ツール・ド・フランス2011第16ステージはアルプス前哨戦の中級山岳。スプリンターのフースホフトが再び山岳ステージを制した。コンタドールがついに本格始動し、地味なステージながら見どころ満載だった。ツールが始まった!

ステージ2勝目のトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)

2級山岳マンス峠を登るアルカンシェルのトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)2級山岳マンス峠を登るアルカンシェルのトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) photo:Cor Vos最後の山の登りはじめで、ライダー・ヘジダルが後ろのほうで僕のために走って、一定のペースを維持してくれた。彼の調子がよさそうだったので先に行くように言ったんだ。彼がひとりで抜け出して、しばらくは彼が有利に思えた。その後、エドヴァルド・ボアッソンがアタックしたときには、僕は彼の後ろに付いていて、エドヴァルドはライダーを追い始めたんだ。僕はその場に彼を牽制した。エドヴァルドは少し気の毒だったね……最後に先頭集団でガーミン・サーヴェロの2名を相手にするのは楽な仕事じゃなかったはずだ。

今年のツールは、僕にとってすべてが100%順調なんだ。自分で行く日を決めたら優勝できたし、今日もまた褒美を手にした。どんなにうれしくて満足しているかは、信じられないだろうね。

(ルルドでの)最初のステージ優勝は、今日の勝利よりもよかった。単独で勝てたからね。でも、今日のは別の意味でいい勝利だ。

いい逃げ集団に乗るのは、いつだって難しい。僕は好調だったので、スプリントになったら完璧なスプリントができたと思う。ヘシダルから充分にサポートを受けていたんだ。今日はスプリントのタイミングをうまく調整できたし、自分自身も下手なスプリンターではない……でも、こういうスプリントでエドヴァルド・ボアッソンに勝つのは簡単なことじゃないよ。

マイヨジョーヌをキープしたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

マイヨジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)マイヨジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Makoto Ayano僕たちはアルベルトのアタックは予想していなかった。でも、ツールでは、とくに終盤のステージで競争が激化すると、慎重になる必要がある。これがスポーツなんだ——予想していたことが起きることがあるし、起きないこともある。なにも起きないだろうと考えていたら、選手間に大きな差が付くこともあるんだ。

今日のステージの序盤はとても高速だった。終盤と合わせて、とても面白いステージになったよ。今日は脚はそんなに悪くはなかったけれど、有力選手3人に対してかなりのタイムを失なってしまった。どうやら僕の限界が来たのかも知れない。この先どうなるのかは、まだわからない。

僕にとってはいい一日ではなかった。僕にとってはね。後悔はしていない。有力選手のアタックがあったとき、彼らに付こうとしたけど、できなかった。それがすべてだ。そういうものなんだ。まったく悔いはない。

43位でゴールしたマイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)

初マイヨヴェール獲得に期待がかかるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)初マイヨヴェール獲得に期待がかかるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Makoto Ayano大きな逃げグループに先行して欲しかったので、実際にそうなって助かったよ。おかげで、僕は中間スプリントポイントで、(残りポイント内で)最大ポイントを取りに行かなくても済んだからね。ともあれ、逃げ集団は距離を保って逃げてくれた。今日の順位についてだけど、最後の登りとゴールの近さを考えれば、僕はそんなに下の順位ではないと思う。僕たちはマイヨヴェールのキープを試みるつもりだよ。

山頂を越えて、メイン集団に追いつくつもりだった。だから最後の数キロでは全力を出したけれど、追いつくのは無理だった。もっと下りが長ければ、集団に戻れたと思う。でも、今日の出来には満足しているよ。

敢闘賞のミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)

ここ数日、調子がよかったんだ。だからもう一度挑戦してみたかった。登り始めでもアタックしてみたけど、実際、長すぎたね。だからフースホフトや他の選手たちに、それほど時間も経たずに捕まった。下りでは危険を冒したくなかった。道が濡れていて、とても危険だったし、リスクを取りたくなかったんだ。今日は自分のベストを尽くしたと思うけれど、ツールが終わるまでにもう一度挑戦してみたい。

2級山岳でアタックしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)

エヴァンスに先行を許すも、ライバルたちからリードを奪うことに成功したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)エヴァンスに先行を許すも、ライバルたちからリードを奪うことに成功したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) photo:Cor Vos今日の結果に浮かれていてはいけない。重要なのは自分の脚がよく反応したことだ。このことは、これから先のチームと自分たちに大きな意欲になった。山岳ステージはまだ3日あるから、それを最大限に活用したい。

もっとも重要だったのは脚の調子だ。その点に関しては問題はなかった。ライバルたちは昨日と変わっていない。

僕が今日アタックする可能性があったのは明らかだし、僕自身アタックしてみたかったんだ。今日の登りはあまり厳しいものじゃなかったので、結果は期待しなかった。これまでずっと意欲があったけど、今日でさらに意欲が増したよ。

(サムエル・サンチェスとの協調について)僕たちは親友だし、ふたりともタイムトライアルで互いに差が付く相手じゃない。一時的に強力な同盟を組むことはありうる。彼だけが、登りで僕がアタックすると言っていたんだ。残念なのは、彼の調子があまりよくなかったことだ。そうじゃなければ、ふたりでもっと差を付けられたはずだ。

下りでコンタドールに差をつけた総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

コンタドールらを振り切ってゴールするカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)コンタドールらを振り切ってゴールするカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos登りではあまり差がつくとは思っていなかった。むしろ備えていたのは下りのほうだ。少し危険で狭い下りだったからね。去年、腕を骨折していたときは、あの下りは本当に怖かったよ。

ジョージ(ヒンカピー)とブルグハートが、最後の登りのふもとで僕をいい位置につけてくれた。そこからは自分自身の持ち札で競うことになった。自分のタイムを稼ぎ、周囲の状況に注意を払っていた。総合優勝に手が届きそうなときほど、慎重にならなければならない。

総合3位のフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)

コンタドールが登りでアタックしたのに少し驚いた。その可能性は考えていなかった。もちろん彼は調子がよければアタックする選手だと知っていたけど、アルプスまで待つだろうと思っていた。

コンタドールは、寒くて雨が降っている天候だと、僕たちシュレク兄弟が最高の力を出せないことを熟知している。これこそゲームなんだ——つまり、相手を知り、その弱点を知ることなんだ。コンタドールは、今日のコンディションが、下りの危険性も加えて、僕たちの得意な局面じゃないことを知っているんだ。

総合4位のアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)

5分32秒遅れ(コンタドールから1分06秒遅れ)でゴールするアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)ら5分32秒遅れ(コンタドールから1分06秒遅れ)でゴールするアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)ら photo:Cor Vosがっかりしている。もちろん今日タイムを失なったことを。でも、これがツールの終わりじゃない。重大な局面だったけれど、タイムを取り戻す機会はまだある。がっかりはしたけど、希望は失なっていない。

ほんとうにがっかりだ。下りで決まるレースなんて、みんなが見たがっているレースじゃないと思う。

終盤は危険だった。下りでの走りがひどかった。最初のコーナーで差を詰める必要があったけど150mの差がついた。ふもとまでは、まったく楽に走れなかった。

(タイムを失なったことが)大きな影響になるとは思わない。僕は自信があるし、調子もいい。それは証明したし、再び証明するつもりだ。これからの数日間、前を向き続けるつもりだよ。

ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation&text:Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI

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