8月20日、第66回ブエルタ・ア・エスパーニャが開幕する。地中海に面したバレンシア州のベニドルムをスタートし、シエラ・ネバダの難関山岳やセントラル山系の2連続山岳ステージに挑む。休息日前日のサラマンカ個人タイムトライアルまでの前半ステージをチェックしておこう。

8月20日(土)第1ステージ
ベニドルム~ベニドルム 13.5km(チームTT) →コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第1ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第1ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com第66回ブエルタ・ア・エスパーニャは、地中海に面したスペイン南東部バレンシア州のベニドルムで開幕する。「スペインのマンハッタン」と呼ばれるほど高層ホテルが立ち並ぶこのリゾート都市がブエルタに登場するのは3回目。3週間に及ぶ闘いのスタートを告げるのは、今年もチーム力を問うチームタイムトライアル。コースはビーチのすぐ脇をスタートし、内陸部の小高い丘(標高138m)を越えて同市中心部の目抜き通りにゴールする13.5km。鋭角コーナーやロータリーを含むテクニカルコースだ。17時02分から22チームが4分ごとにスタートし、最終チームのゴール時間はおよそ18時45分。


8月21日(日)第2ステージ ラ・ヌシア~プラヤス・デ・オリウエラ 174.0km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第2ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第2ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com開幕地ベニドルム北部のラ・ヌシアをスタートする第2ステージは今大会最初のスプリントステージ。地中海に沿って南下を始めるが、前半に内陸部の3級山岳レリャウ峠を通過する。序盤からのアタック合戦に加わり、逃げグループの先頭でこの3級山岳を通過した選手が山岳賞ジャージを獲得する。その後はほぼ真っ平らなレイアウトが続き、海沿いの街オリウエラにゴール。横風による集団分裂が発生しない限り、十中八九、大集団によるゴールスプリントに持ち込まれるだろう。オリウエラは昨年も平坦ステージのゴールをホストしており、当時はアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)が勝利している。


8月22日(月)第3ステージ ペトレル~トタナ 163km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第3ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第3ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com少し内陸部に舞台を移しながらもブエルタは南下を継続。バレンシア州からムルシア州に移ろう。今大会最短クラスの163kmコースは「平坦ステージ」に分類されているが、単なるスプリンター向きのステージではない。というのも、後半に2つの3級山岳が設定されており、逃げ切りの可能性を秘めている。ゴール47km手前のベッロ峠とゴール13km手前のラ・サンタ峠は、格好のアタックポイント。登りを得意としない重量級のスプリンターたちは苦戦するだろう。この種類の異なる2つの平坦ステージで、最終的なポイント賞の行方が見えてくるはずだ。


8月23日(火)第4ステージ バーサ~シエラネバダ 170.2km(頂上ゴール) →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第4ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第4ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com今年は6つの頂上ゴールが設定されており、その一つ目、超級山岳シエラネバダの頂上ゴールが第4ステージで早速登場する。選手たちはまず標高2040mの1級山岳フィラブレス峠を登り、アップダウンをこなしてグラナダ近郊のシエラネバダ国立公園へ。登坂距離が23km、高低差が1322mに達するブエルタの定番山岳シエラネバダで、総合狙いのオールラウンダーたちが動き出す。シエラネバダ全体の平均勾配は5.7%。前半は8%前後の勾配がコンスタントに続き、後半にかけて少し勾配は緩くなる。なお、シエラネバダは「雪の多い山」の意味。ヨーロッパ最南端のスキーリゾート地だ。


8月24日(水)第5ステージ シエラネバダ~バルデペニャス・デ・ハエン 187km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第5ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第5ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com前日の決戦地シエラネバダをスタートする第5ステージは、187kmにわたって起伏に富んだコースが続く。鍵を握るのは合計2回通過する2級山岳バルデペニャス峠、ではなく、ゴール地点バルデペニャス・デ・ハエンの激坂だ。カテゴリー山岳ではないが、ラスト500mから街中を直線的に登る最大勾配27%の「壁」が、スプリンターたちを寄せ付けない。ゴール8km手前でピークを迎える2級山岳バルデペニャス峠を好位置でクリアし、集団前方で激坂に侵入しなければチャンスは無いだろう。昨年はイゴール・アントン(スペイン)がこの激坂で飛び出してステージ優勝を飾っている。


