アタックが連続するもののどれも決まらずハイスピードのまま集団スプリントとなった第4ステージ。スプリントを制したのはボリス・シュピレフスキ。総合首位はムラディヤン・ハルムラトフがキープ。愛三勢は西谷泰治がステージ9位でゴールした。

綿陽仙海のスタート地点。多くの観客で賑わっている綿陽仙海のスタート地点。多くの観客で賑わっている (c)Sonoko.Tanakaグレゴール・ガスヴォダ(スロベキア、プルティニナ)と中島康晴(愛三工業レーシングチーム)2人はエキップアサダ時代のチームメイトだったグレゴール・ガスヴォダ(スロベキア、プルティニナ)と中島康晴(愛三工業レーシングチーム)2人はエキップアサダ時代のチームメイトだった (c)Sonoko.Tanaka

ムラディヤンが3分27秒差の総合首位

大会最長距離となる214.6kmで開催されたツアー・オブ・チャイナ、第4ステージ。綿陽郊外のリゾート地をスタートし、16kmの周回コースを2周したあと綿陽市内を抜けて南下し、遂寧にフィニッシュする平坦ながら小さな起伏が連続するコースレイアウト。途中3ヶ所にスプリントポイントが設けられている。

ツアー・オブ・チャイナ、第4ステージがスタートツアー・オブ・チャイナ、第4ステージがスタート (c)Sonoko.Tanakaあちこちで建設中の建物が目につく中国・四川地方あちこちで建設中の建物が目につく中国・四川地方 (c)Sonoko.Tanaka

現在総合順位トップにつけるのはジャイアント・ケンダのムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン)。今回チームのエースであるデービッド・マキャンを欠いて出場していることもあり、彼らには強力なチーム力がないのが欠点だ。何日イエロージャージをキープできるか?が、彼らの堅実な目標になっている。

2位とのタイム差は3分27秒。集団スプリントとなれば、ムラディヤンが総合首位を保守。ムラディヤンに3分27秒以上差をつけて逃げ切ることができれば、新しい総合リーダーが誕生する。

沿道では麦を干している沿道では麦を干している (c)Sonoko.Tanaka

綿陽の高層ビルのあいだを抜ける集団綿陽の高層ビルのあいだを抜ける集団 (c)Sonoko.Tanakaアタックが連続した平坦ステージ

平坦基調で、天候はいたって良好。レースはスタート直後から激しいアタック合戦の様相を呈した。
「どのチームも逃げたいと思っていた」と振り返る選手たち。次から次へと激しいアタックがかかるものの、いつになっても集団は容認せず、結果的にゴールまで大きく差を広げる逃げグループは形成されなかった。

「200kmアタックし続けるレースなんて、初めてのこと!」そう話す西谷泰治選手。大会最長距離のステージにして平均速度は46.333 Km/hをマーク。最速のゴール予測タイムよりも30分以上早いタイムでゴールを迎えることになった。

残り25km地点から小さな村を繋ぐような細い道が連続。そして残り10km地点で1つのままだった集団から盛一大(愛三工業レーシングチーム)が飛び出した。トラック競技、スクラッチ世界選手権・銅メダリストが単独でアタックをかけグングン加速、後続に20秒ほど差をつけた。
しかし集団スプリントに持ち込みたい韓国ナショナルチームなどが追走。残り2kmの地点で盛は捕まってしまう。

残り1kmを切って最初に仕掛けたのがパク・スンベクとジャン兄弟のスプリンター擁する韓国チーム。彼らを追う形でロシアナショナルチームやタブリーズ・ペトロケミカルなどが中心になって、一斉にゴールスプリントの体制となる。

序盤でアタックをかける西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)序盤でアタックをかける西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka逃げ切り優勝に向けて、渾身のアタックをかける盛一大(愛三工業レーシングチーム)逃げ切り優勝に向けて、渾身のアタックをかける盛一大(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka

そしてステージ優勝を手にしたのはポイント賞ジャージを着るボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)だった。圧倒的なスプリント力で、1日1日とポイント賞獲得を確実なものにしている。

総合リーダーは集団内でゴールしたムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)がキープ。終始集団の後方を走っていたムラディアン。「1つのチームが逃げて、また違うチームが追い掛けて集団に戻るという今日の展開。自分は集団に留まっていればいいだけだった。ジャイアント・ケンダチームにとって、非常にいい展開だった」と振り返る。

有料道路の料金所を通過する選手たち有料道路の料金所を通過する選手たち (c)Sonoko.TanakaToChina2011 4-5724ToChina2011 4-5724 (c)Sonoko.Tanaka

盛の渾身アタック&西谷が9位でフィニッシュ

レースを終えた盛一大(愛三工業レーシングチーム)レースを終えた盛一大(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka残り10kmで単独アタックをかけた盛選手は「ロングスプリントが得意なので、タイム差が開いたところでいけるかと思ったんですけどね…」と振り返る。逃げ切りは決まらなかったが、ライバルチームの脚を使わせることには成功した。

それはスプリンター西谷泰治を擁する愛三工業レーシングチームにとっていい展開だったが、先行する選手がルートを誤ったりと、西谷選手はスプリントを掛けるのが遅くなってしまったと言う。しかし9位でフィニッシュ。悔しさが残る結果となったが、チームの雰囲気は良く、選手たちの積極的な走りが目立ってきている。

翌第5ステージは遂寧から広安までの143.8kmで開催される。途中2級山岳を2つ越える起伏に富んだコースレイアウトになっている。ちなみにレースが行われている四川地方は激辛料理が有名な場所だが、チームのホテルでは比較的穏やかな食事が提供されているとか。

毎日恒例のシャンパンファイト、でも毎日人数分用意されない…毎日恒例のシャンパンファイト、でも毎日人数分用意されない… (c)Sonoko.Tanakaブルーのポディウムガールのジャパニーズネームは「マリコ」なんだとかブルーのポディウムガールのジャパニーズネームは「マリコ」なんだとか (c)Sonoko.Tanaka


ツアー・オブ・チャイナ第4ステージ結果
1位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) 4h30'39"
2位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)
3位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、Vオーストラリア)
4位 グリシア・ヤノルシュケ(ドイツ、ニュートリション)
5位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
6位 コワ・ホーチン(香港、香港ナショナル)
7位 ミッシェルパスカル・ジュール(フランス、ラポム・マルセイユ)
8位 ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)
9位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
10位 ダニエルホルム・ホーダー(デンマーク、グラッド&マーストランドLPO)
32位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
47位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
79位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
84位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
120位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+2'08"

個人総合成績(イエロージャージ)
1位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)13h47'13"
2位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'25"
3位 ジャン・スンジェ(韓国、韓国ナショナル)+3'26"
4位 パブロ・ルシュガ(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)+3'31"
5位 アレクサンドル・セロフ(ロシア、ロシアナショナル)
6位 マテイ・ムジェルリ(スロベニア、プルティニナ)+3'33"
7位 クリスター・レイク(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)
8位 ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)+3'36"
9位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
10位 ディルク・ミューラー(ドイツ、ニュトリキシオン)
44位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)+3'49"
57位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+8'
63位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
68位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
93位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+8'15"
103位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+8'20"

ポイント賞(ブルージャージ)
ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)

山岳賞(ポルカドットジャージ)
ガダール・ミズバニ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)

チーム総合成績
ジョーカー・メリダ


photo&text:Sonoko.Tanaka