ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第12ステージは、登り勾配の集団スプリントに持ち込まれ、抜群の加速力を見せたピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)が区間2勝目を飾った。総合順位に変動はない。

サインをせがまれるマイヨロホのブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)サインをせがまれるマイヨロホのブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Tour of Spain/Graham Watson激しい総合優勝争いが繰り広げられた山頂ゴールステージから一夜明けた9月1日、ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは久々の平坦ステージが設定された。ポンテアレアス~ポンテベドラ間の167kmには3級の山岳が2つ。しかしこれはレース中盤までに置かれており、今ブエルタとしては数少ないスプリンターのためのステージ。しかし、ゴール前1kmから始まる登りがレースを難しいものにした。

この日逃げた4名。先頭はルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)この日逃げた4名。先頭はルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス) photo:Tour of Spain/Graham Watsonこの日も序盤からアタックが繰り返されるが、10km地点を過ぎて逃げグループが形成。メンバーはホセルイス・ロルダン(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)、ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス)、アダム・ハンセン(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)の3名が先に飛び出し、遅れてルスラン・ピドゴルニー(ウクライナ、ヴァカンソレイユ)が合流し、4名に。

キッテルのためにメイン集団をコントロールする土井雪広(スキル・シマノ)キッテルのためにメイン集団をコントロールする土井雪広(スキル・シマノ) photo:Kei Tsuji集団でレースコントロールを担うのは総合リーダーのブラッドレー・ウィギンズ(イギリス)を擁するチームスカイと、今大会でステージ1勝を挙げている新進気鋭のスプリンター、マルセル・キッテル(ドイツ)を擁するスキル・シマノの2チーム。とりわけこのレース前半では土井雪広(日本、スキル・シマノ)が積極的にペースメイク。この日のスタート前に「僕たちのTVショーをお見逃しなく!」とチームの調子の良さを伺わせるコメントをした土井が、ブエルタ後半でも疲れ知らずの献身的な走りを見せる。

HTC・ハイロードやスキル・シマノがメイン集団を牽引HTC・ハイロードやスキル・シマノがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsuji55km地点で集団と逃げる4人との差は9分まで開いたが、その後は土井のコントロールもあって7分台をキープ。61km地点の3級山岳モスコソ峠、107km地点の3級山岳ポンテ・カルデアス峠の2つのカテゴリー山岳は昨日超級山岳でアタックを見せたピドゴルニが全て先頭で通過した。

100kmを過ぎて、逃げる4人と集団との差は4分を割り込む。依然としてスキル・シマノ、チームスカイがコントロールするが、中盤からはHTC・ハイロードも集団牽引に協力。エーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、マシュー・ゴス(オーストラリア)は既にリタイヤしているが、登り基調のスプリントに強いジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)にこの日の勝負を託す。

ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)のスプリントが伸びるペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)のスプリントが伸びる photo:Kei Tsuji残り50kmを切ると、タイム差はさらに縮小。これを嫌って残り32km地点でハンセンが逃げグループからアタック。だがこの動きは成功せず、残り26km地点で吸収、脚を使ったハンセンは逃げグループ内に残ることができず脱落。諸刃の剣のアタックは成功せず。

スプリンターチームのコントロールが本格化し、残り15kmでタイム差は54秒。カテゴリーこそないここからの登りで、先頭からはロルダンが脱落。集団ではキッテルが遅れ、スキル・シマノのアシスト勢が総出で集団に戻す動きも。メイン集団はアージェードゥーゼル、HTC・ハイロードがハイテンポを刻み、残り9km地点でタイム差は12秒。そして残り6.5kmで集団が逃げグループを吸収する。

ひとつになった集団から残り6km地点で飛び出したのはジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)。さらにサント・アンツァ(イタリア、ヴァカンソレイユ)がカウンターで飛び出すが、ゴールに向けて高速化する集団がこの動きを許さない。残り4.5kmで集団は再びひとつに。

ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)で勝利を狙うレオパード・トレック、BMCレーシングやHTC・ハイロード、スキル・シマノによるポジション取りが激化する中、レオパード・トレックを先頭に残り1kmを通過。登りでファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)が先頭で集団を引っ張り、残り200mでベンナーティを解き放つ。

ピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)が登りスプリントを制すピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)が登りスプリントを制す photo:Tour of Spain/Graham Watson

集団コントロールに力を使った土井雪広(スキル・シマノ)は9分39秒遅れの集団でゴール集団コントロールに力を使った土井雪広(スキル・シマノ)は9分39秒遅れの集団でゴール photo:Kei Tsujiしかし、ほぼ同じタイミングでスプリントを開始したピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)が一気に先頭に躍り出る。出遅れたデゲンコルブの追い上げは届かず、そのままロングスプリントを成功させたサガンが両手を挙げた。サガンはこれで今ブエルタ2勝目。初のグランツールで怪童の名に恥じない実力を遺憾なく発揮している。最終局面でアシストを得たベンナーティは3位に沈んだ。

登り基調のスプリントでメイン集団は分裂。総合上位陣の中で唯一先頭に残ったのはバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)。4秒遅れでヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、その他の総合上位陣は5秒遅れのタイム差がついた。モレマはこの日最初の中間スプリントポイントをトップ通過しており、獲得した6秒のボーナスタイムと合わせてライバルたちからこの日、10秒以上の奪取に成功している。

ピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)

「ラスト3kmはアップダウンが激しくまったく混沌としていて、残り1.5kmで僕は後ろに位置を下げてしまった。独力でなんとかしようとポジションを上げていって、ファビアン・カンチェラーラの側につくチャンスを得たんだ。それがいい選択だったことは結果が示している通りだ。

ゴールまで100mのところで見えなかった道路の出っ張りに突っ込んでしまったんだ。前輪が浮いてチェーンが一段飛んでしまったけど、なんとか踏み続ける事はできた。自分の後ろにジョン・デゲンコルブがいる事以外、何もわからなかったよ。あとはマドリッドに到着することを目標にしたい。もう1ステージで勝利することもやぶさかではないけれど。僕のリーダーであるヴィンチェンツォ・ニーバリがこのブエルタで勝利するのを見たいね。そうなればいいと本当に思っているよ!」

・選手コメントは公式リリースより


ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第12ステージ結果
1位 ピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)           4h03'01"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)               
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)             
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)              
5位 ファンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)                 
6位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)                  
7位 グレグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)           
8位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)                    
9位 ニコラス・マース(ベルギー、クイックステップ)                 
10位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)               
13位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)             
16位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)         +4"
20位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) 
24位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)          +5"
29位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 
32位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)             
163位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                        +9'39"

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)             46h53'47"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                   +7"
3位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)               +09"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)       +10"
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)            +19" 
6位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)                     +36"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)            +1'06"
8位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)               +1'27"
9位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)              +1'53"
10位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)           +2'00"
11位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)       +2'01"
12位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター)                +2'22"
13位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)               +2'56"
14位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                +2'56"
15位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)               +3'03"     
16位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                 +3'39"
18位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)           +3'50"
22位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)              +4'43" 
28位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックス・TMC)               +7'04"  
39位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)                +17'32"
177位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +2h45'25"

ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)          81pts
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    75pts
2位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)              69pts

山岳賞(モンターニャ)
1位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)   33pts
2位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)         32pts
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)   25pts

複合賞(コンビナーダ)
1位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)             16pts
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          26pts
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)         29pts

チーム総合成績
1位 レディオシャック       140h10'17"
2位 ラボバンク            +1'58"
3位 レオパード・トレック        +2'18"

text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Cor Vos, Unipublic
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著者: 江國 香織
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