休養日明けのツール・ド・フランス第10ステージは、やや落ち着いた展開となった。最後のスプリント勝負は僅差でグライペルが制した。グライペルは三大グランツールすべてでステージ優勝経験を持つ14番目の選手となった。

ステージ優勝のアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)

ツール初ステージ優勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)ツール初ステージ優勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vosゴールラインを越えたときは、ただ単純にうれしかった。自転車選手としてのキャリアで最大の瞬間だった。今日は特別な日になったよ。

ツールに出場できただけでも大成功だった。自分がツールで走れるチームが見つかっただけでも満足なんだ。もちろんツールでの自分自身の目標を持っていたし、ステージ優勝を目指してきて、なんとかやり遂げたんだ。僕は自分自身を出したかったし、このレースで争えるだけの実力を持っていることを示したかった。それができて、とても満足している。

もちろん、僕の前チームの監督は(ツールの)メンバー選出に関して、いつも苦渋の決断だったんだろう。マーク・カヴェンディッシュが途方もなく活躍してたからね——当時ツール・ド・フランスでステージ17勝してたんだよ。こういう記録は、前監督と他のポーツディレクターたちがメンバー選出する際に有利に働くんだ。だから、当時は僕のツールへの出場は難しかった。オメガファーマ・ロットが出場の機会をくれたことを、ありがたく思う。このチームのために勝つことができて、とてもうれしい。


マイヨジョーヌを維持したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

積極的な走りを見せマイヨ・ジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)積極的な走りを見せマイヨ・ジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vos僕たちにとってはエスケープ・ロワイヤルというべき最高の逃げだった。完璧に僕らに最適な展開だった。逃げ集団の選手は誰もが総合上位と15分以上の差があった。だから、集団内で働く必要もなかった。必要な場合には警戒しつつローテーションに加わっていたけれど、一日中先頭にいる必要はなかったんだ。

僕の感情的な問題だが、マイヨジョーヌを着て、とても緊張したのは事実なんだ——マイヨジョーヌを着て走る初日だからね。でも、楽しくもあった。

ステージ終盤でアタックをかけて先頭に出た。いつものようにやったんだ。僕とフィリップ・ジルベールが先頭にいたのは驚くことじゃない。僕たちは2人とも攻撃的な性格だから、そういう風にレースするんだ。彼は僕よりもひときわ抜きんでた存在だ。でも、僕らはアタッカーなんだ。それに伝統をすべて尊重すべき理由などない——つまり、僕と一緒にいた4人に譲る理由なんてないんだ。だから、一緒に逃げたんだ。でも、そのときはもう脚が残っていなかった。一昨日に力を出しすぎたんだろうね。

この先のステージは……そうだね、遠い先のことは見通せないよ。でも、明日なら、今日と似たような展開になると思う。それが理想だね……そうなったら僕らは様子見するつもりだ。


ポイント賞 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)

ポイント賞ジャージをキープしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)ポイント賞ジャージをキープしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos今日の(グライペルの)勝利はチームの勝利だ。僕たちはツールにもう6人しかいないけれど、充分な仕事ができる力はまだ残っている。僕たちは最後の登りでレースの難易度を上げるつもりだった。それほど厳しい坂じゃなかったので、ぼくたちはすぐに駆け上った。それから、前に居続けていると、たった5人になった。やる気が出て、勝てるかもしれないと考えたんだ。

気がついたときは、ひとりだった。必然性があってのことじゃなく、単に他のみんながついてこなかっただけなんだ!

最終局面は、とても難しくなっていた。ゴール地点の近くではまた登りになっていたので、アドバンテージは保てなかった。だから、集団に戻り、すぐにグライペルを牽いて、他のスプリンターたちがグライペルの目覚めを邪魔しないようにしたんだ。最後にグライペルが勝利した。美しかった。彼は、今回とても勝ちたがっていたからね!


