今ツール初の山岳ステージとなる第8ステージは、序盤からの逃げに乗ったルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)が逃げ切ってキャリア最大の勝利を挙げた。集団に残ったトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)がマイヨジョーヌを守った。

山岳を越えてシュペール・ベッス・サンシーを目指す9名の逃げグループ山岳を越えてシュペール・ベッス・サンシーを目指す9名の逃げグループ photo:Makoto Ayano今大会で初めての山岳ステージとなる第8ステージは、エギュランド〜シュペール・ベッス・サンシー間の189km。4級山岳2つ、2級山岳がひとつ、そしてゴールは3級のシュペール・ベッスという決して難易度こそ高くはないが、総合順位に変動を起こすには充分なステージ。

昨日落車したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)はこの日未出走。どの選手もこれまでに多発した落車の影響を多かれ少なかれ抱えてのスタートだ。

メイン集団は終始BMCレーシングがコントロールメイン集団は終始BMCレーシングがコントロール photo:Cor Vosこの日決まった逃げは9名。メンバーは、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)、ハビエル・ザンディオ(スペイン、チームスカイ)、クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)、アディ・エンヘルス(オランダ、クイックステップ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)、シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)、アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)、ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス)、ロメン・ジングル(ベルギー、コフィディス)。

メイン集団のコントロールを担うのは総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア)を擁するBMCレーシングチーム。マイヨ・ジョーヌを着るトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)は、今日のコースでマイヨを失うことを織り込み済み。ガーミン・サーヴェロは集団コントロールに加わらない。

集団の前方にはアスタナやサクソバンク、リクイガスら総合狙いのチームも上がってくる集団の前方にはアスタナやサクソバンク、リクイガスら総合狙いのチームも上がってくる photo:Makoto Ayanoこの9人は、2つある4級山岳ポイントをそれぞれエルファレ、コロブネフ、中間スプリントポイントをリブロンが先頭通過。大きく争わず、逃げることに集中する。その差は最大で6分近くまで広がるが、BMCレーシングのコントロールがそれ以上の差を許さない。

中間スプリントポイントを集団の先頭で獲ったのはフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)。ライバルでマイヨ・ヴェールを着るホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)の前に出て、ポイント賞ジャージへの意志を見せる。

レースが残り60kmを切ると、BMCレーシングに代わりアスタナが人数を揃えて集団を牽引。さらにオメガファーマ・ロットもこれに加わる。登りゴールを見据えて、各チームがエースのための動きを見せる。

レースが動いたのはゴールまで残り31km地点、2級山岳クロワサンロベール峠の登り。逃げグループからヴァンガーデレンがアタックすると、先頭は追いついたコスタ、ゴティエの3人になる。メイン集団でも動きがあり、パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)、アメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)が飛び出していく。


単独でゴールを目指すルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)単独でゴールを目指すルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Makoto Ayano先頭に追いつきたいシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)が食らいつく先頭に追いつきたいシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)が食らいつく photo:Makoto Ayanoヴィノクロフのアシストにまわったパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)ヴィノクロフのアシストにまわったパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) photo:Makoto Ayano


メイン集団からはさらに山岳賞ジャージを着るジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ファンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)が飛び出し前を目指す。

先頭グループを捕まえにかかるアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)とファンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)先頭グループを捕まえにかかるアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)とファンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) photo:Makoto Ayano一度アタックが落ち着くと、今度はアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)が強烈なアタックで他選手の不意を打つ攻撃に出る。ヴィノは前を行く選手を次々と捉えていき、フレチャとチームメイトのティラロンゴを伴って先頭を目指す。

先頭ではヴァンガーデレンが山頂を先頭通過。下りでリブロンが追いつき、先頭は4人になる。追走のヴィノクロフグループは1分41秒遅れで山頂を通過。メイン集団はさらに15秒遅れで通過する。ゴールまで25kmを残してのここからの下りでヴィノグループがどんどん先頭との差を詰めていく。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のペースアップに、コンタドール、エヴァンスらが反応するフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のペースアップに、コンタドール、エヴァンスらが反応する photo:Cor Vos残り15km地点で、後方からのプレッシャーを感じた先頭グループからリブロンがアタックで飛び出していく。この動きをきっかけに先頭の4人は壮絶なアタック合戦を繰り広げながらゴールへ近づいていく。思うように差を詰められないヴィノとフレチャは30秒遅れで残り6kmから始めるシュペール・ベッスに突入。メイン集団はさらに45秒遅れ。

