集団スプリントにもちこまれたロード世界選手権エリート男子ロードレースは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が優勝しアルカンシェルを獲得した。集団スプリントに加わった宮澤崇史が日本人最高位の30位でフィニッシュしている。

日本代表として世界選手権に挑む宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、別府史之(レディオシャック)、 新城幸也(ユーロップカー)日本代表として世界選手権に挑む宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、別府史之(レディオシャック)、 新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiロードレース世界選手権、1週間の最後を飾るのはエリート男子。1周14kmのコースを17周する、266kmの行程が世界一の男を決める。例年アップダウンの激しい世界選手権にあって、今年は例外的に平坦基調のコースが採用された。各国はそれぞれが誇るスプリンターをエースに、デンマークはコペンハーゲンに乗り込んだ。

逃げるクリスティアン・ポース(ルクセンブルク)ら7名逃げるクリスティアン・ポース(ルクセンブルク)ら7名 photo:Kei Tsuji日本からは全日本チャンピオンの別府史之、昨年の世界選手権9位の新城幸也、昨年の全日本チャンピオン宮澤崇史の3名がエントリー。それぞれスプリント力があり、展開によって誰もが集団でスプリントに加われるメンバーだ。

集団の前方に位置する宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)集団の前方に位置する宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ) photo:Kei Tsujiスタート直後、コペンハーゲン市街地から周回コースまでのつなぎの区間からアタックが頻発。しかし優勝候補マーク・カヴェンディッシュを擁するイギリス、世界選手権で例年主導権を握るイタリアら人数を揃える有力国は序盤の逃げに神経質。アタックがかかっては集団が飲み込む、を繰り返し、最初の1時間を過ぎて逃げが決まった。

逃げグループを捉えて先頭にたつルーカ・パオリーニ(イタリア)ら逃げグループを捉えて先頭にたつルーカ・パオリーニ(イタリア)ら photo:Kei Tsuji逃げたのは7名。アントニー・ルー(フランス)、パブロ・ラストラス(スペイン)、ロバート・キセロフスキー(クロアチア)、マキシム・イグリンスキー(カザフスタン)、クリスティアン・ポース(ルクセンブルク)、タネル・カンゲールト(エストニア)、オレグ・チュズダ(ウクライナ)がこの日のレースを作る。

最終周回に向かって逃げるトマ・ヴォクレール(フランス)ら最終周回に向かって逃げるトマ・ヴォクレール(フランス)ら photo:Kei Tsujiこの逃げを容認した集団は、残り200kmで8分の差を許容。終止存在感を見せるイギリス勢の他、アンドレ・グライペルで勝利を狙うドイツ勢もメイン集団前方でレースを展開。残り150kmを切ってから再びレースのペースを上げていく。

第2集団内で周回をこなす別府史之(レディオシャック)と新城幸也(ユーロップカー)第2集団内で周回をこなす別府史之(レディオシャック)と新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiおよそ100kmを残し、逃げグループを4分強にまで追い込んだ集団からはさらなるアタックが生まれる。今年のパリ〜ルーベ覇者ヨハン・ヴァンスーメレン(ベルギー)のアタックにルカ・パオリーニ(イタリア)、ヨアン・オフレド(フランス)、サイモン・クラーク(オーストラリア)、オリヴィエ・カイセン(ベルギー)が追走。この強豪国からなる4名が追走グループを形成し先頭の7名を目指す。

登りスプリントを繰り広げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)やマシュー・ゴス(オーストラリア)登りスプリントを繰り広げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)やマシュー・ゴス(オーストラリア) photo:Riccardo Scanferlaゴールに近づくにつれレースはさらにめまぐるしい展開に。どの選手も前へ出ようとしてポジション争いが激化する中、メイン集団中ほどで新城幸也を含む落車が発生。これにより集団は分裂。別府史之もこの後方集団に取り残されてしまう。前年大会の覇者トル・フースホフト(ノルウェー)、ドイツ勝利のカギを握る新TT世界チャンピオンのトニ・マルティンも同様に停止を余儀なくされた。

