2009年5月12日に行われたジロ・デ・イタリア第4ステージ。開幕4日目にしていきなりの山岳ステージは、ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)自らがマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド)のアタックをつぶし、ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)の追撃を振り切って勝利を飾った。

9km地点で飛び出したイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)ら9km地点で飛び出したイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)ら photo:Kei Tsujiジロ・デ・イタリア第4ステージは、パドヴァ~サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの162km。平均勾配7.9%のクローチェ・ドウネ(標高1015m)を通過し、いったん下ってから標高1466kmのサンマルティーノ・ディ・カストロッツァへと駆け上る。最後の上りは13.7kmと長く、平均勾配6%(最大10%)の難関コースだ。

クローチェ・ドウネの上りではマリアローザのアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)もディルーカをアシストクローチェ・ドウネの上りではマリアローザのアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)もディルーカをアシスト photo:CorVos今大会初めての山岳ステージ。平坦基調のレース序盤には、スタート直後からアタックが相次いだ。いくつかのアタックを経て決まったのはフランチェスコ・ベロッティ(イタリア、バルロワールド)、ダヴィデ・ヴィガーノ(イタリア、フジ・セルヴェット)、イアン・スタナード(イギリス、ISD)、フランチェスコ・デボニス(イタリア、ディキジョヴァンニ)、イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)、セラフィン・マルティネス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)の6名による逃げだった。

残り2.5kmで集団からアタックしたマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド)残り2.5kmで集団からアタックしたマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド) photo:CorVosPRブレークスがコントロールする後続集団はこの逃げを容認。6名のリードは一時7分にまで開いた。

登りゴールで豪快なスプリント勝利を決めたダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)登りゴールで豪快なスプリント勝利を決めたダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) photo:CorVosクローチェ・ドウネの上りで先頭グループがバラけた。ヴィガーノ、スタナード、マルティネスが遅れ、先頭はフォイクト、デボニス、ベロッティの3名に絞られた。
ステージ優勝を飾ったダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)ステージ優勝を飾ったダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) photo:Kei Tsuji続くサンマルティーノ・ディ・カストロッツァの上りでデボニスが遅れ、先頭はフォイクトとベロッティの2名に。盛んに仕掛けるフォイクトに対し、懸命に食らいついていたベロッティも徐々に着ききれなくなり、先頭はフォイクトの単独走行に。
シャンパンを開けるトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)シャンパンを開けるトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) photo:Kei Tsuji百戦錬磨のフォイクト。鬼の形相で逃げ続けたが、残り3kmを切った地点でペースを上げる集団にあえなく吸収。
そしてレースは振り出しに戻った。

上りで40~50名に絞られたメイン集団には個人総合優勝を狙う選手達が顔を揃えた。さほど斜度のない上りだけに、集団から抜け出すのは容易でない。
互いに様子をうかがううち徐々に残りの距離が短くなっていく。

その状況を打ち破ったのがマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド)だ。
落車に巻き込まれ、膝のテーピング、顔の擦り傷も痛々しい。そんな満身創痍のソレールが集団を一気に抜き去り、渾身の走りでゴールを目指す。

よもや逃げ切りかと思われたが、残り350mでダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)が仕掛けた。ソレールを一気に抜き去ると、スリップストリームに入ったステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)すら置き去りにし、力強いぺダリングで勝利をおさめた。“キラー”ディルーカには王者の風格すら漂っていた。

マリアローザは、最初の上りでディルーカのために献身的なアシストをしたアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)から、ステージ7位でフィニッシュしたトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)の手に渡った。
マリアローザ、マリアビアンカの2枚のジャージを手にしたロヴクヴィストは「キャリア最高の瞬間」と喜びを語った。

ディルーカは2秒遅れの個人総合2位。また、最終局面で集団から遅れたランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)は先頭より15秒遅れでゴールした。

ここまでのジロ・デ・イタリアは、ステージ1勝だがマリアローザ3回のチームコロンビア、ステージ3連勝にしてマリアローザ1回のLPRブレークスの大会の様相を呈している。

第5ステージは距離こそ125kmと短いが、ゴール地点のアルペ・ディ・シウジではラスト7kmを切ってから平均勾配8.6km(最大11%)の厳しい上りが待ち構える。マリアローザ争いはさらに熾烈を極めるだろう。


ジロ・デ・イタリア2009第4ステージ結果
1位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) 4h15'04"
2ス テファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) +0"
3位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +0"
4位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド) +0"
5位 ジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ) +0"
6位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +0"
7位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) +0"
8位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +0"
9位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +0"
10位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ) +0"

個人総合成績
1位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) 13h05'28"
2位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) +2" 
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+6"
4位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、アスタナ) +26"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +26"
6位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ) +28"
7位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +32"
8位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ) +42"
9位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ランプレ) +42"
10位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +49"

ポイント賞 マリアチクラミーノ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)

山岳賞 マリアヴェルデ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)

新人賞 マリアビアンカ
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)

チーム総合成績
チームコロンビア

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