この登りで強さを見せたのはこれまで静かに走っていたコスタ。アタックで先頭に立つと、全ての選手を置去りに独走を開始。その30秒後ろではヴィノクロフがやはり単独でコスタに迫る。しかし20秒からその差が詰まらない。残り1kmでヴィノは失速。その後ろにはスピードの上がった集団がヴィノを飲み込みにかかる。

ヴィノクロフはゴール手前300mで集団に飲み込まれたヴィノクロフはゴール手前300mで集団に飲み込まれた photo:Cor Vos残り1kmで集団のスピードを上げたのはジルベール。縦に伸びる集団からアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)がアタックを見せると、エヴァンスやアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)がぴったりとチェック。一瞬生まれた集団の隙を見て、ジルベールが再度アタックで飛び出すと、他の選手はもう追いつけない。

逃げ切り勝利を挙げたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)逃げ切り勝利を挙げたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Makoto Ayano何度も後ろを振り返るコスタは勝利を確信。将来を嘱望される24歳がキャリア最高の勝利を独走で飾った。12秒遅れの2位には最後に追い込んだジルベールが入り、マイヨ・ヴェールを獲得。集団はエヴァンスを先頭に15秒遅れでゴールに入った。落車の影響から脱せないロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)以外の総合狙いの選手はこの集団内。

何よりも、マイヨ・ジョーヌのフースホフトがこの集団内でゴールしたことは本人が驚くほど。誰も予期しなかったマイヨ・ジョーヌキープを果たしたフースホフトは明日の中級山岳ステージでもマイヨを維持できるか注目が集まる。

マイヨ・ジョーヌを守ったトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)本人も結果に驚くマイヨ・ジョーヌを守ったトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)本人も結果に驚く photo:Cor Vosルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
「ツールのステージ優勝を挙げることは、僕にとってただ夢だった。とても信じられない。レースが始まってから、調子の良さを感じていて、自身を持てた。でも誰だって自分が何ができるかんて確信は持てないものだ。ステージ勝利、本当に格別だよ。

一日中、逃げグループは協調体制がとれていた。ヴァンガーデレンと2人になったとき、一緒にこのまま行くべきだと感じたんだ。だけどフランス人2名が追いついてからは、協調が乱れてしまい、リスクが高まった。ゴールまで残り4.5kmでアタックをしたのは、そのタイミングがいいと思ったから。そして僕が一番強かったんだ。ヴィノクロフがすぐ後ろに迫ってきていて、追いつかれると思った、だけど全ての力を出し切って、差を守ることに成功した。素晴らしいことだ。

僕らのチームはとても厳しい時期を経験している。この勝利でちょっとばかりの幸運をもたらすことができて嬉しいよ。この勝利は僕を支えてくれた全ての人、そしてとりわけ、もう僕らの元にはいないシャビエル・トンド、次いで今も病院にいるマウリシオ・ソレルに捧げたい」

※選手コメントはレース公式サイトより


ツール・ド・フランス2011第8ステージ結果
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)           4h36'46"
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)  +12秒
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)     +15秒
4位 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
5位 ピーター・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)
6位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
7位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
8位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)
9位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
10位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)      33h06'28"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)          +01"
3位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)       +04"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)          +10"
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)         +12"
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) 
7位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)               +13"
8位 ピーター・ヴェリトス(スロヴェニア、HTC・ハイロード)
9位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)         +19"
10位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)       +20"

11位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)        +32"
12位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)   +39"
13位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)      +1'03"
15位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)           +1'12"
17位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)            +1'28"
20位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)   +1'42"
29位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)          +2'36"
42位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)      +4'43"
111位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)             +25'27"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    187pts
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)           172pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)      153pts

山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)    5pts
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)               5pts
3位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)    4pts

新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)         33h07'56"
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)          +59"  
3位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)              +1'20"

チーム総合成績
1位 ガーミン・サーヴェロ                      98h30'04"
2位 レオパード・トレック                         +04"
3位 レディオシャック                           +35"

敢闘賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)


text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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カテゴリー: Book
著者: 増田 義郎
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