遅れを取り戻そうと別府と新城が懸命に第2集団の先頭を牽く。しかしイギリスが組織的に牽引するメイン集団からはじわじわと離されていく。そのさらに前方、レースの先頭では追走の4名が序盤からの逃げの6名に合流。先頭グループを再形成するも、メイン集団は1分にまでその差を詰めていく。

先頭グループを目と鼻の先に追い込んだメイン集団からは、地元ラルスイティング・バク(デンマーク)のアタックもあったがこれは実らず。先頭グループからはルーが単騎飛び出して独走に持ち込み、残り28kmで20秒の差を稼ぎ出す。他の先頭にいた選手たちはメイン集団に飲み込まれた。

チームメイトの力走に応えるかのように、トマ・ヴォクレール(フランス)がメイン集団からアタック。先頭を走っていたルーに追いつき、肩を叩いてその健闘を讃えると再加速。クラース・ルドヴィック(ベルギー)とニキ・セレンセン(デンマーク)がヴォクレールに追いつき、3名を先頭にレースは最終周回を迎える。メイン集団とのタイム差は20秒。

依然としてイギリスが主導権を握るメイン集団からは、残り10kmでジョニー・フーガーランド(オランダ)がアタック。ヴォクレールら3名に合流するが、集団とのタイム差は10秒。メイン集団を牽引するのは直前のブエルタ・ア・エスパーニャで上位に入ったクリス・フルームやブラッドレー・ウィギンズといったイギリスのセカンドエースたち。

イギリス勢はヴォクレールの最後のアタックもねじ伏せて、残り6kmでついに集団がひとつに。集団スプリントに向けてイギリス、イタリア、オーストラリア、ドイツが集団の前方で位置取り合戦。完璧に事を運んだかに見えたイギリスのトレインの隙をついて、オーストラリアがトレインを形成。ゴール前1kmで主導権を握る。

アシストを失ったカヴェンディッシュだったが、マシュー・ゴス(オーストラリア)の後ろからがスプリントを開始。別のラインで先行していたファビアン・カンチェラーラ(スイス)をかわし、そのままゴールへ。遅れをとったゴスの追い上げは届かず、カヴェンディッシュが悲願の世界チャンピオンの座に輝いた。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)勝利 新世界チャンピオンが誕生マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)勝利 新世界チャンピオンが誕生 photo:Kei Tsuji

エリート男子表彰台 左から2位マシュー・ゴス(オーストラリア)、優勝マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、3位アンドレ・グライペル(ドイツ)エリート男子表彰台 左から2位マシュー・ゴス(オーストラリア)、優勝マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、3位アンドレ・グライペル(ドイツ) photo:Riccardo Scanferla3位にはカンチェラーラをわずかに差してグライペルが入った。今大会のトップ3はいずれも今シーズンで解散するHTC・ハイロードに所属している(いた)選手。年間最多勝利数を挙げ続けるチームの強さとタレントの多さを改めて感じさせる結果となった。

メイン集団に残り前方でスプリントに加わった宮澤崇史は最後に飲み込まれたものの、このピュアスプリンターのためのレースを30位でゴールした。8分54秒遅れの第2集団に取り残された別府と新城はそれぞれ120位、133位でこの世界選手権を終えている。宮澤が好走しただけに、落車による集団分裂が悔やまれる。

優勝したカヴェンディッシュは今後一年間、マイヨアルカンシェルを着ることになる。この栄誉あるジャージは、終日レースをコントロールしたイギリスチームの働きに報いるものであることは明らか。国が一丸となって最強のスプリンターを名実共に最強の選手にした。


ロード世界選手権2011エリート男子ロードレース
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)         5h40'27"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ)
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス)
5位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)
6位 ロメン・フェイユ(フランス)
7位 ボルト・ボジッチ(スロヴェニア)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)
9位 オスカル・フレイレ(スペイン)
10位 タイラー・ファラー(アメリカ)
30位 宮澤崇史
120位 別府史之                       +8'54"
133位 新城幸也
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