アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)は、これまでのところ、今年のツール・デ・フランスで期待されたほどの成果をあげていない。1年前、彼はステージで2勝し、マイヨヴェール争いでしっかり頂点に立った。今年、唯一誇れる成績といえば、第7ステージでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)に次いで2位になった程度だ。

第7ステージで、2勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュの横で2位に沈んだアレッサンドロ・ペタッキ第7ステージで、2勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュの横で2位に沈んだアレッサンドロ・ペタッキ photo:Makoto Ayano

「ペタッキが去年とまったく同じなんて言える訳がない。二年前とも、あるいは来年ともね」とランプレ・ISDのロベルト・ダミアーニ監督は語る。「これがペタッキなんだ。そういう男なんだ。そして、われわれはそういう彼のために共に働いているんだ」

このイタリア人スプリンターは昨年マイヨヴェールを獲得し、イギリス人のマーク・カヴェンディッシュに11ポイントの差をつけた。また、彼は歴史に少しを名を刻むことにもなった。総合成績でポイント賞を獲得したイタリア人レーサーは、1968年のフランコ・ビトッシ以来、42年ぶりだったのだ。

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Makoto AYANO今シーズンの彼の成績は好調で、ツール前に3勝している。カタルーニャ一周、ツアー・オブ・ターキー、ジロ・デ・イタリアのぞれぞれで、ステージ1勝をあげたのである。ジロでのステージ1勝は、彼のキャリアにジロ通算22勝の栄誉を与えることになった。

ペタッキは、ツール目前に自分が病気であり、調子が下向き始めていると語っていた。仮に、この先チャンスがあったとしても、ペタッキ自身がカヴェンディッシュを打ち破るのは難しいと考えている。

「スプリントステージは残り3つ。難しくなりそうだ」とペタッキは語る。この37歳のスプリンターは自分のツールでの全盛期を知っている。彼は、1996年のプロデビュー以来、ツールでは6回にわたって両手を挙げて勝利を示した。

「絶頂感と狂気は年齢とともに失せるものだ。それが普通だよ」とダミアーニ監督は語る。「18歳で自宅に養うべき家族がないときと、35歳になって妻と子供を自宅に待たせているときとは、違うんだよ」

昨年のマイヨヴェール獲得者アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)昨年のマイヨヴェール獲得者アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Makoto Ayano1996年以来、ペタッキはブエルタ・ア・エスパーニャではステージ通算20勝をあげ、ワンデイのクラシックレースではミラノ〜サンレモとパリ〜ツールに勝利している。さらに、スプリンターならば求めてやまない栄誉、ツールのマイヨヴェールも昨年獲得している。

インフルエンザのせいと、おそらく絶え間ないドーピング捜査のストレスでペタッキのツールへの準備は遅れてしまった。

CONI(イタリアオリンピック委員会)は昨年ペタッキを捜査した。ペタッキは増血剤のPFC(パーフルオロカーボン)とHSA(ヒト血清アルブミン)の使用で2009年に告訴されたこともある。

CONIはペタッキの元チームメイトであるロレンツォ・ベルヌッチに対し、昨年12月に永久追放処分を発表した。ペタッキはベルヌッチと長いあいだチームメイトであったため、この問題に結びつけられたのだ。

ペタッキは2007年のジロ・デ・イタリア期間中に気管支拡張薬のサルブタモールを過剰吸入したことで、以前にも9ヵ月の出場停止処分が下されている。




text: Gregor Brown in Super Besse
translation: Seiya.YAMASAKI