トレックが今年、「THE BEST OF ALL WORLD」というコンセプトを掲げ、すべての人々へ向けて新しいエントリーモデルを発表した。それがアルミの「2シリーズ」だ。チームアスタナの一部のメンバーも実戦で使用したという。

トレック2.3トレック2.3 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
グラフィックもシンプルで美しいグラフィックもシンプルで美しい

トップグレードから受け継ぐジオメトリー


2.3はトップグレードであるマドンシリーズと同じジオメトリーを採用している。これにより、アルミフレームという制約を受けながらも、コーナリング性能・安定性・加速感を、高いレベルで実現しているという。

さらに、無理のないパフォーマンスフィットが全てのライダーに自然なポジションを提供し、長時間のライディングも快適にこなすことができる。


また、リーズナブルなプライスでありながらも、チームアスタナのある選手は2009年のパリ~ニースでこの2.3を使った。これによりプロ選手でも第一線で使える性能を有していることが証明された。
ハイドロフォーミング製法により独特の形状だハイドロフォーミング製法により独特の形状だ

素材にこだわったハイブリッドバイク


トレック2.3は、アルミのメインフレームにカーボンステーを採用した、いわゆる”ハイブリッドフレーム”のバイクだ。

アルミ素材は独自の技術で生み出した”アルファブラックアルミ”を使用している。この6000番台のアルミ素材は、軽量性・耐久性・強靭性を効果的に引き出している。また、その加工には形状を自由に成型できる「ハイドロフォーム成型」を使用し、フレーム各所にかかる応力を計算することによって形状を最適化している。それにより、重量を最低限まで減らし、乗り心地とレスポンスを最大限まで引き出すことに成功している。

TCTカーボン製のリアステーがこのバイクの要だTCTカーボン製のリアステーがこのバイクの要だ
TCTカーボン(トレック・カーボン・テクノロジー)と呼ばれるトレック独自のカーボン素材を用いた角断面のカーボンチューブをリアステーに使用している。アルミでは追求できない快適性を、このカーボン素材をフレームの適所に配置することにより、「アルミフレーム=乗り心地が悪い」というイメージをなくしている。

それらの特徴はトレック2シリーズ スペシャルサイトで確認できる。

では、この「トレックがこだわりぬいたエントリーバイク」2.3のインプレッションをはじめよう。


「ロードレーサーとはどんな自転車なのかを実感させてくれて、とても楽しいと思える一台」(鈴木祐一)「ロードレーサーとはどんな自転車なのかを実感させてくれて、とても楽しいと思える一台」(鈴木祐一)

成長を実感できるエントリーモデル


鈴木佑一(RiseRide)

エントリー層のユーザーが、一番最初に選ぶ一台として購入されるモデルだと思います。全体的な感想といえば、「ロードレーサーとはどんな自転車なのかを実感させてくれて、とても楽しいと思える一台」だと思います。

また、フレームに関して言えば、初めての人が今後乗り込んでいくことによって成長したとき、後悔をすることがない性能をもっていると思う。

言い換えるなら、発展性のあるバイクだと感じる。初級者~中級者まで幅広く使え、さらに、使用用途も幅広く、レースやエンデューロ、「レースには出ないけれど長い距離が走りたい」等の要望にも応えられると思う。

また、各パーツをカスタマイズすることによって、それぞれに特化した自転車に仕上げることができるし、パーツのグレードを上げても、パーツに対してフレームが見劣りすることはないと思う。

剛性に関しても、エントリーモデルということもあり、しなやか。長距離を走っても、気持ちよく最後まで走れると思います。初めからバリバリ力がある人はいないと思うので、その点はターゲットに沿った味付けができている。

しかしながらブレーキやタイヤ等のパーツ構成に不満が残る。シマノ製でないブレーキは制動力がやや甘め。交換することによって全体が高いレベルに上がってくると思う。

加速感に関しては、幅広い用途で使われることを想定したバイクであるので、レースで必要とされる急激な加速等には少々向かないような気がします。

ですが、振動吸収性・直進安定性・ハンドリングはすばらしく、自転車と一緒にライダー自信も成長していけるバイクだと思います。


「ダイレクトな加速感がスピード走行へと誘う」(浅見和洋)「ダイレクトな加速感がスピード走行へと誘う」(浅見和洋)

「この価格でこの性能を出すトレックはさすがだ」


浅見和洋(なるしまフレンド)

剛性感から言えば、アルミならではのいい剛性感が発揮できていると思う。従来のアルミフレームの中ではかなり剛性が高めだと判断した。

ハンドリングは非常にクイックで、思ったとおりに自転車を操ることができるので、とても高い運動性能レベルのものだと思う。

またブレーキング性能に関しては完成車ということもあり、ついているパーツが少々見劣りする品だったので、その点は少々残念だった。これをシマノのレーシング対応グレードである105にでも統一してもらえれば、全体としてとてもうまくまとまった自転車が出来上がると思う。

コーナリング性能は、やはり”トレック”が設計しているだけあって、とても煮詰まったものが出来上っている。安定してコーナーを抜けることができるので、多少ライディングテクニックに不安を持つ方でも、他社メーカーのバイクに比べて安心して走ることができるだろう。

加速感はアルミということもあり、ダイレクトな加速感があり、ついついスピードを出してしまいたくなるような感じを受けた。

振動吸収性はリアステーのカーボンとフォークのカーボンがいいバランスで成り立っており、程よく突き上げを吸収してくれるので、心地よかった。

全体のコストパフォーマンスを考えた感想としては、アルミフレームとバックカーボンのハイブリッドフレームと、ほとんどが105のパーツで構成されていることを考慮するならば、他社のバイクよりやや高い値段設定になっているように感じる。

だが非常に高い性能を感じ取れたので、チープなカーボンフレームの自転車と比べるならば、機材性としての実力は断然こちらが上だと感じる。

また、初心者の方のなかには「カーボン素材や10段変速等の上位グレードと変わらない性能は必要ない」と言う方もいると思うが、走る距離や趣味が広がる「後のこと」を考えると、このくらいのグレードのバイクを買っておいたほうが、走行感の良さを実感できるとともに、結果的にはお財布的にもお得だと思う。

ウチの店(なるしまフレンド)では取り扱いしていないので辛口コメントにしようかと思いましたが、これだけいいものが出来上がっていては、販売していないことが悔しく思えるほどでした(笑)。

トレック2.3トレック2.3 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp

トレック 2.3


フレーム Alpha Black Aluminumw/TCT Carbon stays
フォーク Bontrager Race, carbon; SpeedTrap compatible
ヘッドセット Aheadset w/semi-cartridge bearings, integrated, sealed, alloy
シートポスト Bontrager Carbon
コンポーネント 105 & ULTEGRA
ホイール Bontrager Race

鈴木祐一(Rise Ride)鈴木祐一(Rise Ride)

インプレライダーのプロフィール


鈴木祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。
2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


浅見和洋(なるしまフレンド)浅見和洋(なるしまフレンド) 浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド


ウェア協力:ゴールドウィン



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