8月25日(木)第6ステージ ウベダ~コルドバ 193.4km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第6ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第6ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com今年は平坦ステージが10ステージ設けられている。その一つに数えられる第6ステージのゴール地点は、8世紀から10世紀にかけて栄えた後ウマイヤ朝の首都で、イスラム文化を色濃く残すコルドバ。アンダルシア州のウベダから広大な平野を一路西に向かい、ラスト31km地点で一旦コルドバのゴール地点を通過。ゴールの21km手前で2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠を乗り越える。登坂距離7.5km・高低差415mのこの2級山岳が、スプリンターたちにとって唯一のハードルとなる。登りで集団を突き放すことができれば、アタッカーたちにも十分チャンスはあるだろう。


8月26日(金)第7ステージ アルマデン~タラベラ・デラ・レイナ 182.9km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第7ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第7ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.comブエルタ初登場のアルマデンから、乾いた大地を182.9kmかけてタラベラ・デラ・レイナまで北上する第7ステージ。翌日からセントラル山系の山岳バトルが始まるため、スプリンターたちはここぞとばかりに勝利を狙ってくるだろう。登場するカテゴリー山岳はゼロだが、カスティーリャ・ラ・マンチャ州のタラベラ・デラ・レイナに至るルートは細かいアップダウンの繰り返し。風の強い地域としても知られており、コースプロフィールの見た目以上に脚を使う。スプリンターチームの猛追を振り切っての逃げ切りにも期待したい。


8月27日(土)第8ステージ タラベラ・デラ・レイナ~サンロレンソ・デ・エル・エスコリアル 177.3km →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第8ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第8ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com1回目の休息日を前にしたレース前半のクライマックスが、第8ステージから2つ連続する山岳ステージだ。個人タイムトライアルを前に、総合上位陣が絞り込まれる。セントラル山系を駆ける第8ステージは、前半から標高1575mの1級山岳ミハレス峠、2級山岳サンバルトロメ峠、2級山岳サンタマリア峠が登場。ゴール地点は首都マドリードに近い3級山岳サンロレンソ・デ・エル・エスコリアルで、ラスト1kmから最大勾配が28%に達する激坂が始まる。3つのカテゴリー山岳とアップダウンの先に待つこの濃厚な激坂ゴールで、総合タイム差は広がるはずだ。


8月28日(日)第9ステージ ビジャカスティン~シエラ・デ・ベハル/ラ・コバティーリャ 183km(頂上ゴール) →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第9ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第9ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com今大会2回目の頂上ゴールは、サラマンカ近郊のスキーリゾート地シエラ・デ・ベハル・ラ・コバティーリャ。カスティーリャ・イ・レオン州のビジャカスティンで始まる183kmのコースはシンプルで、スタート直後の3級山岳クルス・デ・イエッロ峠を経て1級山岳ラ・コバティーリャへ。登坂距離18.2kmのラ・コバティーリャは頂上手前の7kmの勾配がきつく、平均勾配は優に10%オーバー。標高1970mの頂上に向けて、急勾配の登りを進む。総合リーダーの証マイヨロホは有力候補の手に渡るだろう。逆に総合争いから脱落する選手も出てくるはず。


8月29日(月)第10ステージ サラマンカ~サラマンカ 47km(個人TT) →コースマップ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第10ステージ・コースプロフィールブエルタ・ア・エスパーニャ2011第10ステージ・コースプロフィール image:www.lavuelta.com今大会唯一の個人タイムトライアルが、最初の休息日前日に登場。グランツールとしては標準的な距離である47kmのコースは、旧市街がユネスコ世界遺産に登録されたサラマンカを発着する。平坦基調で直線基調。つまりテクニカル度は低く、高出力で踏み抜く重量級のTTスペシャリスト向き。逆に軽量級のクライマーたちはタイムロスを最小限に抑える走りを強いられるだろう。総合上位陣の中には数分のタイムロスを被る選手も出てくるはず。なお、選手たちは総合下位から順に1分ごとのスタート。総合30位からは2分ごとのスタートとなる。


8月30日(火)休息日



text:Kei Tsuji
image:www.lavuelta.com