山岳賞のジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

山岳賞ジャージを守ったジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)山岳賞ジャージを守ったジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vos運が良いことに今日の序盤の落車には巻き込まれなかった。大集団の中で走ることができたし、きつい一日だったけど、他の選手たちがいっぱい支えてくれたし、観客からの声援もたくさんもらったし、何よりもチームメイトが助けてくれた。今日僕を支えてくれた人たちみんなに感謝したい。

今日のステージで生き残るには、主に精神的な強さが必要だったと思う。
今日は自転車に乗っていたほうが、寝ていたときや歩いたときよりも気分はよかった。アドレナリンがたくさん出ていたから、切り抜けられたんだと思うよ。

ツールからのリタイヤを唯一本気で考えたのは、(落車して)空中に投げ出された2秒間だけだった……あのときは「もうだめだ!」って思った。でも、その後、地面に横たわってから動けたときには、レースに戻ることしか考えていなかったんだ。

あんな体験はもう二度としたくない。ツール・ド・フランスへの出場は15年間持ち続けた夢だったんだ。あのときはチャンスだったんだ。山岳賞ジャージを獲得して、ステージ優勝に向けて走っていたんだ。そしたら、あの事故だ。あの映像を見ると、とても感情的になってしまうよ。

チームの目標は毎日前方にいることなんだ。 今日も完璧だよ。マルコ・マルカートが今日の逃げに乗って、ポイントを取ってくれた。これで他の選手にポイントが渡らないからね。


新人賞のロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

新人賞ジャージはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)新人賞ジャージはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vos数日前は辛い状況だったけど、それも乗り切った。今は過ぎ去ったこととして楽しむ余裕がある。序盤に落車があって巻き込まれたけど、地面に倒れるほどではなかった。こういうことはよくある。みんなで密集して走っているからね。これもレースの一部だよ。

今日の気分は、今までより少しマシだった。今日は少し登りのあるコースだったけど、なかなかの感触だった。

今はマイヨブランを着ることができてうれしい。着ていて気分のよいジャージだよ。言うまでもなく、これからの山岳ステージ後に、この重要性は増してくるだろう。僕は山岳ステージが楽しみなんだ——多くのクライマーたちもそうだろうけどね。誰もが自分たちの実力を確認したいし、自分たちを試すチャンスがほしいんだ。僕にとっても同じことだ。今日は単にやり過ごすべき一日で、みんなでそうした。それで充分だった。今日は大きな問題もなかったし、ぼくの調子もよくなってきている。

今日はうれしく思う。落車後の2〜3日は調子が悪かった。これから先どうなるかは誰にもわからないけど、これからの2〜3ステージについてはとても前向きに考えている。


ステージ2位のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)

いやぁ、負けちゃったね。残り250mまでは行けたんだけど、200mまでは踏み込めなかった。グライペルは完璧な走りだったし、スピードも僕を上回っていた。ともかく、マイヨヴェール獲得に向けて、前進はしている。もしかしたら、中間スプリントのせいで、脚が萎えたのかもしれない。でも、パリでマイヨヴェールを着たいと思っている。


残り18kmまで逃げていたレミ・ディグレゴリオ(フランス、アスタナ)

逃げ切れなかったレミ・ディグレゴリオ(フランス、アスタナ)逃げ切れなかったレミ・ディグレゴリオ(フランス、アスタナ) (c)Makoto.AYANO今日は逃げるつもりじゃなかったけれど、チャンスがあったから逃げに乗ったんだ! 今日はみんな誰かに逃げてもらいたがっていたから、最後までいけると思った。休息日明けだし、疲れている選手もいる。だから追いつかれない可能性もあった。

たぶん逃げ集団に、あと何人か足りなかったんだと思う。もしランプレやHTCの選手が加わっていれば、最後まで行けたはずなんだ。残り20kmで集団との差が50秒しかないのに気づいて、最後まで行けないことがわかった。ここで体力を大きく消費したくはなかったんだ。これから先、自分が得意な山岳ステージが控えているんだし。正直なところ、逃げに乗ったときは、今日のコースでは予想外のことが起きて、もっと差が開くチャンスがあると思っていたんだ。でも、なかった。まあ、ツール・ド・フランスにいるんだから、挑戦はすべきなんだけど。

ご想像通り、全体的な戦略はヴィノクロフの考えが土台になってる。僕自身、アレクサンドル(ヴィノクロフ)のアシストをするためにアスタナに入ったんだ。僕はすべて知っているよ。彼が犠牲を払い、努力を重ね、家族から離れてトレーニングしたことも、すべて知っている。僕は彼の側にいて、一緒に準備してきた。調子もとてもよかったから、すばらしいツールになるはずだったんだ!

現在、彼は病院にいてテレビで僕たちを見ている。彼のために攻撃的な走りをしなければならない。彼の栄誉のためにもレースを活性化する必要があるんだ。


不運なリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)

今回のツールでは、今日になってやっと平穏だった。落車があって、少し倒れはしたものの、それ以外はすべて順調だった。


ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。


translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
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