージを着るグライペルが先頭通過。グライペルは3秒のボーナスタイムを獲得し、2位通過のマイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)は2秒獲得する。

アタックが決まらず、ハイスピードな状態が続くメイン集団アタックが決まらず、ハイスピードな状態が続くメイン集団 photo:Kei Tsuji熾烈なポイント&ボーナスタイム争いが収拾してすぐ、この日の逃げが決まる。逃げたのはルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、ジェイ・マッカーティー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)の3名。

逃げを見送ったメイン集団はペースダウン。ペレス、マッカーティー、カドリのリードが4分を超えると同時に、脱落していた宮澤らは集団に復帰した。

逃げるルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)ら3名逃げるルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)ら3名 photo:Kei Tsujiレース後半に差し掛かるとメイン集団はペースアップが図られ、ゴールまで29kmを残してエスケープトリオは吸収される。

そして迎えた1級山岳メングラーズヒルでメイン集団はペースアップ。徐々に人数を減らす集団からローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)が飛び出し、そのまま先頭で頂上を通過する。下りに入ると集団は49名まで絞られていた。

ブドウ畑を横目にプロトンが進むブドウ畑を横目にプロトンが進む photo:Kei Tsujiリーダージャージのグライペルを含む第2集団を置き去りにし、先頭集団はリードを広げながらゴールに向かう。総合2位のマルティン・コーラー(スイス)擁するBMCレーシングチームがタイム差を広げるため懸命に先頭集団のペースを上げる。ブドウ畑を駆け抜けた49名の集団は、大きなリードを得てタヌンダの街に差し掛かった。

混戦の中からゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がロングスプリントで先行し、後方からオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)やダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)が追い上げる展開。徐々に失速するチオレックを抜き去ったフレイレが、ゴールライン上でガッツポーズを決めた。

集団スプリントを制したオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)集団スプリントを制したオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji1999年、2001年、2004年に世界チャンピオンに輝いているフレイレは現在35歳。9年間在籍したラボバンクを離れ、今年カチューシャに移籍した。

「チャンスがあると思っていたけど、難しいフィナーレだった。合流したばかりのカチューシャに初勝利をもたらすことができて良かったよ」。シーズン序盤から好調ぶりを見せたフレイレは、2012年を最後に引退すると宣言している。4度目のミラノ〜サンレモ制覇、そして4度目の世界選手権制覇を目論むベテランが、良いカタチでキャリア最後のシーズンをスタートさせた。

結局グライペルを含む第2集団は7分45秒遅れでゴール。リーダージャージは先頭集団でゴールしたコーラーの手に戻っている。総合争いは、マシューズとフレイレが2秒遅れでコーラーを追う展開。登坂力のあるサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)らは8秒遅れにつけており、翌日のオールドウィランガヒル頂上ゴールで総合争いは決する。

宮澤は1級山岳メングラーズヒルで再び集団から脱落し、14分16秒遅れのグルペットでゴールしている。落車によって思うように上がらない調子に、少し表情を曇らせた。

ステージ優勝を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)ステージ優勝を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiリーダージャージに再び袖を通したマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)リーダージャージに再び袖を通したマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji


レースの模様はフォトギャラリーにて!

ツアー・ダウンアンダー2012第3ステージ結果
1位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)            3h08'34"
2位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ルーク・ロバーツ(オーストラリア、チームサクソバンク)
8位 クリスティアン・コレン(スロベニア、リクイガス・キャノンデール)
9位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
131位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)               +14'16"

個人総合成績
1位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)       15h03'34"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)           +02"
3位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
4位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)    +06"
5位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)         +08"
6位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
7位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
8位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
9位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)
10位 ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)       +09"
121位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)               +26'53"

山岳賞
ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)

新人賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)

チーム総合成績
チームスカイ

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia